第10話 強くなるために -シャーロット-

「ほう…なかなかに珍しい客が来たな…」


男とも女とも取れない中性的な声が静かな空間に響き渡る。


ここは龍脈山から西へと伸びる大森林チュコロ。デュトブロスの国土の西に位置する大森林で、ここに現れるモンスターも龍脈山程では無いにしても強敵揃いという事は龍人種の中では有名な話。


しかしこの大森林の奥深くに、ある生き物が住み着いている事は誰も知らない。

大森林チュコロの奥深くには木々が避ける様に、ポッカリと空いた区画が存在し、その中央には大岩がポツンと居座っている。その大岩の上にいつから動いていないのか、一匹の聖獣…になりかけの獣がいつも寝ている。


白く美しい体毛にたてがみ。青い瞳に一本の白いつのが生えた馬。

雷を使う獣、麒麟きりん


麒麟は最終的に聖獣となる生き物で、私の知る限り生き物の中で最も美しく強い雷魔法を使う。

数百年前、デュトブロスを訪れた際にこの麒麟と相対する事があった。


下級吸血鬼が暴れ回っているという情報を聞きつけこのデュトブロスへと来た事がきっかけだった。

その頃から私は悪さをする下級吸血鬼をしていた。

そのうちの一人がこの大森林チュコロへと逃げてきたのだ。龍人種の吸血鬼というのは他の種族の吸血鬼よりも力が強く、暴れ出すと普通の龍人種には手がつけられなくなる。

当然星龍達が動き出してはいたし、逃げ場は無かっのだけれど、これは私の役目。


最後の一人を追い詰めたのは大岩の側だった。


「くそっ!なんで始祖がこんな所にいやがるんだよ!勝てるわけ無いだろうあんな化け物!」


「追いかけっこは終わり?」


「ひっ!?」


私を見る目は恐怖に怯え、キョロキョロと逃げ場を探している。


「逃げられると思ってるの?」


「くそ…くそぉぉぉー!!!」


バチンッ!!


