第98話 奇襲 (2)

「マルチチュードフレイムボウ!」


数多の炎の矢が空から降り注ぐ。


「フレイムピラー!」


ドラゴンの足元から火柱が上がり全身を包み込む。


「グガァァ!」


炎の中からフレイムドラゴンの尻尾が現れる。


「ぐっ!」


咄嗟に作り出したストーンシールドを突き破り、尻尾が儂の体を強かに打つ。


世界がグルグルと周り、直撃した左腕に激痛が走る。一度、二度と背中で地面を跳ねた後、なんとか両足で地面を捉える。

地面の上を滑るようにズザザと移動して、やっと止まる。


「うっ…」


なんとか最小限の被害に抑えたが、左腕は折れ、全身がズキズキと痛む。二匹のドラゴンが羽をバタバタと動かすと、周囲の炎が掻き消える。


「ポーチュニカ様!」


「馬鹿者!来るでない!」


「っ……」


走り出そうとしたパーナを強い語気で制止する。パーナ達になんとか出来るような相手ではない。


「あれだけ打ち込んで無傷とは…嫌になるのじゃ…」


あれだけの攻撃を受けて、二匹のドラゴン達はかすり傷一つついていない。


「……っ?!」


痛みに視界が歪んでいたが、よく見ると、儂の周囲に粉末が漂っている。


「しまったのじゃ!」


チリッ!


「逃げろパーナ!」


「ポーチュニカ様ぁ!!」


ドガガガガッ!


死を告げる爆音と炎が近付いてくる。逃げる力も、これを防ぐ力も、儂には無い。


爆炎が近付いてくる所がやけにゆっくりに見える。死ぬ前というのは時が遅く感じると聞いた事があるが、本当らしいのじゃ。


迫り来る爆炎が何故か美しく見えるのじゃ……

パーナ達が逃げ切れる事を心中で祈り、瞼を閉じる。


ドドドドドドッ!


爆音が響き渡り、自分の体を焼き尽くす炎を待った。


ーー・ーー・ーー・ーー・ーー・ーー・ーー


少し時はさかのぼる。


前線と、ポーチ達の奇襲部隊と情報を共有した真琴様が俺達の元に飛んでくる。


「健!」


アライサルの背に乗った真琴様が、俺の姿を見て名前を呼ぶ。


「向こうはどうだった?」


「前線部隊はシャーリー達が合流した上、プリネラがやってくれた。当分は大丈夫だろう。」


「そいつは良かった。」


「ポーチ達は?」


「今から作戦決行だ。」


「それじゃあ俺の出番も近そうだな。」


俺が何処にいるかと言うと、ポーチ達の部隊より更に北西に向かった地点。特に何も無い場所だが、真琴様の予想ではこの辺りで待っていれば、ポーチ達に仕掛けられた罠を潰す事が出来るだろうと言うことだ。正直何を根拠に言っているのか全く分からないが、こういう事は俺の担当ではない。俺はとにかく邪魔な奴を誰であろうと排除するだけだ。


「天災級ドラゴンは来ないと言っていたが、本当に来ないのか?奇襲を予想して潰す為なら天災級ドラゴンを使ってもおかしくないだろ?」


「いや、ここで使うにはリスクが高過ぎる。あくまでも奇襲部隊を奇襲させる部隊だ。少数部隊に変わりはないからな。そんな場所に用いるより、本隊の前進に使った方がずっと有効的だろう。あのデカさだと奇襲にならないしな。」


