第14話 相談
俺は相談室に入る。
「あら。やっぱり来たんだな」
君月先生は分かっていたようだ。だが何も知らない先生よりは、分かってくれてる先生のほうが相談しやすい。
「じゃあ座って。おおかた予想はついてるから」
俺は不審がりながも君月先生に事情を話す。
「実は…好きな子に告白されたのですが…」
「断った」
「はい…」
「なぜ断ったのだ?」
「他に付き合ってる子がいて…それで浮気は駄目かなって思って…」
「紳士だね。でも君はいおりとやり直したい」
「はい…」
君月先生はすごく理解してくれている。
「でも…って何でいおりだって知ってるんですか?」
さりげなく言われたから気付かなかったけど…なぜ知ってるんだ。
「あ…やべっ。まあ言わないで欲しいんだけど、いおりが相談してきたんだよ。まだれいのこと好きなんだぁって」
俺は嫌われてないことを知ってホッとした。
「でも…やり直し方が分からない…」
「君はいおりと今の彼女。どちらが好きなんだ?」
言われてみれば…考えたことなかった。
岡嶋さんは可愛いし幼なじみで仲がいい。
いおりは趣味が同じで息が毎回合って、話してると楽しい。それに優しいし…って何でいおりの良いところは何個も出てくるんだろう。
「君はモテモテだな。だからモテる男は辛いんだ。でもな、半端な気持ちで付き合っても相手は楽しめない。それに自分が一番困る。だから選ばなければならない」
「でも…」
「決められないなら悩めばいい。間違えればいい。後悔だっていくらでもしろ。一番大切なのは、そこから何を学ぶかだ。その経験から何を得て、どんな成長をするか」
間違えても…いいのか…。
「君月先生。考えてみます」
「悩んだらまた来い」
「はい」
「頑張れよ」
君月先生はそう呟いた気がした。
俺は…これから後悔するだろう。でも…手帳で人の心を変えるのだけはしたくない。だから、自分の気持ちを自分で伝える。
「岡嶋さん」
「何?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます