第29話 歩み寄る心

俺らはこの家の全てを探した。だが澤村弥生は見つからない。


「弥生ー」


「駄目だ。どこにもいない」


「まだだよ。だってまだ三月は消えてない。だから大丈夫」


「そうだ。まだ弥生を死なせるわけにはいかない」


俺はこの家を探し回った。だが弥生は見つからない。どうすれば見つかる?


そういえば庭には池があった。まさか…


「池に隠れるスペースはあるか?」


「いや。普通に無理。あそこは私ですら腰までしか浸からない」


小学生の睦月が無理なら高校生くらいの弥生は無理だろう。


「じゃあ女湯はどうだ? 俺から逃げるには余裕の場所だ」


「いや。そこも調べたけど誰もいなかった」


じゃあ一体どこにいる?


「何か見落としている気がするんだよ。きっともっと簡単な気がする。だからなんかこう…」


「どうしたの?」


「ほら。如月ちゃんが三月お兄ちゃんから逃げた時みたいな…」


ってかこいつら、こんなことを話すまでの関係になっていたのか!まあ睦月と如月に友達ができて、俺は嬉しいけどな。


「分かる? 如月ちゃん」


「じゃあ三月の部屋にいるってこと?」


「でも俺の部屋は探した。いたが逃げられた」


「いたんだ! 睦月っち凄いじゃん」


「いやー。照れますな~」


待てよ。


俺は閃いた。最も肝心な場所を見落としていた。自殺するには凶器が必要。だがここは誰もが初めてきた。なら池などの水場で窒息する。だがそれもない。そしてここには屋上も無い。


「分かったよ。弥生の居場所が」


ミッションクリアまでの残り時間

<7時間>

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