第36話 弥生から父へ

弥生は夜、海の中に入った。すると周りが空気に包まれた。


そして父のもとまで泳いだ。そして海の底で座っている父を見つけた。


ーれい。私に勇気をください。


弥生はゆっくりと父に近づいた。


「弥生!」


澤村卯月は驚いた。


だって澤村卯月は弥生が来ることを知らされてなかった。だから心の準備ができていなかった。


でも、ここを逃せば二度と弥生と話す機械は無いだろう。だから…


「弥生。今まですまなかった。俺は今までお前に何もしてやれなかった。だから…許してもらえなくてもいい。本当にゴメン」


澤村卯月は謝った。


だがしばらく弥生は何も喋らなかった。弥生は悩んでいた。


弥生はまだ父が許せなかった。今まで自分を傷つけてきた卯月を。自分をかまってくれなかった卯月を。


そして、弥生は答えた。


「そうだね。でもさ…お父さんとの思い出は無いわけじゃないんだよ」


「え!?」


「そう。小学生の頃、一緒に水族館に行ったのを覚えてるよ。その時に買ってくれたストラップ、まだ持ってるよ」


弥生は卯月にストラップを見せた。


「弥生!」


「ねえ お父さん。私と…やり直してくれないかな?」


「いい…のか?」


「うん。私は…昔のお父さんが好きなんだ。だから、戻ってきて。お父さん」


「あ…ありがとう。弥生…。弥生…」


卯月は泣きながら弥生を抱き締めた。


「お父さん。これからも…よろしくね」


そして三月れい、澤村弥生、澤村卯月はミッションをクリアした。


【澤村卯月のミッション

澤村弥生と仲直りをする】

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る