第2話

 ゲームは接戦で進み7-7の同点になった。

 「デザインチェンジ!」

 競技場で男の声が響くと地面が芝生から石畳になりあちこちから石柱が伸びた。

 「先が見にくいな」「ああ、柱の陰から敵が飛び出してくるかもな」

 宙也と勇太がコートの石柱の配置を確認しながら作戦を立てた。

 ゲームが始まった。

 ブレイブの投げたボールが石柱に当たった。

 「しまった!」

 勇太が叫んだが、リックが転がるボールを持って走り出した。

 「ターボ!」

 宙也が叫んでコントローラーのボタンを押した。チュウヤの靴から青白い光が輝きだした。

 チュウヤの走るスピードが上がった。

 石柱をかわしきれずに何度かぶつかった。

 ぶつかる度にくる衝撃に宙也は「うっ」とうめき声をあげた。スピードを上げて走っている状態での衝撃はかなりのものだ。

 石柱の位置はランダムで決まるので事前に位置を把握して練習するのは不可能でゲームの中で位置を探るしかなかった。

 痛みをこらえながらチュウヤはリックにギリギリ近づいた。

 「そこだ!」

 チュウヤがリックにタックルをした。

その拍子にリックが持っていたボールが転がった。

 チュウヤがボールを拾った時、ジョニーがタックルを仕掛けてきた。

 チュウヤはジャンプして後方宙返りをして敵のゴールめがけて走った。

 観客がまたどよめいた。

 チュウヤの後をジョニーが追いかけてきた。

 「次の柱の隙間でパス」「了解」

 宙也はその場走りをしながら勇太に指示した。

 ジョニーがタックルを仕掛けてきた。

チュウヤはジョニーをよけてボールをブレイブに投げた。

 ブレイブはボールを受け取って足のターボエンジンをかけて走り出した。

 それを追うリックもターボ状態で走った。

 ターボ状態は最大20秒続けられた。

勇太のゴーグルにターボ状態が終わるカウントダウンの数値が映った。

 「あと5秒、うわっ!」

 ゴーグルの数値に気をそらしたすきにブレイブが石柱にぶつかって転んでしまった。

 「ああ、くそっ」

 勇太が叫んだ。リックがボールを拾って反対に走り出した。

 「悪い。頼む!」「わかった」

 宙也は答えてリックを追った。

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