第15話 迷い無き…

「俺と、別れてほしい」


俺は岡嶋さんにそう言った。俺は言った瞬間後悔した。でも中途半端で付き合うのは、違うと思った。


「何で? れい」


「実はさ …俺には好きな子がいた。その子は俺のことをどんな時でも好きでいてくれた。だから…俺はその子の気持ちに答えたい」


岡嶋さんはずっと顔を下に向けていた。


「だから…ごめん」


しばらくの沈黙が俺の心を冷静にさせる。その度に自分の愚かさを思い知る。


ああ。このままどうなるんだろ。


「れい。私はれいが好きだ。今でも好き…なの。でもれいは私より好きな子がいる。だから…私は別れなきゃいけない。だから…最後に一日だけ、デートして…。だめ?」


俺の自分勝手な言い訳で別れることになった。だから俺は岡嶋さんの願いを聞いた。


「いいよ。じゃあ行くか」


「うん」


俺は岡嶋さんと手を繋ぎ、最後の別れを噛みしめた。


本当は苦しい。本当は悲しい。でも君月先生に言われた。中途半端だけはやめろと。だから…これでいい。これで…。


俺は岡嶋さんの家に連れられた。


そして岡嶋さんの家に入る時…


「れい…くん!」


「いおり!」


まずい。最悪なパターンだ。


まさか岡嶋さんと手を繋いで、岡嶋さんの家に入るところを見られた。


いおりは走って逃げた。


「…いおり」


どうして俺は、望んだ青春を迎えられない?

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