「遠くからでもよく見えるもんな。」


西側から魔法の爆発音や、剣を打つ戦闘音が聞こえてくる。


「始まったな。そろそろ来るぞ。」


真琴様の言葉通り、奇襲を奇襲する部隊が現れる。

吸血鬼、悪魔三人、そして5m程の白いドラゴンが見える。


「厄介なのが来たな。」


「白いドラゴンか?」


「うむ。」


大きく反り返った角に、細く長い尻尾。羽は無い。ホワイトドラゴンと呼称するとわかりやすいだろう。

特に他のドラゴンと変わりはない様に見えるが…


「何か他のドラゴンと違うのか?」


「あれは小さなドラゴンの集合体なのだ。掌程度の大きさの白いドラゴンが集まって出来ている。」


「俺とは相性が悪そうだな…」


刀を使う以上、範囲的な攻撃は基本的に出来ない。

細かな敵が無数に居ると、時間も労力も掛かってしまう。


「ドラゴンは私とマコトに任せて、ケンは他のを頼む。」


「その方が良さそうだな。」


煙管に火をつけて一度煙を吸って吐く。

握り慣れた白真刀を抜く。この戦争が始まる前に、真琴様がこの刀に手を加えてくれた。ショルーテの鱗を使って強化してくれたのだ。

投身がキラキラと光り、以前より鋭く、硬く、それでいて粘りの強い刀になっている事が見て分かる。


「おい!敵だぞ!」


「たったの三人…?」


「いや、待て。あれは漆黒の悪魔だ!間違いない!」


「こんな所にノコノコ出て来るとはな。」


「殺っちまおうぜ!」


殺気立った奇襲部隊がこちらへ向かって走り出す。


「ふー…」


もう一度煙を吐くと、風に乗って流れていく。


「うおぉぉぉ!」


最初に飛び出して来たのは三人の吸血鬼。中級の吸血鬼だろう。実戦経験もそれなりに有るように見えるが、未開の地を走破した俺達にとっては、あまり脅威には見えない。


俺を取り囲む様に走ってきた吸血鬼達をそれぞれ三回ずつ切り裂く。


まるで素振りをしているような感覚だ。肉や骨を切り裂いたはずなのに、手に伝わってくる感触はほんの僅かなもの。


そのまま三人の横を通り過ぎると、背後でバラバラになって灰となっていく。


「な、なんだ…?今…何したんだ…?」


「斬られた様に見えたが…」


「真琴様に相手をしてもらおうなんて、図々しいにも程があるだろ。そんなに死にたいなら、俺が真琴様の代わりに引導を渡してやるから掛かってこい。」


刀を肩に置いて、人差し指でクイクイと挑発する。


「……人間風情が調子に乗りやがって!」


「俺達吸血鬼が上位種だということを体に叩き込んでやる!」


奇襲部隊にいた全員が抜剣し、構えを取る。上位種だと言うのであれば、多対一では無く、一対一で来るべきだろうに。まとまってくれている方が俺としてはやりやすくて良いが。


この刀はそれだけでも十分に凄い武器だが、実はまだ仕掛けがある。かしらと呼ばれる、柄の先端に小さな魔石が仕込んであり、頭を強く叩くと魔力が刀身に流れ込む。光のドラゴン、ショルーテの鱗で強化された刀身がどうなるかは簡単に想像が着くだろう。


左の掌で刀の頭を強く打つと、刀身にうっすらと光が現れる。


「囲め!逃がすなよ!」


「切り刻んでモンスターの餌にしてやる!」


「一度に掛かれ!」


ジリジリと距離を詰めてくる吸血鬼達。


「殺れ!!」


全員が同時に地面を蹴って飛び掛ってくる。


刀を振ると刀身が強く光り、周囲が完全な白に染まる。視界は失せ、誰も何も見えないだろう。ただ、俺の瞼の裏には、光に消える前の吸血鬼達が鮮明に残っている。


「白夜叉。」


昔一度だけ使った事のある黒夜叉という刀技。その改良版だ。キーカとの修練、未開の地での経験、そして強化された刀があって初めて完成する。

黒夜叉同様、範囲内の敵を殲滅する技だが、スピードもパワーも精度も、全てが数段上の攻撃。光が放たれ、消えるまでの刹那せつな。白真刀は範囲内を縦横無尽じゅうおうむじんに走り回る。


チンッ…


白真刀を鞘に収め、閉じていた目を開く。地面に着地した吸血鬼達。計十人以上がダイス状になってバラバラと崩れ灰となる。


「……」


「………」


残った数十人の吸血鬼達は、理解不能な光景に絶句している。


ドゴォン!


