第43話 命を懸けて護りたい人がいるから

俺は皐月がいる方向に走った。その間に弥生たちはこのエリアから抜け出し、自分たちの部屋に帰ってもらう。


「これでいい」


そして長い間この街を走り、ようやく皐月を見つけた。


「皐月。勝負だ」


俺は皐月に向かって震えた声で叫んだ。


「三月れい。なぜ自分から姿を現した? 」


「それはもちろん、お前との決着をつけるためだ」


だが皐月は悟っていた。三月れいは弥生たちを逃がすため、自分が囮になったことを。皐月は三月れいをうらやましいと思っていた。


「まあいい。お前がその気なら、一瞬で殺してやる」


皐月は腕をロケットランチャーに変え、この至近距離で俺にロケットランチャーを放った。


「おいおい。この距離でそれを使えば…」


「ああ。私はもう終わっていい。だから跡形も無くここで消えたい」


そしてランチャーが放たれた。


駄目だ。逃れられない。


だが…


「聖域」


ロケットランチャーが光に包まれ、そして消えた。


「まさか…!?」


天照か。もう死ぬと思ったんだな。


すると俺の脳内に天照の声が直接届いた。


「三月れい。もうあなたは死ぬ。だから術を発動させてもらった」


「天照。閻魔にバレちゃったぞ」


「あなたが死んだら私がミッションを変える意味が無いでしょ。それにその子はミッションが変わってもあなたを殺すつもりだよ」


俺が脳内に話しかけてくる天照と話していると、皐月が話しかけてきた。


「三月れい。お前が話しているのは…天照か?」


「え!?」

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