まるで空から落雷があったかのように一筋の雷撃が私とそいつの間に落ち、一瞬視界が真っ白になる。

雷撃が当たった地面はチラチラと小さな火が燃えて黒く焦げている。


「騒がしい…」


声の主は大岩の上に悠々と立っていた。

私が初めて麒麟を見たのはこの時だった。


バチバチと体を這うような電気が走り、青い瞳が私達の事を見ている。

存在は知っていたけど、まさかこんな所にいるとは思っていなかった。


災難だったのは下級吸血鬼。そいつが言っていた化け物級の存在が同じ場所に集まってしまったのだから、気の毒に思える程。


「麒麟。邪魔するつもりは無かった。そいつを殺せば直ぐに出ていく。」


「……吸血鬼か。」


「うあぁぁぁ!!!」


何を思ったのか下級吸血鬼は大岩の上にいる麒麟に向かって攻撃を仕掛けた。

私よりも麒麟の方が弱いと思ったのか、私より楽に殺してもらえると思ったのか…どちらにしてもそれは大きな間違い。

恐らく単純な魔力や攻撃力であれば私よりずっと上の存在。聖獣化していないとは言え、それに近い程の力を感じる。つまり、下級吸血鬼には微塵も傷付ける事は出来ない存在。


バチバチッという激しい雷光が下級吸血鬼を襲うと体を痙攣させ聞き取れない言葉を口から漏らす。

数秒間に渡り地獄の痛みを経験した下級吸血鬼は白目を剥いてその場に倒れ、灰となって消えていく。


「……」


「それで。お前はここを無傷で出られると本当に思っているのか?」


「争う必要は無い。」


「悪いが私の事を知ったお前を帰すわけにはいかない。」


「別に誰にも言うつもりは無い。」


「それを信じる程私は愚かでは無いのだよ。」


雷光が私の元に走り全身に痛みが走る。でも既に私はこの時には痛みに鈍感になっていた。


「………ほう。死なぬか。」


「……そうだね。やっぱり死ねない。貴方じゃ私は殺せない。」


「ならば試してみるとしよう。」


そう口にした麒麟はそれから数時間に渡り私に対してあらゆる魔法を行使した。

体中を駆け巡る電撃は痛みを与えるが、ただそれだけの事だった。

私の使う魔法や物理攻撃では麒麟の毛先も切る事は出来ない。

大人しくその全てを受け続け、それでも全く死ぬ気配が無い私を見て麒麟は遂に攻撃を止めた。


「……さぞ生きにくいだろうな。」


攻撃を止めた麒麟が私に対して放った言葉はそれだった。

死ねない体。麒麟はきっとその事に気が付いたのだろう。


大岩から下りて私の目の前に来た麒麟。

青い瞳で私を見つめると、もう一度言葉を発した。


「何故先の吸血鬼を追っていた?」


「人を殺したから。」


「吸血鬼とはそういう生き物であろう?」


「…違う。少なくとも私はそんな事は望んでない。」


「お前が望もうと望むまいとあまり意味は無かろう。」


「私から始まったから。」


「………まさかお前が?」


「既に1000年以上生きてる。私が吸血鬼の始祖。」


「なんと……それは面白い奴に出会ったものだな!

しかし、始祖ともなると死なぬのか。上級吸血鬼と会ったこともあるが、あやつらでも私の電撃には耐えられなんだぞ。」


「私は頭を潰されたとしても死なない。それに血も必要ない。」


「確かに牙は他の吸血鬼より短いようだな……

だが、吸血鬼である以上嫌な思いもしてきたろうに。何故人を殺す事を悪とする?」


「……殺戮は嫌いだから。」


「…理由もなく人を殺す事、それ自体を嫌っておるという事か。変わった奴だ。

まぁお前の言った、人には言わないという言葉は信用出来そうだな。」


「そもそも私は他人との接触を避けてるから。」


「……少し付き合え。」


「??」


「抵抗もしないお前に魔法を使った詫びとでも思ってくれ。」


私は首を縦に振る。麒麟はその場に足を折って座り込み、その隣に私は腰を下ろす。


「私の名はギーギー。この森に住んでいる。ここは居心地も良いし邪魔者もおらんから居場所を奪われたくなくてな。すまないことをした。」


「別に良い。気持ちは分かるから。」


「お前の名を教えてくれぬか?」


「私の名前はシャーロット。ヴィンス-シャーロット-ディストリッヒ。」


「……なるほどな。ディストリッヒか。」


「知ってるの?」


「詳しくは知らぬ。私もまだ生まれていない時の話だからな。

ただ、その家名には聞き覚えがある。大昔に栄えた国の王族が冠する家名。」


「……」


「やはりか。」


「私が生まれて直ぐに国が滅びて家族も死んだから何も覚えてない。だから私は王族とは言えない。」


「まさかあのの生き残りがいたとはな。」


「災厄の国?」


「昔ディストリッヒ王が頂点にある王国リリルトという国があったらしい。

その国はとてもよく栄えたが、ある日突然城下の街ごと全て消えたらしい。」


「全て消えた…?」


「詳しくは知らぬと言ったろう。噂程度の話しか私も知らぬ。

ただ、一日にして国が、そこに住む者達を含めて消え去ったのだ。その経緯からその国を災厄の国と呼ぶようになったらしい。」


「……」


「大昔の話だ。今はもうその事を知る者もほとんどおらぬだろうな。」


「そっか…」


「だが、そこの王女、つまりお前の母親はとても美しいと評判だったらしいぞ。お前と同じ、とても美しいの美女だったとな。」


「そう言われても私は全く覚えてない。」


「…そうか。」


「話してくれてありがと。」


「いや。本題は別にある。」


「??」


「もしお前が望むのであれば、私の角をやろう。」


「角?」


「麒麟の角は一年に一度生え変わる。その抜け落ちた角はいつも私が食べてしまうのだが、欲しければやってもいい。」


そう言うと麒麟の角がボトリと落ちる。


「丁度今日がその生え変わる日でな。」


抜け落ちた所からまた角が生えてくる。

そんな生態なんて知らなかったしそもそも角をどうすれば…?お金なんて要らないし…


「その角を食す事が出来れば、私の体内にある雷魔法の素質をその体に宿す事が出来る。

但し、普通の者が食せばあまりに強い効果故に即死する。だが、シャーロットは死ねぬ体だ。」


「つまり私は食べても死なないから雷魔法が使える様になるって事?」


「死ぬかもしれんがな。」


「……」


私は脆くなった角の先端を折って口に入れる。

味はしない。ガリガリと噛み砕くと口の中に電気が走るが、無理矢理飲み込む。


体の中から痺れる様な痛みが走る。


「うっ……」


バチバチと体が帯電し全身が酷く痛む。目の前がチカチカと明滅し、口の中に血の味が滲む。


それが数分間に渡り続いたが、私はやはり死ぬ事は出来なかった。


黒かった私の髪は明るい紫色になり、その時から私は雷魔法を使う事が出来るようになった。


「すまないことをした。あれ程美しかった黒髪が…」


「良い。髪の色なんて気にしてない。」


「そうか…」


「うん。」


「シャーロットはこれからもこんな事を続けるのか?」


「そのつもり。私を殺す事が出来る人が現れるまでは。」


「そうか………

もしもシャーロットの気持ちに何か変化があって助けが必要であればここに来るといい。私もまだまだ聖獣になるつもりは無いからな。」


「……分かった。」


多分ギーギーは髪の色を変えてしまった詫びとでも思っているのだろう。

気にしていなかったけど、現在その言葉が救いになっていた。


久しぶりに会ったギーギーは初めて見た時と変わらない姿で、やはり美しい姿をしていた。


「ギーギー。久しぶり。」


「シャーロットか。久しいな。

………気持ちに変化があった様だな。」


「うん。守りたい人達が出来た。」


「そうか。死にたがりは止めたか。」


「うん。」


「それで?」


「龍脈山で白い女のモンスターと出会った。その時助けたかった人達を守りきれなくて危うく死なせてしまう所だった。

