03.10 「只の……クラスメイト」
「ねえ、
「気になりますか?」
「えっ、何? 何のこと?」
「
「そう、みたいね」
「こっそり後を付けてみるのはどうでしょうか」
「え、でもそんな事……」
「では、私達もデートしましょうか。
「うん……、そう、かな」
気は進まないけど、気になるし……
そして週末。
何時に出かけるのか直接聞くわけにもいかないから、頑張って早起きして隣の部屋の気配を感じ取る。誰かと話してるみたいだけど、たぶん
……えっ、もう出かけるの?
「おっ、おはよう、
「う、うん。おはよう。珍しく目が覚めちゃって。もう出かけるの?」
「あははは。せっかちだよね、
「そう、ね」
「耳、どうしたの? 真っ赤だよ?」
「えっと、これは……ちょっと寝相が悪かったみたいで挟まってたのかな」
ううっ、壁に押し付けすぎたんだ……
「それで片耳だけ赤いんだ」
「う、うん」
「あっ、もう行かないと」
「そうよね、楽しんできて」
「うーん、まあそうだよね」
『ちょっと早すぎませんか、あの二人。いったい何処へ行くつもりなのでしょうか』
「それは……聞きそびれてしまって」
『そうですか、では急いで尾行して下さいませ。くれぐれも見失わないようにお願いしますね。私も後ほど合流しますわ』
「うん。じゃあ、切るね」
「お待たせしました、
「
「今からというと……、恋愛映画ですかしら。
恋愛映画……、
「しかし、どこも空いていないのですね」
「まだ早いからね」
「とはいえ、そんな風に物陰から、というのはいかがなものかと。不審者に間違われたら面倒くさいですわよ?」
「やっぱりそう見えるよね、うん」
「そうですね、あちらのカップルのように上映開始を待つふりをしてイチャイチャしていましょうか」
「いや、でも……」
「ふりだけで構いませんから。ほら、早くぅ」
騒ぎになって
「出てきましたわ。このままカップルのふりして後をつけましょうか」
「う、うん」
「あの、これは……」
「私、逸れたら帰れそうにないのですけれど」
「そう、だよね」
そして、映画の後は何処に寄るわけでもなく、中華まんを食べながら元町方面へと向かっていった。
あのお店は……
何で……、二人で行った思い出のお店なのに……、それにあのお店には……
「
「ええ。
「いらっしゃいませ……、あら? 貴方は確か……」
店員さんが
「あの、彼女は只のクラスメイトで……、プレゼントを選ぶのに付き合ってもらっただけで」
別に浮気してるとかそういうんじゃ……別に
「只の……クラスメイト」
「あっ、ごめん、只の、じゃなくて親友なんです」
「うーん、ということは、彼女へのプレゼントを?」
「は、はい」
「ふう。あんなに仲良さそうだったのに破局してしまったのかと心配してしまいました。余計なお世話でしょうけどね。それで、何をお探しでしょうか?」
仲良さそうに見えたんだ、
「この前見せてもらったネックレスを、大切な人の幸せを願うっていう」
シンプルな立方体のヘッドで、一方の面に透明なダイヤが3石、反対側にブルーダイヤが1石はめ込まれてるネックレス。ひと目見た時から、というか、店員さんの説明を聞いた時から気になっていた物だった。
「ブルーダイヤのネックレスですね。ありますよ、最後の1本」
「ブルーダイヤモンドにはパートナーとの愛情を深め、永遠に変わらない愛を約束するって意味が込められているから、彼女へのプレゼントには良いと思いますよ」
「パ、パートナー? 永遠? 幸せを願うんじゃなくてですか?」
「もちろん、それも込められていますけど、ちょっと余計なこと言っちゃっいましたか? でも、大切に思う気持ちは変わらないと思いますよ」
「そう、ですね」
うん、やっぱりこれにしよう。ずっと気になってたんだし、そのためにアルバイトだってしたんだから。
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