第3話 デート?
俺は沖島さんの告白にオッケーをした。
本当は真実を話すつもりだった。でも…話せなかった。
そして今、俺は沖島さんと遊園地に来ていた。
「三月くーん」
「沖島さーん」
やべっ、楽しい。
「三月くん。次はあれに乗ろ」
沖島さんが指差していたのは…ジェットコースター。
「あれよりもコーヒーカップにしよ」
俺は嫌だった。
「何で?」
だって…だって…高いところ怖いんだよ…。昔から高いところに行くと、足が震えて動けなくなる。だからジェットコースターには乗れない。
「乗ろうよ。ジェットコースター」
「え…ちょっとトイレ」
俺は急いでトイレに駆け込んだ。
「どうする。どうする。どうする。どうする」
ふと俺は手帳に目を向ける。
「…………思いついた!」
この手帳は書いた人と人との心を操作できる。でも…人と物でもできるのなら…
2分後
三月れいはジェットコースターに乗っていた。
まっ、無理だろうな。
ジェットコースターは少しずつ上にあがる。
こわい、こわい。
「三月くん。楽しいね」
ジェットコースターは急降下する。
「きゃあああああああああああああああ」
「三月くん叫びすぎ」
沖島は笑っているが、三月れいは自分の叫び声で笑い声をかき消していた。
ジェットコースターが昇降場につく。
「三月くん。降りるよ」
「……」
三月れいは疲れきって寝ていた。
三月れいは起きると、後頭部に柔らかい感触があった。
「なんだこれ?」
三月れいはその柔らかいものも、何回も触る。
「いやっ」
沖島さんの声。上を見ると沖島さんと目があった。
「沖島さん。俺は今何されてるの?」
「ご褒美」
「ご褒美って…」
「嬉しくない?」
「いや…ここ電車の中だし…」
「大丈夫。この電車、私と三月くんしか乗ってないから」
「そ…そうなんだ」
「だから……寝てていいよ」
「それより俺、いつ倒れたの?」
「ジェットコースターに乗ってたらそのまま倒れちゃったんだよ」
そんな恥ずかしいところを見られてたなんて。
「かわいいね」
「えっ!?」
「乗れなくても一緒に乗ってくれた。そんなところが、好きだよ」
俺は顔が赤くなる。
「あれ、照れてるの?」
「て、照れてないし」
「かわいいなー、もう」
三月れいはこの状況が手帳のお陰だということを忘れていた。
だがこれが手帳の力だとは思えないほど、彼らは気が合う。
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