私は死なないけど、護る力が無いと私は絶対に後悔する。ううん。後悔したからここに来た。」


「恐ろしい程の変わりようだな。」


「変えてくれた人がいるから。」


「あのシャーロットをな…さぞや変わった奴なのだろうな。」


「ドライアドやウンディーネを使役する人。」


「なんと…上級精霊を……恐ろしい奴だ。」


「そんな事ない。凄く優しい。」


「そうか。シャーロットの顔を見ればそれが本当だと分かるな。」


「顔?」


「気付いておらんのか。お前笑っておるぞ。」


笑い方なんて忘れてしまって久しいというのに、麒麟に言われて口角が上がっていることに気がつく。

まだ私は笑えるらしい。


「そう言うことならば付き合ってやろう。」


「良いの?」


「私もそろそろ体を動かさないとな。」


「そっか。ありがと。」


「礼を言うのはまだ早かろう。」


私は死ねない体を持ち、体が歳を取ることを止めてからかなりの時間が経つ。

人は種族に関わらず体の成長と共にある程度魔力も成長していく。魔力が少ないと言われているリンでさえほんの僅かではあるが成長している。

マコトに至っては持ち合わせている魔力が日に日に増している。

残念ながらケンは全くのゼロだけど。


そして私は体が成長を止めた時から魔力量が一切変わっていない。

そもそもの魔力量が多いけど、ここから先彼らを護る為には今のままでは難しい。


魔力量を上げる何かを探すか、それに変わる何かを探すか…どうすればいいかは全く検討もつかないけど…


ギーギーの角を食べると言うのは意味が無い。あれは素質を植え付けるだけであって魔力量には影響しないから。

ギーギーの元に来たのは角を貰う為ではなく、力の使い方や何かヒントを貰えないかと思っての事。


ギーギーも力を貸してくれるというので何か思う所があるのだろうけど…


「まず、シャーロットにはまだ眠っている魔力がある事には気付いているか?」


「え??」


「やはり気付いていなかったか。」


「私にそんな力が?」


「ある。それは間違いない。間違いないのだが…」


「??」


「どう取り出せば良いのかは分からぬ。」


「……」


「恐らくシャーロットの体質によって取り出したくても取り出せない状況にあるのだろうが…」


「不老不死?」


「恐らく不老という体質が影響しているだろう。」


「やっぱり…」


「とは言え、あるのだから取り出せるはず。その方法を共に探してみるしかないな。」


「一体どうしたら…」


「恐らくは体が成長していない状態で止まっておる為その魔力を引き出すと体が魔力に耐えきれ無いから蓋をしておる状況だろう。」


「無理矢理蓋を外したら?」


「それは無理だろうな。本能の部分だろうからな。

もし出来たとしても体が抑えきれず魔力が爆散して終わりだろう。」


「爆散…私も爆散…?」


「それくらいで死なぬのは分かっておるが、気持ちの良いものでは無いからな。無謀な事はやめておけ。」


「でもそうなると糸口が無くなる。」


「そんな簡単に見つかる糸口があれば私の元に来る事も無かったろう?

時間が掛かるだろうが色々と試して糸口を見つけるしか無かろう。」


「……そうだね。分かった。」


「ではまず…」


そう言ってギーギーと私はあらゆる事を試していった。

魔力が尽きるまで魔法を使い続けてみたり、魔力をひたすら体内で循環させてみたり。考えつく事であればそれがどう考えても馬鹿な事だったとしても全てを試した。

この実験は毎日続けた。だが、その成果は半年間の間全く無かった。

副産物として、ギーギーに教わる魔力操作によってリン程では無いにしても、幾分かの繊細な魔力操作を身につけていた。正直悲しい成長の仕方だったが。


そして半年が過ぎた頃、遂に私達は手掛かりを掴む事に成功した。その方法とは私としてはかなり突拍子もない方法だった。


「んー………ん!!!」


「今のは少しよかったな。」


「少しは出来てるの?」


「の様だな。一瞬だけ魔力量が増加した。」


「まさかこんな方法だったなんて…」


「精霊にとっては割と普通の事なんだが、まさかシャーロットにこの方法が通用するとは思わなかったな。」


「擬似的に体を成長させるなんて、普通出来ないからね。」


魔力を使って体を大人へと変化させるという方法だった。精霊と呼ばれる存在は本当の姿形という物が存在しない。

ドライアドやウンディーネはその姿が好きだからそうしているだけであって、その姿が本当の姿という訳では無い。魔力を使って姿形を1つの物に固定しているだけ。


その方法を応用し、体のサイボウとかいう物を活性化して一時的に大人の体へと成長させるという物だった。サイボウの話はマコトがしてくれた話で、言っていることはよく分からなかったけど体を構成する物とか言っていた。

