第97話 奇襲

「ふむ。そろそろかの?」


北側へと大きく迂回した、儂が指揮を取る部隊。数は多く無いが、精鋭揃い。ラキトリ達白花隊も同行している。


「ポーチュニカ様。」


「どうしたのじゃ?ラキトリ。」


「相手は吸血鬼。この数で本当に大丈夫でしょうか?」


「儂の見たところ、この部隊であれば、上級の吸血鬼程度ならば倒せるはずじゃ。悪魔種は儂が相手をするから、他を宜しく頼むのじゃ。」


「はい…」


「マコトからそれ程の武器を貰っておきながら、自信が無いのかの?」


「正直に申し上げますと…その通りです。例え武器が凄くとも、それに伴った腕が無ければ意味がありません。私達はマコト様方にそれをよくよく教えられて参りました。」


「その考えは間違ってはおらん。じゃが、今回の部隊編成では、ラキトリ達ならばとマコトが直ぐに頷いたのじゃ。それは編成を担当したボボドルも、当然儂も同じ考えという事じゃ。」


「……」


「白花隊だけで全てをなぎ倒せとは言っておらん。ドワーフ、獣人、人種とも連携を取って攻め入れば、何も問題は無い。自信過剰は命取りであるが、自信が無さすぎるのも命取りなのじゃ。」


「…分かりました。皆様が私達の力を認めて下さったのですから、全力で遂行します。」


「うむ。」


マコトと出会う前は、下手したてに出ているように見えて、自信過剰な所のあったラキトリ姫。今では全くの逆になっているとは…マコトの影響力というのは本当に凄いものがあるのじゃ。


白花隊は、ヒュールやプリタニを迎え入れてから更に大きく変わったのじゃ。マコト達と出会ってから、修練に対して手を抜く事は無くなり、地味で厳しい鍛錬も毎日こなしていると聞くのじゃ。

ヒュールとプリタニはマコト達の直接指導を受けた者で、その実力はかなりのものなのじゃ。先に入隊していた者達は、先輩としての意地があるからなのか、更に厳しい訓練をこなした。その事で、今では国軍よりも優秀な部隊となっているのじゃ。


「皆の者。よく聞くのじゃ。

今回の挟み込み作戦は奇襲。つまり、側面から一気に食い破る必要があるのじゃ。敵方の側面への警戒が薄過ぎる為、罠の可能性も高い。迅速性が問われる作戦じゃが、細心の注意を払いながら一気に駆け抜けるのじゃ。

遅れないようにするのじゃぞ。」


「「「「はい!」」」」


そろそろ奇襲を開始する位置に辿り着く。マコトが合流した後、奇襲を開始。罠の可能性が高いため、マコトとアライサルが上空からもしもの時の援護をしてくれる手筈となっているのじゃ。


少しすると、後方から物凄い勢いで風を切りながら飛んでくる青いドラゴン。それに乗ったマコトが見える。


「ポーチ!」


「やっと来おったの。」


「いくつか伝えておく情報がある。」


「何か分かったのかの?」


「あぁ。プリネラとトジャリ達がモンスターを操っていた禁術を無効化してくれた。サニクシや黒い杭の無いモンスターが居た場合は無視して構わない。」


「トジャリの奴。やりおったの。」


「それと、前に話した死者の兵士達がこの先で待っている。」


「ふむ。死者の兵士達か……厄介じゃの。」


「ポーチや白花隊に渡した武器なら体内に埋め込まれた魔石ごと破壊出来るはずだ。ただ、恐らくかなりの数が用意されている。一人一人の強さは無いが、数で押し潰されないように気を付けてくれ。」


「分かったのじゃ。」


「この戦闘からは、悪魔種の連中も大きく絡んでくるはずだ。こいつらは逆に数は少ないが、個々の能力が高い。ポーチが相手をしてやってくれ。」


「うむ。」


「マコト様!」


「ラキトリ。どうした?少し緊張しているみたいだな。」


「…はい…」


マコトがラキトリの頭に手を置いて撫でると、ラキトリが擽ったそうに目を細め、耳をピクピクと動かす。一国の姫の頭を撫でて許されるのはマコトくらいのものじゃろう。


「お前達なら出来る。自信を持て。ただし、悪魔種とは戦うな。援護程度に抑えるんだ。必ずポーチがなんとかしてくれる。」


「…はい!」


「それじゃあ頼む。」


またアライサルに飛び乗ると、上空へと飛んでいく。


マコトの一言でラキトリの顔が更に引き締まった様に見える。本当に影響力の大きな男なのじゃ。


「全員武器を持つのじゃ!」


全員が抜剣し、馬の上で前傾姿勢になる。北に広がっていた森は目の前で終わっている。


「突撃なのじゃ!!」


「「「「うおおぉぉぉぉぉ!!」」」」


一気に馬が駆け出し、砂埃を巻き上げて一気に突撃を開始する。一丸となった奇襲部隊の総勢は百人程度。一気に食い破らなければ逆にすり潰されてしまうのじゃ。


「進め!進むのじゃ!」


「食い破れぇ!」


横からの奇襲に反応が遅れた敵の本隊。最初の一兵がその中へと突っ込んでいく。


「魔法!放てぇ!」


軍勢の中に魔法が放たれ、爆風がここまで届いてくる。刃が打ち合う音と、悲鳴や怒声が入り交じる。吸血鬼は灰となり、それ以外の者達はその場に転がり息絶える。今儂が立っている場所…これが戦争なのだと痛感せざるを得ないのじゃ。


「ドワーフの者達が攻撃を受けてくれている間に一人でも多く殺せ!」


「進め!前に進むんだ!」


奇襲部隊の中でも白花隊の者達は、特にその猛威を振るっている。洗練された連携や、個々の判断、そして魔法剣士としての役割を十二分じゅうにぶんに果たしてくれているのじゃ。


「ぐぁぁあ!」


「気を付けろ!上級吸血鬼達だ!頭を狙え!」


「我らドワーフの壁を敗れると思うなよ!」


「俺達獣人も負けてられんぞ!押せ押せぇ!」


「姫様!前に出過ぎです!下がってください!」


「分かったわ!

ヒュール!左側が苦戦してるわ!援護に回って!」


「はい!ロックバースト!」


「私達を倒そうなんて、百年早いですわ!あいてっ!」


「プリタニ!下がって!」


「わ、分かっていますわ!」


相変わらずプリタニのドジが発動しているみたいじゃが、危険な程のドジは無さそうじゃ。


「クズ共が!死ねぇ!」


「がぁぁ!」


「ちっ!下がれ!そいつは牽制しておけば良い!」


「ポーチュニカ様!悪魔種です!」


「来たか!儂に任せて下がるのじゃ!」


「はい!」


「ヒュール!悪魔種の魔力を見ておくのじゃ!他に現れないか気を付けておけ!」


「はい!」


声の方を見ると、黒い角、黒い尻尾、赤い瞳の悪魔種が三人で兵の間を駆けてくる。馬に乗ったまま、この密集陣形内を移動するのは難しいのじゃ。

儂は馬の背に立つと、次々と仲間の乗っている馬の背を渡って悪魔種達の方へと向かう。


仲間だと言うのに、悪魔種達は目の前に居る吸血鬼を殴り飛ばして前に進んでくるのじゃ。

悪魔種三人は全員男。茶髪、青髪、白髪じゃ。


「なんだ?エルフのガキが混ざってやがるぞ。」


「知るか!ぶっ殺す!」


「あはは!楽しいねぇー!」


「まずは挨拶と行こうかの……フレイムピラー。」


第五位の火魔法。指定した場所に高温の火柱を上げる魔法。

三人の足元に魔法陣が現れて、地面が赤く光る。


「生意気な魔法を使いやがる。」


ゴウッ!