横を見ると、真琴様とアライサルがホワイトドラゴンと戦闘している。


「早いところ終わらせないとな。」


「なんて奴らだ……」


「お前達如き、俺だけで十分なんだよ。さっさと掛かってこい。来ないなら俺から行くぞ。」


「っ?!く、来るな!」


それではお待ちします。なんて奴は見たことがない。地面を蹴って次々と吸血鬼達を屠っていく。上級吸血鬼も俺の動きに反応すら出来ていない。


刀を振り続ける俺の背後から火球が飛んでくる。


横に飛んで避けると、火球は吸血鬼の一人に当たる。


「ぎぃゃぁぁぁ!」


炎に包まれて叫び声を上げる吸血鬼。


「あまり調子に乗るなよ。」


赤髪の悪魔が強い視線を向けてくる。黒髪の悪魔と緑髪の悪魔も同じ様な目をしている。その視線の中には別の意味も込められているように感じる。


「話を聞ける雰囲気では無さそうだな。」


「話す事など何も無い。」


赤髪の悪魔は戦斧、黒髪の悪魔は双剣、緑髪の悪魔は大剣を持っている。バイルデン王の様な威圧感は感じないが、悪魔種の中でも経験豊富な者達だろう。


黒髪の悪魔と緑髪の悪魔が左右に別れて走り出し、赤髪の悪魔が正面から走ってくる。どうやら三人で確実に潰しに来るらしい。


「はぁっ!」


振り下ろされた戦斧を紙一重で避けると、背後から大剣が寄ってくる。バク転の要領で大剣を躱すと、着地点に双剣が差し出される。

左手で地面を抑え、両足で双剣の持ち手を蹴って直立に戻る。そこへ戦斧と大剣が左右から襲ってくる。

姿勢を落として地面に近付くと、頭の上を戦斧と大剣が通り過ぎる。そのまま足払いで二人の体勢を崩し、背後から迫る気配に左手の拳を叩き付ける。


「ぐがっ!」


二人は地面に尻もちをつき、一人は拳の衝撃で宙を飛び、少し離れた位置に着地する。


「……舐めやがって……」


「剣を使わないのは我々への侮辱か!」


「いつでも殺せるとでも言いたいのか!」


「……そんなつもりはねぇよ。なんとなく斬りたくねぇ。それだけだ。」


自分でも何故斬りたくないのか分からない。ただ、斬ってはいけない気がする。


「バカにしやがって…」


三人の悪魔が更に殺気立つ。


「死ねぇ!」


三人が同時に攻撃を仕掛けてくる。怒りに満ちた顔と、攻撃は、見れば分かる。

何にそれ程怒っているのだろうか。今回の戦争とはもっと別の所に原因があるように感じる。もしこの感覚が正しいものならば、勘違いで殺し合っている事になる。それこそ馬鹿らしい事だ。


刀を反転させる。


三人の首元に峰打ちで刀を打ち込む。


バキッと音がする。恐らくは鎖骨が折れただろう。


「ぐぅっ!」


「っ!」


「何故斬らない!斬れ!」


「斬りたくないから斬らない!」


「なっ?!」


戦場で敵を斬らないなんて事は有り得ない。どう考えても頭のおかしい行動だとは自分でも分かっている。


ゴウッ!


