第9節 -活動報告-
ヘリに戻ったブライアンはベース設営ポイントの付近へヘリを移動させた後、島へ到着してからここまでの調査結果や経過をまとめ本部へ報告しようとしていた。しかし通常の音声通信や万一のときの為の予備設置された別系統の通信を含め、音声系統の通信機器は全て雑音が返るばかりで繋がる気配がない。既にかなりの時間をこの雑音との戦いに消費してしまっている。
おかしい。着陸前のセントラルとの交信時に確かに繋がりにくい状況ではあったが最終的に本部との通信は行う事が出来たし、そこから現在までの間に全ての機材が故障したとも思えない。当然、各機材の異常を知らせるエラー表示などは出ていない。簡易チェック式検査プログラムを走らせてみるがやはり異常は出て来ない。
「弱ったな。」手を頭に当て、思わず本音が漏れる。仕方なく音声通信による報告は諦めてメールによる報告へ切り替える事にした。大柄の男がヘリに設置されている小型コンソールを使いメール本文を入力する。
送信者:マークת ジョシュア・ブライアン
件名:【情報】リナリア島調査について
宛先:セントラル1本部へ
結論:現地状況に異常無し。調査準備は順調に進んでいる。
詳細:システムによる現地状況確認を実施。
野生動物等の生体反応は確認できず。
天候は晴天なれど大気状況は不安定。高高度に異常な気温変化の特徴が見られる。
隊員の安全性に問題は無し。現在、活動拠点の設営及び地形調査を実施中。
音声通信は機器不調により、以後はメールにて定時報告を行うものとする。
「苦手なんだよな。文章を打つのは。」
機械の扱いが苦手というわけではない。だが小さな文字を見ながら文章を入力するというのはどうにもブライアンにとってはいつまでも慣れないことであった。
しかしこれで本部への報告は完了した。後は朝と夜に一度ずつ、定時報告を行う決まりとなっている。この調子だと調査最終日までの報告は全てメールで行う事になりそうだ。
「通信機はルーカスに詳しく見てもらう必要があるな。」
溜め息をつきながらヘリを後にし、玲那斗とフロリアンが設営中のベースへ向かった。
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