周囲の吸血鬼ごと巻き込んで吹き上がる火柱。一瞬で肉体は黒焦げになる温度。


「ぎゃぁぁあ!!」


悪魔種の二人は避けたが、一人は避けきれず、半身を真っ黒に焦がす。


「ストーンソード。」


半身を真っ黒にした悪魔種の首を切り取ると、やっと大人しくなった。


「あははー!死んでやんのー!」


「ただのガキでは無さそうだな。」


「あはは!死ね死ねぇ!」


いくつものウォータースライスが飛んでくるが、儂の目には何をしようとしているのかよく見えている。避けたウォータースライスが後方にいる吸血鬼達を切り刻んで飛んでいく。


「ムカつく!避けるなぁ!」


五月蝿い方の悪魔種が第六位水魔法のウォーターグラップを展開する。あれに捕まれば全身を粉々に砕かれてしまうのじゃ。動きは遅いから捕まる事はまず無い。普通は攻撃の中に混ぜて上手く追い込む事で威力を発揮するのじゃが、単発で放ってもあまり効果を発揮しない。


「あー!もういい!死ねぇ!」


魔法合戦が苦手なのか、地面を蹴って接近戦に持ち込もうとしてくる。


迂闊うかつだぞ!」


「エルフのガキ一人に時間掛けてらんないっての!」


「ファイヤーウォール。」


「うわっ?!」


目の前に現れた炎の壁に慌てて止まる青髪の悪魔種。


「こんな壁で倒せるとでも思ったの?!あはは!馬鹿だねぇ!」


炎の壁を迂回して走ってくる悪魔種の男。それくらい当然予想している。


ドンドンッ!


地面が破裂する音が聞こえる。ファイヤーウォールの周りに仕込んでおいたファイヤーマインが起動した音なのじゃ。


「ぐうぅ…」


冷静に状況を見ている白髪の悪魔種に対して、この青髪の悪魔種や死んだ悪魔種は実戦経験が浅いらしい。単純な罠にも見事に足を突っ込んでくれるのじゃ。マコト達と戦ったバイルデン王とはかなり違うらしい。

ただ、悪魔種というだけで後ろで奮戦している者達には少し荷が重いかもしれない。


「よくも…よくもやってくれたな!」


「それが戦争と言うものじゃ。お主にはちょっと早かったらしいの。小僧。」


「こ、小僧だと?!」


「おい!挑発に乗るな!」


「うるさい!指図するな!」


「迂闊じゃぞ。小僧。スパークフレイム。」


儂の方へと走ってきていた青髪の悪魔を取り囲む様に小さな火の粉が現れる。儂の作り出した第七位の火魔法。


「こんな火の粉!かき消してやるよ!」


悪魔種から放射される水の帯。それが火の粉に触れる。


「よく分からない魔法に無闇に突っ込んでいくから迂闊なのじゃ。無謀の対価は高くつくのじゃ。」


水が触れた火の粉が膨張し、高温の火球へと変化する。圧縮した火球を空中に漂わせた魔法で、触れた瞬間に圧縮が解けるようにしてある。触れた水は一瞬で蒸発し、膨張した炎が付近の火の粉に触れる。次々と連鎖的に膨張していく火の粉が青髪の悪魔種を覆っていく。

抜け出そうとしても、火の粉が行く手を阻んで抜け出す事はできない。


「こんな所で…こんなガキに……クソォォ!!」


最後の叫びを聞き流し、残った白髪の悪魔を注視する。火の粉は連鎖を続けて四方八方へと広がっていく。

残念ながら白髪の悪魔種まで取り囲む事は出来なかったが、辺りの吸血鬼は一掃された。


「お主は先の二人とは少々違うようじゃの。」


「あいつらはまだ百年も生きていない雑魚だ。一緒にするな。」


「冷たい言い方じゃの。」


「ガキだと思っていたが、どうやら違うみたいだな。」


「さっきからガキガキとうるさいの。儂から見ればお主らの方がガキじゃというのに。ほれ。先輩が相手をしてやるのじゃ。さっさと掛かってくるがよい。」


「ふん。 エルフの分際で生意気な奴だ。後悔させてやろう。」


悪魔種の体が強く光る。光に紛れ、高速で移動した悪魔種が背後から隠し持っていた直剣を振り下ろす。


ガギッ!


