第17話 彼女の心

俺はいおりが好きだ。


だから俺はいおりを追っている。


「いおりー」


俺は叫びながらいおりを追いかけた。だがいおりが見つからない。


「いおりー」


叫んでも返事は無い。


「いおり……。いおり」


俺は周りにいる人を気にせず、俺は"いおり"とずっと叫んでいた。


速くいおりを見つけなければ。


俺は携帯を使うことすら頭に無かった。携帯を使えばすぐに見つかるだろう。だが俺はそんな冷静じゃなかった。もう頭がパンパンだった。


どうすれば…。どうすればいいんだ。


俺は走り続けた。


「いおり。いるなら返事をしてくれ」


だが返事は返ってこない。


「危ない!」


その声がしたほうを見ると、いおりが車にひかれそうになっていた。いおりは足を折っているようにみえた。車に乗っているのは居眠り運転をしているおじさんだった。


「いおり」


俺の場所からいおりのいる場所まで走って5秒。俺は周りの人を振り払い、いおりのもとまで走った。


「いおり」


俺はいおりを突き飛ばし、車の前に転がった。


これで俺の人生は終了だ。だがこれでいい。だから俺はもう終わっていい。


「さようなら。いおり。今まで…俺を好きでいてくれて…ありがとう」


俺はいおりに感謝を伝え…死んだ。

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