04.05 「私もおっぱい触っていいなんていった覚えは無いんだけどなあ」
「なんだよ、2体裏に来いって言うから期待してたのに……」
「残念だけど、私も一緒みたいだね」
「何を期待してたのかは知りたくもないけど、二人に協力してもらいことがあってね。土曜日なんだけど、私と一緒に着てくれないかなあ」
「いいけど」
「まあ、俺もどうせ暇だし」
「じゃあ土曜日ねっ」
呼び出しておいて、結局土曜日に一緒に来いってだけ。目的は言わなかった。
◇◇◇
そして土曜日、連れてこられたのは、とあるウィークリーマンション。ファミリー向けの広めの間取りだけど……
「げっ、何ここ。リビングに廊下がある」
「ここって……」
「そう。ニュースでやってた暴行現場を再現してみました〜」
「ああ、言われてみれば」
お
「何の為って思ってる
「いや、制作って、捏造じゃねえかよ」
「そうとも言う。でもネットにばらまくだけなら問題ないよね? 向こうも一方的な映像流してるわけだしさ。
「いや、そんなの流されたら俺が変態みたいじゃねえか。ちなみに、
「まあ、それは否定しないけどさ。ディープフェイクって知ってる?」
「いや、否定してって……」
そこは私も否定しないかな。
「ディープフェイクって、元大統領のフェイク動画の?」
「そう。ディープラーニングをでフェイク動画を作っちゃうあれね。他にもエロ動画に有名女優の顔はめ込んじゃったりとか」
「えっ、マジで? そんなこと出来るの? 俺も個人的に頼んでいい?」
「そんなの、そういう専門サイトでも覗いてみなよ」
「どこ、それ。どうすればいいんだ? 教えてくれよ、姫ちゃん」
「じゃあ、
「ああ。
「先ずは私が部屋に連れ込まれるシーンから。
「
「私が少し離れた所を通るから、本能のままに部屋に連れ込んで」
「本能のままでいいのか?」
「連れ込むところまではそれでいいよ。でも、変なとこ触ったら只じゃ置かないわよ?」
そんないい加減な指示で大丈夫なの?
なんていう心配はいらなかった。迫真の演技というか、素で女の子を襲う変態にしか見えなくて、判ってても少し怖かった。まあ、余計なとこも触ったみたいで、
「次はちょっと難しいよ。ニュースで流れてる映像に繋げたいから、よーく見といてね。言わなくても判ると思うけど、
「だから
「うん、
真剣に映像を観る私と
ウィーーーーン
バリバリバリバリ
「ん、えっ、ちょっと姫ちゃん。何してんだよっ!!」
「いや、だって坊主頭だよ? やられちゃった人」
「そうだけどさ、俺の同意は? いきなりこれは無くない?」
「私もおっぱい触っていいなんて言った覚えは無いんだけどなぁ」
「うっ、それは……」
「さっきの映像を証拠に被害届でも出してみようかなぁ」
「ううっ、頭を丸めさせていただきます……」
「じゃあ、私も黒く染めないといけなかったんじゃ」
「
「俺もAIで良かったんじゃね?」
「だって処理するってことはその分時間がかかるんだもん。
「はあー?」
まあ、そんな事もあったけど、このシーンもそう長いわけでもなく、3度目ぐらいには納得いくものが撮れたみたいだった。
「よーし、次行こうぜ、次。フンッ、フンッ。いよいよ暴行シーンだよな。本気で行くぜ、姫ちゃん!」
「今日はこれで終わりだよ?」
「お、おう。じゃあ、続きは明日か」
「ごめん、今日はじゃなくて、もう終わり」
「へえ? 暴行は?」
「必要ないよ。女の子が連れ込まれたって事と、先に手を出したのは向こうだってだけで十分だもん」
「でも、せっかくだから奴らを有罪に出来る証拠を――」
「そういう意味での証拠にはならないかな。フェイク動画を見破るAIの研究も進んでるからね。それに、覚えてないからどうでもいいんだ、あいつらがどうなろうと。私は
制裁は
「二人共、今日の事は絶対内緒ね。特に
「解ってるよ。
「さて、あとはテスラに頑張ってもらって、最後にダークネットに流すだけだ」
テスラっていうのは、高校のセキュリティシステムの1台で、記憶を無くす前の
そういえば、テスラを16基搭載してるとか言ってたっけ。テスラにテスラが16基? 意味が判らない……
◇◇◇
そして、数日後。
『高校生同士の喧嘩で5人が重症を負った事件の続報です。一方的な暴行と思われたこの事件ですが、実は、直前に女子生徒が部屋に連れ込まれ、加害者と思われていた生徒が助けに入った可能性が出てきました』
流された映像は、土曜日に撮影したそれだった。顔にはボカシが入っていたけど、前に流されてた映像と上手く繋がっていて、本物にしか見えない。
『確かに女子生徒の口を塞いで無理やり部屋の中に連れ込んでいますねー。更に、先に手を出しているのは重症を負った生徒のように見えますが、真相はどうなんでしょう。警察の発表を待ちたいと思います』
さらに、ネット上ではボカシがはいってない映像が公開されているみたいで、そっちはちゃんと
「凄いね、
「私はやり方を知ってただけだけどね。で、
「私はそんなの……」
「誰、誰? もしかして、お姉ちゃんだったり?」
もう、
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