第7話「正田くんとみちこさん」

この前の件以来、私は正田くんとあまり話さなくなりました。



私たちは職場の同僚なので、それでも関係は成り立ちます。



でも仕事中の重たく辛い感じ。



私たちは付き合ってもないのに、私は別れたい気分です。



私は正田くんと会いたくないし、会うのが嫌になってきました。





そんなある日、私は仕事を終え、いつもの通勤電車に乗って帰宅している時の事です。



私が電車に乗り込むと、



なんと、正田くんが同じドアから電車に乗ってきました。


「え!?正田くん、何してるの!?」



と、私はおもわず驚いて尋ねました。



「いやぁ、最近みちこさんとあんまり喋ってないから、少し話したいと思って。このコーヒー買ってきたんですけど、一緒に飲みませんか?」




私は少し怖くなりました。




「いらないわ。ところで正田くんの家って、こっち方面なの?」



「いえ違いますけど、今日はこっち方面に用事があるんですよ」



正田くんは続けてこう言いました。



「あ、みちこさん、この後時間ありませんか?ご飯でも一緒に食べに行きませんか?」



「ごめんなさい。今日は早く帰らなくちゃいけなくて」



「そうですか。とても残念です」




この後、私たちはほぼ無言でした。





間もなく、私が電車を降りる駅に到着しました。



「それじゃあ正田くん、私はここで降りるわね。またね」



「はい。またお話しましょうね」




私はその時にはもう、怖くて正田くんの顔を見る事ができませんでした。





その後、いつも寄るスーパーマーケットで今晩の買い物を済ませて、自宅のアパートに到着する直前のことです。





アパートの入り口に人がいるのが見えました。






それは正田くんでした。






正田くんは私に気づき、こう話しかけてきたのです。







「あ、みちこさん、美味しいケーキを買ってきたんですけど、一緒に食べませんか?」







私は怖くなって、声を失い、その場で固まってしまいました。

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