突然横から白い炎が飛んでくると、残っていた吸血鬼達が白い炎に包まれ消えていく。


「健。」


「…漆黒の悪魔か…」


「真琴様…」


「……」


「すまねぇ。俺にはこの三人を斬れない。」


「何故だ?」


「なんて言えば良いのか…この三人は俺達とは別の何かと戦っている気がするんだ。俺の判断が間違っているなら言ってくれ。」


「……いや。そんな事は無い。」


「何か知っているのか?」


「プリネラに話を聞いてな。悪魔種は人種に対して強い恨みを持っているらしい。」


「何かあったのか?」


「何かあったのかだと!あれ程の屈辱を与えながら忘れたなどとは言わせんぞ!」


「屈辱…?」


「お前達人種が我ら悪魔種を騙した事を無かったことにするつもりか!そうはさせん!」


「止めとけ。今動いてもろくに戦えないだろ。」


「例え頭だけになったとしても喉笛を食いちぎってやる!」


「…それ程の恨みか。」


「……」


「話してみろよ。俺達も人種に苦渋を舐めさせられた事がある。」


「……」


「話せよ。俺に負けたんだから敗者らしく振る舞えって。」


「ちっ。」


「俺達悪魔種は、昔アライルテム族に助けられたことがある。」


「アライルテム?」


「それってナーラの…?」


「それで?」


「ドラゴンとの戦闘があった後、アライルテム族の者達が匿ってくれたんだ。」


「そうだったのか。確かにアライルテム族なら普通の魔法とは違う魔法を使うからな。姿を隠すのは得意だろうな。」


「俺達悪魔種が体を癒して彼等の村から出て行った後、人種の連中が俺達に接触してきたんだ。

人種の連中は、アライルテム族が少数の民族と知っていて、保護する為に探していると。俺達はそれを信じて村の場所を教えた。その後どうなったか知っているか?」


「アライルテム族の全滅か。」


「俺達を騙してアライルテム族の居場所を突き止め、殲滅したんだ。世界から嫌われ、絶滅寸前だった俺達悪魔種を救ってくれたアライルテム族を俺達が絶滅させたんだぞ!ドラゴンとの戦闘だって何かおかしかった。あれも人種の仕業に違いない。」


「……」


真琴様が珍しく複雑そうな顔をしたが、一瞬だった。


「……何故少数のアライルテム族を滅ぼしたんだ…?」


「あの者達の使う魔法は普通とは違う。そしてアライルテム族以外の者には使う事が出来ない。それが恐ろしかったのさ。人種はな。」


「……確かにアライルテム族を滅ばしたのは人種だが、前からおかしいと思っていたんだよな。」


「何がだ?」


「アライルテム族の殲滅は確かにあったはずなのに、人種の記録にはアライルテム族の事に関する資料が一つもない。それどころかアライルテムという言葉すら記録には残っていないんだよ。」


「ふん。人種のやる事だ。なにもおかしくはないだろ。」


「いや。もし、人種がアライルテム族の魔法を脅威だと考えているならば、その記録は必ず残しているはずだ。再度脅威となった時のために、もしくは、自分達でその力を使うために。それが人種だからな。」


「じゃあなんで記録が無いんだ?」


「……その時にアライルテム族を襲った奴らの事を覚えているか?」


「悪魔種に情報提供を求めた奴の顔なら覚えている。忘れたりしない。」


「どんな姿だった?」


「クルクルの黒髪に、背中の曲がった頭のおかしな男だ。」


「……そういう事か。」


「どういうことだ?俺にはさっぱり分からないが?」


「その男は恐らくアガナリ-ヤトリフだ。」


「アガナリ-ヤトリフって…あの狂った研究者気取りの吸血鬼か?」


「あぁ。」


「吸血鬼だと?!」


「そうなると話が通じてくる。アライルテム族を恐れたのは人種では無くて、吸血鬼。その長であるギュヒュトだ。」


「どういうことだ!?」


「恐らく、アライルテム族の使う死霊魔法。それを用いる事で吸血鬼に何らかの致命的な効果を与えるのだろう。吸血鬼としての能力を奪うとか……待てよ。確か凛が吸血鬼にならなかったのはあのブローチのおかげ…あれには複数の魔法が入っていた。