しかし、光に覆われた所で何も変わることは無いのじゃ。儂は姿ではなく魔力を見ているのじゃから。

ストーンシールドで背後からの一撃を止めると、悪魔種の男は更に二回、三回と剣を振る。

ストーンシールド程度であれば、悪魔種の攻撃を何度も受け止められず破壊されてしまうのじゃ。


「力押しばかりでは勝てぬぞ。ストーンランス!」


「ちっ!」


儂の背後にいる悪魔種の更に背後からストーンランスが現れる。即座に離脱して距離を取る。


「ほう。なかなか動けるようじゃの。」


「その生意気な口を切り裂いてやる。」


「悪いが、儂も人気者での。そろそろ小僧とのお遊びも終わりじゃ。」


「させるか!」


ホワイトフォールを発動した悪魔種の男。範囲は狭いが、それなりの威力があるのじゃ。


ドゴォン!


地面を打つ光の柱。


「油断したな。直撃だ。」


光の柱が細くなり消えていく。


「ふむ。やはりマコトの作った物は格別じゃの。」


「なんだとっ?!」


「悪いが、儂の知り合いに規格外の男がおっての。この程度ならローブ一枚で防げるらしいの。次は儂の番じゃ。マコトへのお礼も込めてこの魔法で終わりにするのじゃ。」


魔法陣が目の前に現れると、真っ白な炎が現れる。マコトが教えてくれた火魔法。第八位の白炎獄。こっそり練習して使える様になったのじゃ。残念ながら、マコト程の広域魔法には至らなかったが。


「白炎…だと?!」


「ここからはオリジナルじゃよ。」


出現した白炎が形を変えて数本の矢の形に変わり、それがヒュンヒュンと音を立てて飛びまわる。


「くそっ!」


踵を返して走り出した悪魔種に向けて放った白炎の矢。魔法の矢のスピードに勝るはずも無く、走る悪魔種の男の背中に突き刺さる白炎の矢。

刺さった所から白炎が全身に広がり、焦げるのではなく蒸発していく。


「ぐぁぁあ!」


最後まで見届けた後、先へと進んでいるラキトリ達に合流する。


「こっちはどうじゃ?」


「ポーチュニカ様!間もなく南側からの奇襲部隊と合流出来そうです!」


「うむ。合流したらそのまま東へと追い込むのじゃ。」


「はい!」


ラキトリ達に指示を出したすぐ後、地鳴りの様なドドドという音が聞こえてくる。


「なんじゃ?」


「ポーチュニカ様!後方から死者の兵士達とドラゴンです!」


「ドラゴンじゃと?!」


「天災級ではありませんが、間違いなくドラゴンです!」


「天災級でなくともドラゴンは厄介じゃの…」


「ポーチュニカ様!私達を連れて行ってください!」


「姫様!?」


「マコト様から、サニクシの影響を強くは受けないと太鼓判たいこばんを頂いております!死者の兵士達の事を我々にお任せ下さい!」


「姫様!それはなりません!姫様はこのまま東にお進み下さい!」


「ここで行かねば我々が潰されてしまいます!」


「私が行きます!」


「ふむ……パーナの言う通りじゃな。ラキトリはこのまま東へと向かって行くのじゃ。」


「ポーチュニカ様?!」


「儂が抜けた後、この部隊を率いる事が出来るのはラキトリだけじゃ。聞き分けるのじゃ。」


「……分かりました。」


「パーナ!プリタニ!数人連れて儂に着いて来るのじゃ!」


「「はい!」」


進んできた道を折り返して戻ると、西側から儂達と同じ様に迂回した死者の兵士達と、黒い杭とサニクシを体中にぶら下げたドラゴンが二体現れる。

一体は全身を不透明な赤い鱗で覆い、穴の空いた筒の様な尻尾と角を持ったドラゴン。レッドドラゴンと言ったところじゃろうか。このものをレッドドラゴンと呼ぶのであれば、もう一体はグリーンドラゴンじゃろう。