私の体が不老不死である事の理由についての予想を話してくれた時の話。その時は何を言っているのかさっぱりだったけど、今は何となく分かる。

小さな粒が集まって一つの私という存在を構成している。精霊が姿形を構成する時の魔力の様なもの。

それを無理矢理活性化させて体を成長させる…でも、供給される魔力が無くなれば不老不死である私の体は元の姿へと戻る。

魔力を得る為に魔力を使うというのはあまりにも非効率に思えるかもしれないけど、十を得る為に一を使うと言えば分かりやすい。

ただ、この使い方はとてつもなく難しい。体全体に魔力を薄く出来る限り均等に伸ばし、作用させる必要がある。

しかもそれを常に行っていないと直ぐに元の姿へと戻ってしまう。と言っても私が今出来ているのはほんの僅かな変化で、しかも一瞬。まだまだ先は長い。


「しかし、このままではらちが明かないのも事実だな。」


「うん。」


「まずは魔力を薄く均等に伸ばす練習からするべきだろう。」


「どうすれば良いの?」


「そうだな……この様にすれば良い。」


そう言うと、ギーギーの体が僅かに光り始め、体の表面を薄い皮膜の様な魔力が覆っている。


「これくらい出来ねば体内で薄く伸ばすのは難しかろう。」


「む…頑張る。」


私も同じ様にやってみせるが、魔力の膜が破れてバラバラと砕けてしまう。

もう一度とやってみるが、今度は膜が厚すぎてとても薄いとは言えない。


「む、難しい…」


「多少は魔力の使い方がマシになったらしいが、それではとても体内で伸ばす事は出来んだろう。」


「もう一度。」


私はそれからギーギーの指導の元毎日毎日魔力を薄く伸ばす練習を行った。

この方法は魔法防御として作る膜とは大きく違う。あれは物理的、もしくは魔法的攻撃を弾き返すイメージを与えた魔法であり、魔力の膜では無い。

今回の場合は魔力そのものを操作して膜を作る。普通はこんな使い方はしないし、した事も無かった私にはかなり難しい作業。


何度も失敗する私に対してギーギーはバカにする様な事を言ってくるけど凝りずにずっと付き合ってくれている。

感謝しつつもバカにされるのは嫌なので魔力が尽きるまでひたすら練習を繰り返した。


そんな練習を二ヶ月も続けるとそれなりに出来るようになるもので、ある程度の基礎は出来上がっていた。

そして体内で薄く伸ばす練習へと移行したのは良いものの、今まで練習してきた事の十倍は難しい。

今までは膜を作るイメージで面を作り出していたのに対し、体内で薄く伸ばす時は全体に伸ばさなければならない。つまり面で包み込むのではなく立体的に伸ばす。

全く別のものに思える程の難しさに絶句したが、諦めるつもりは無かった。


何度も失敗を繰り返しながら、私は四ヶ月の間みっちりと練習を重ね続けた。

その甲斐あってか、私は自由自在に自分の姿を変えられる様になった。本来の姿よりも若くする事は出来ないが、成長する方向の変化であればどんなタイミングの姿にでもなれる。

しっかりと持続も出来る。大人の体の状態で、ギーギーの攻撃を食らっても解けない程に。


「これで皆を護る力が手に入った。」


「そうだな。しかし、大人の体になるならその時の服も必要だろうな。」


私の体は大人になると胸も大きくなり、背も高くなる。今まで着ていた服ではサイズが合わず服が何枚あっても足らない。

今はみっともないが、大人の簡素な服を着ていてブカブカの状態。マコトに聞いたら何かいい案でも出してくれるかも。


「それは何とかする。ギーギー。ありがと。」


「私は口を出していただけで何もしておらん。」


「そんな事無い。感謝してる。」


「気にするな、頼れと言ったのは私だ。」


「…うん。」


「護りたい者達が待っておるのだろう?早く行け。」


「うん。じゃあまたね。」


眠そうに言ったギーギーと別れて龍脈山の方角へと向かう。


ずっと続いている森の中、久しぶりに会うマコト達の事を考えていた。

多分マコトは私の大人の姿を見たら驚くだろうな。とか、リンはどんな反応を見せてくれるのかな。とか。

ウキウキしながら森の中を進んでいると、黒く大きな影が目の前に現れる。


ブラックスネーク。Aランクのモンスター。


「丁度良かったよ。」


私は自分の体に魔力を巡らせる。

ブカブカだった服が丁度良いサイズへと変わり、私の魔力も大きく増加する。


シャーッ!と威嚇するブラックスネーク。大きな口で私を食べようとしているのだろうか。

ブラックスネークは私を捕まえようとシャドウバインドをいくつも発動する。


それが私の足や手に巻き付き逃しはしないとキツく締め上げる。


「この程度?」


私を飲み込まんと口を広げたブラックスネークに問いかける。


パリパリと私の体から電気が放出される。

ブラックスネークは危険を感じたのか即座に下がりそのまま逃げようとする。


「逃がさないよ。」


バリバリッ!


威力が増したサンダーボルトが逃げるブラックスネークに当たる。体をビクビクと痙攣させるブラックスネーク。残念ながら生きて私から逃げ切る事は出来なかった。


口から煙を吐きならが地面に倒れたブラックスネーク。服の素材になるかもとその皮を剥いでマコトへのお土産にする。


「折角ならこのままの姿で行って驚かせよ。」


ギーギーに言われた様に私は無意識に笑っていた事に気付く。でも、それがとても心地よく、そのままマコトの待つ場所へ向かった。

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