第31節 -一年後-

 西暦2036年某月。あれから一年の月日が経った。怪現象を見事解決に導いたマークתの調査後、リナリア島はセントラル1の所属部隊によって改めて大規模な現地調査が行われ、その全貌は詳細なデータとしてプロヴィデンスへ記録された。過去に頻発していた怪奇現象は観測される事は無く、マークתが調査を終えて以降、海難事故及び航空事故は一度も報告されていない。


 世界特殊事象研究機構より調査データの開示を受けた国連は臨時総会を開催。その会議での結審により、リナリア島を以後永続的にどこの国家の領土ともしない独立した島として認定する事が決定。さらに、今回の問題解決の功績を認め世界特殊事象研究機構に対してリナリア島の所有権と永続的な使用権を認める条約が締結された。


 この決定に対し機構は島をリゾート地として開発する事を決定。多くの人々が人種、国籍、地位等を問わずゆっくりと過ごすことが出来る場所として今後開発が進められる予定である。

 この決定についてはマークתより報告が上がった【この地を、もう二度と悲しみに包まれないように、全ての人々が笑顔で過ごせるような場所にする】という内容が採用された結果だ。計画では星の城跡と星の塔は過去の歴史の出来事や、これからの未来に祈りを捧げる場所「星の教会」へと生まれ変わり、将来的には結婚式なども挙げられるようにした上で全ての人々に解放される予定である。中央広場は平和を祈念するモニュメントを設置する計画が進んでいる。


 マークתのメンバーについて、姫埜玲那斗少尉は今回の調査において特に多大な貢献があったと認められ中尉へと昇格。さらに報告を受けた上層部の意向により島が開発されリゾート地が完成した暁にはその統括の任に就く予定である。それまでの間は今まで通り、ブライアン大尉率いるマークתのメンバーとしてアメルハウザー三等准尉やヘンネフェルト一等隊員と共に活動する事になる。

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