03.17 閑話:「ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、マジでヤバイ」

 「ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、マジでヤバイ」


 結局、姫ちゃんのハイレグビキニは見られなかった……

 何でこんなタイミングなんだよ。

 いや、過去の事はもうどうにもならない。問題は明日だ。今日で夏休みが終わっちまう。どうする……

 俺はどうすればいいんだー!!


    ◇◇◇


 「はぁ、ダメだ」


 結局、朝になっても碌な対策は思い浮かばなかった。それどころか、制服だって用意できてねえ。どうすんだよ、マジで。


 「おはよう、得利稼えりか……。体、鍛えてた?」

 「あっ、うん、ちょっとね」

 「何か、声も変わったね」

 「喉の調子が悪くてねー」

 「ふーん、マスク外したら髭ボウボウだったりして?」

 「や、嫌だなー、姫ちゃん。そんな訳無いでしょー」


 鋭いな、姫ちゃん。結局今まで通りの格好で登校しちまったけど、バレたら只の変態だな、俺。

 俺の名は大金おおがね 裕人ゆうと。そう、得利稼えりか改め裕人ゆうとだ。要は元に戻っただけなんだが、さんざん女子の体触りまくってた手前、ごめーん、実は男だったんだー、なんて口が裂けても言えねえ。バレたら袋叩き間違いねえだろう。


 「どしたの、ぼーっとして。次、体育だよ?」

 「えーっとー、そうだっけー。体調悪いから今日は見学にしよう、かな」

 「そっかー、じゃあ、先行くね」

 「う、うん」


 よりによって1限から体育だよ。この体で女子更衣室に入れるわけねえだろうが。


 「あら、得利稼えりかさん、貴女が女子更衣室を拒むなんて天変地異の前触れなのかしら?」

 「やだなあ、水無みなちゃん……、得利稼えりかだって体調悪いことだってあるよ?」

 「そうだったかしら。いずれにしても、傷が広がる前に対策した方がいいかしら。どう立ち回るのか、楽しみですわ」

 「あ、うん。そうだよねー」


 この女、気付いてるのか。

 確かに水無みなちゃんの言う通り、素直に白状した方がいいんだろうなー。

 女装してるってのがバレたら洒落になんねえもんな……

 嫌われちまうんだろうな、姫ちゃんにも、クラスの女子にも。

 あー、何で治っちまったんだよ……

 何であんなことしちまったんだよ、得利稼えりか……

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