全身を葉っぱの様な形をした不透明な緑色の鱗が覆い、枝の様な尻尾と角。その先端には赤い果実が実っている。


「悪魔種なぞ赤子に見えるのじゃ…」


「二体…どうしますか?!」


「やる事は変わらないのじゃ。儂があのドラゴン達を相手にするのじゃ。お主達は死者の兵士達を頼むのじゃ。」


「「はい!」」


この一団をどうにかせねば、儂らが無事に戻る事は出来ない。

この二体のドラゴンは、両方5m程度。天災級とは呼ばれぬ大きさじゃが、人々を蹂躙するだけであれば容易いじゃろう。これほどの力を持ったドラゴンがサニクシに混乱させられるというのは不思議な話じゃが、マコト曰く、ドラゴンの聴覚を強く刺激する様に作られておるらしい。


「パーナ。プリタニ。」


「はい?」


「儂が逃げろと言ったら、直ぐに逃げるのじゃぞ。」


「ポーチュニカ様?!」


「あれを二体相手にして無事に帰れる保証は無いのじゃ。お主達が逃げる時間くらいは稼ぐからの。振り返らず逃げるのじゃぞ。」


「ポーチュニカ様を置いて逃げるなど!」


「駄目じゃ!」


「……」


「絶対に逃げると約束するのじゃ!良いな!」


「は、はい…」


「うむ……行くのじゃ!」


天災級とは呼ばれずとも、それに相当する強さを持った個体。無事に帰れる可能性が低い事は見ただけで分かるのじゃ。


「グギッ…ガッ…ガァァ!」


レッドドラゴンが苦しそうに声を上げると、尻尾が振られ、穴の空いた部分から何かの粉末が流れ出す。空気中を漂う粉末。特に毒性があるという事も無さそうじゃが…


チリッ!


尻尾の先から火花のような物が飛ぶ。


ズガーン!


火花を中心に粉末が漂う場所に信じられない程の爆発が起きる。


「なっ?!」


咄嗟に全員を守れる大きさのストーンシールドを展開するが、爆心地に近い場所のシールドが破壊され、破片が飛んでくる。


「なんという威力じゃ…」


「ポーチュニカ様の邪魔になる!皆十分に下がって援護にあたれ!」


「「はい!」」


皆が下がった事でやりやすくはなったが…攻撃が通る気が全くしない。それは白花隊の持っている武器をもってしても同じ事じゃろう。


「ゲギッ…ゲギャッ!」


グリーンドラゴンも動き出す。頭を振ると、葉っぱ型の鱗が飛び散り、地面に刺さる。鱗の端は刃物の様に鋭利で、そこらの剣より余程斬れ味が良いだろう。鱗を避けていると、赤い果実が降ってくる。

ただの果実とはとても思えぬ。触れないように避けると、果実が地面に刺さった鱗に触れる。


バァァン!


猛烈な破裂音が聞こえると、赤い果実が割れて、中から棘の様な形の物が全周囲に飛んでくる。


「いかん!」


咄嗟に近くにあった鱗の後ろに隠れると、バキバキと隠れた鱗に棘が突き刺さる。突き刺さった棘を見ると、どうやら鱗が棘状になった物のようじゃ。棘と言ったが、長さは50cm、太さは儂の太もも程はある。この時ばかりは鱗に全身を隠れさせられる、自身の小ささに感謝する。


「これはマコトのローブでも無理じゃろうな…」


無理矢理操られていると聞いていたが、操られているドラゴンに意識があるのか抵抗している様に見える。それでもこの恐ろしさ。流石は最強種じゃの。


「逃げてばかりでは精霊の魔導師の名が泣く…かの。」


覚悟を決めて鱗の裏から飛び出す。

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