03.19 「ちゃんと責任とるね」

 ちゃんと機能してたんだ……

 【R18警告により削除】

 怒ってるかな、とおる


 『気にしなくていいってば。僕も……』


 そう言えば、なんて言おうとしたんだろう。気になるけど、どんな顔してとおると向かい合ったらいいんだろう。このままシャワー浴びてようかなー。


 「凜愛姫りあらー、いつまで入ってるのー。遅刻しちゃうよー」


 そっか。今日は学校あるんだ。休んじゃおっかな。


 「凜愛姫りあらー、聞いてるのー」

 「今行くー」


 もう、とおるったら……


 着替えてリビングに向かうと、とおるが朝食を用意してくれていた。


 「食べよっか、凜愛姫りあら

 「うん……、その、ごめんね、とおる

 「そのことはいいんだってば」

 「でも私、とおるに酷いことしちゃったから」

 「無意識だったんでしょ?」

 「それは、そうなんだけど」

 「だったら仕方ないじゃん」

 「でも……」


 無意識だったからといって許されることではないと思う。そもそも、一緒に寝ようなんて言わなきゃ良かったんだ。でも、そしたら怖くて眠れなかったかな。

 暖かかったなー、とおるの背中。


 「元気出してよ。僕が気にしないって言ってるんだから、それでいいのっ」

 「うん……」

 「はぁ。僕がいいって言ってるのに、凜愛姫りあらの中で納得できないみたいだね」

 「だって……」

 「じゃあ、責任とって貰おうかな」

 「責任? ……そうね。私に出来ることなら何でも言って」


 それぐらいしないと元の関係に戻れない。ううん、それでも完全に元には戻れないかもしれないけど、でも、とおるとは――


 「じゃあ、僕と付き合ってよ」


 そう、とおるとは付き合い――


 「えっ? 付き……合う?」

 「そう。今から凜愛姫りあらは僕の恋人。あっ、昨日からってことにしようか。恋人同士ならあんなことしたって謝る必要ないじゃない? 一石二鳥だと思うけどなあ。それに、凜愛姫りあらに抱きしめられて、【R18警告により削除】」

 「ちょ、ちょっと、ふざけないでよ」

 「僕は真面目だよ? 【R18警告により削除】気づかなかったことにしてたんだけど、気付いちゃったんだよ。凜愛姫りあらのこと……、ずっと一緒に居たいって思ってるんだ」

 「とおる……」

 「えへへ、襲われた勢いで告ってしまったとおるちゃんでしたが、その結末は如何に?」

 「もう、どこが真面目なのよ」

 「だって、照れくさいんだもん」

 「うん、そうだね。ありがと、とおる。私……」


 私も気付いてた。自分の気持ちに。あのネックレス見た時から。私はとおるが好き。ずっと一緒に居たいって。だから……


 「ちゃんと責任とるね」

 「そうそう、責任取って……、えっ、いいの? 凜愛姫りあら

 「うん。大好きだよ、とおる

 「ほんとに?」

 「よろしくね、とおる

 「うん。ついでに結婚しちゃう?」

 「それはまだ早いと思うけど……」


 もしもこのまま元に戻れなかったら、ううん、戻れたとしても……

 もう、とおるったら、こんな可愛い笑顔はずるいよ。


 「ねえ凜愛姫りあら……」

 「なに?」

 「……」


    ブルルルルル ブルルルルル ……


 うわあ、お母さんからだ。


 『おはよう、凜愛姫りあらとおるちゃんとは進展あったの?』

 「ないから……、そういうの」

 『あら、残念ね』

 「もう、お母さん」

 「ねえ、まだ? 何だったらそのまま朝の続きしちゃってもいいよ?」


 とおるっ、お母さんに聞こえちゃうじゃないっ。


 「し、しないってば」

 「じゃあキスは?」

 「しない」

 『キス?』

 「何でもないから」


 もう、聞かれちゃったじゃない。


 「でもしようとしてたよねえ」

 「それはとおるが……」

 『ちょっと、凜愛姫りあらちゃん? とおると何かあったのか?』

 『なになに? とおるちゃんとキスしたの? 進展してるじゃ――』

 「学校行かなきゃだから、もう切るね」

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