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あの事件が起こってから、数日が経った。あれから何も無く、ただ忙しなく学生生活を送っていた。篠倉さんはしっかりと罪を認め、近々裁判を行うそうだ。それと、これは奇妙な偶然……と言っていいのだろうかは分からないが、篠倉さんは皆既日食の年に生まれた人だったという。ボクは拘置所での篠倉さんとの会話を思い出しながらもボーッとしている。
「璃音。もうそろそろ文化祭ですが、出し物は決めましたか?」
そう言って、ボクの机に軽く腰掛ける香薫。ボクは我に返り突っ伏す。
「…………最悪だよこれ」
決まったのだった。何をするかなど既に決まっていたのだ。ほぼほぼ男どもの欲望だったのだが。
ボクはノートを香薫に見せる。香薫は明らかにドン引きした。
「…………執事メイド喫茶……ですか」
「そうなんだよね…………ねぇ、ボク、サボっても良いかな?」
「……ダメじゃないですか?いくらなんでもクラス委員長の璃音はサボっては行けないと思いますよ?」
「…………うは……」
また机に突っ伏す。正直なところメイド服なんて着たくないのだ。何故ならば……。
「…………ボク、常にメイド服着ているんだけれど」
そうなのだ。自宅では、ボクは家事全てを担当している。そして、そういったことをするならばと母が暴走した結果、メイド服を着ることになったのだ。
「…………まぁ、いいじゃないですか璃音」
「何処がかな……!?」
ガタッと音をさせながらも香薫を下から睨む。香薫は苦笑気味に笑いながらもこう言ったのだ。
「そんな服を着た璃音と文化祭を巡るのも悪くないじゃないですか」
ボクは顔を逸らした。
「……ふん。調子のいいこと言うじゃないかきみは」
「本心なんですけどね……」
「でも、ボクは嫌なんだよ……!香薫以外には見せたくない……!」
「………………はい?」
「メイド服なんて香薫には見せれる。というより、既に見られているし別に問題無いよ?でも、他の人には見せたくないんだ……」
既にボクは出来上がったメイド服を試着した。女生徒達からは「お人形さんみたい」だなどと賞賛の嵐だったが……男子生徒には一向に見せていない。
「…………あぁ。大方予想がつきますよその格好」
「……ミニスカ黒ニーソガーターだよ」
「…………oh......」
項垂れたいのはボクも一緒なんだけれどねぇ。
「……まぁ、スカート自体はふんわりとしたものだし、見せパンだっけ?を着けるつもりだよ」
「璃音には悪いですけど、僕は非常に楽しみですよ」
その言葉に口が引き攣る。引き攣りながらも、こう叫ばずにはいられない。
「…………何でなのかな!?香薫は変態だよ!やっぱり!!」
「なっ!?なんでそうなるんですか!」
そんな一幕をクラスでは有名らしい。痴話喧嘩だ痴話喧嘩よと面白がるクラスメイト。そんな日常がボク達の唯一の心が休まる日なのだ。
────Q.E.D.────
フリークス・ヴィラ 海澪(みお) @kiyohime
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