詳しく判別出来なかったが、死霊魔法が入っていたとしたら…

アライルテム族の死霊魔法と、普通の魔法を組み合わせる事で吸血鬼に致命的な効果を与える魔法が完成するとしたら、アライルテム族を殲滅する理由にならないか?」


「そ、そんな事は憶測にしか過ぎない!」


「アライルテム族を恐れたギュヒュトが、アガナリ-ヤトリフを使い、悪魔種を騙し、更に人種を騙してアライルテム族を殲滅させる。

その際に罪は人種に被せる。そうすると、悪魔種は人種を憎む。後に世界を手中に収めようとしている吸血鬼からしてみれば、個々の能力が高い悪魔と、数が多い人種がぶつかり合って互いに潰し合う。死体はそのまま死者の兵士に変えて使う。そうすれば苦もなく世界を手中に収めることが出来る。」


「そんな事……」


「人種を騙し続けていたギュヒュトの事だ。それくらい簡単にやってのけるだろう。」


「そんな…なら俺達は何のために今まで!」


「それが真実かは分からないが、確かめてみるくらいの信憑性しんぴょうせいはあるように思うが?」


「真琴様の言う通りだな。もし人種が悪いだけなら、また来れば良い。その時は遠慮なく斬り伏せてやるさ。」


「……分かった。少しの間は休戦だ。もしその話が真実ならばこの戦争に参加するのは馬鹿のする事だ。」


「俺達にとっても、お前達にとっても、敵は同じならここでいがみ合う必要は無いからな。」


「だが、もしそれがただの虚言だったなら、その時は殺してやる。」


「死ぬのは嫌だから抵抗させてもらうがな。」


「ふん。」


三人は怪我も治さず本隊へと向かって走っていく。


「なんだか北半球というのは面倒な事ばかりだな。」


「それが北半球での生き方だからな。」


ドドドドドドッ!


ポーチ達の奇襲部隊の方で火の矢が降っている。


「ポーチの魔法…?」


「……まずい!もう一部隊いたんだ!」


「なんだって?!」


「ドラゴンが居たらポーチでも厳しいかもしれない!」


「くそっ!」


「走っても間に合わない!健!」


「なんだ?!」


後ろを振り向くと、真琴様の手から豪風が現れて体がフワリと浮かぶ。


「なんか前にもあった様な……」


「飛べぇぇーーーーー!!!」


信じられない速度で宙に放たれる


「バカヤローーーーーー!!」


俺の叫びは無情にも風に掻き消されてしまう。


ぐんぐんと炎が立ち上る場所に近付いていく。


上空から見えたのは赤いドラゴンと緑のドラゴン。そしてその前で苦しそうに立っているポーチ。

レッドドラゴンの正面から爆発が広がり、ポーチの方へと連鎖していく。


真琴様が放ったは素晴らしいコントロールでポーチの目の前に着地する。


左手でいつもと逆の腰に差した鞘から、の刀を抜き取る。


白真刀が純白の刀ならば、こちらは漆黒の刀。美しい波紋と、絶対的な強度。名は黒真刀こくしんとう

タログの鱗を使った強化が施されているが、その効果はプリネラの持っている黒椿とは違う。

こちらにも魔石が仕込んであり、頭を強く打つと、黒真刀がその黒さを増す。


爆発を斬る様に黒真刀を振ると、その場に小さな黒い球体がいくつも現れ、爆発も、それに付随する衝撃も、全てを吸収していく。ブラックホールだ。


かなり危ない所だったが、なんとか間に合ったらしい。


「目瞑ってどうしたんだ?」


「……ケン?!」


「諦めるなんてポーチらしくねぇぞ。」


俺の声に目を開いたポーチが驚いた顔で俺を見上げている。


「まさかケンに助けられるとはの。」


「その言い方は引っ掛かりがあるよ?!」


「くくく。確かに諦めるのは儂らしくないのじゃ。」


「そうそう。いつもみたいに余裕そうな顔をしてなきゃな。」


痛そうに左腕を抑えるポーチに回復薬を渡してやる。

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