第7話「正田くんとみちこさん」
この前の件以来、私は正田くんとあまり話さなくなりました。
私たちは職場の同僚なので、それでも関係は成り立ちます。
でも仕事中の重たく辛い感じ。
私たちは付き合ってもないのに、私は別れたい気分です。
私は正田くんと会いたくないし、会うのが嫌になってきました。
※
そんなある日、私は仕事を終え、いつもの通勤電車に乗って帰宅している時の事です。
私が電車に乗り込むと、
なんと、正田くんが同じドアから電車に乗ってきました。
「え!?正田くん、何してるの!?」
と、私はおもわず驚いて尋ねました。
「いやぁ、最近みちこさんとあんまり喋ってないから、少し話したいと思って。このコーヒー買ってきたんですけど、一緒に飲みませんか?」
私は少し怖くなりました。
「いらないわ。ところで正田くんの家って、こっち方面なの?」
「いえ違いますけど、今日はこっち方面に用事があるんですよ」
正田くんは続けてこう言いました。
「あ、みちこさん、この後時間ありませんか?ご飯でも一緒に食べに行きませんか?」
「ごめんなさい。今日は早く帰らなくちゃいけなくて」
「そうですか。とても残念です」
この後、私たちはほぼ無言でした。
間もなく、私が電車を降りる駅に到着しました。
「それじゃあ正田くん、私はここで降りるわね。またね」
「はい。またお話しましょうね」
私はその時にはもう、怖くて正田くんの顔を見る事ができませんでした。
※
その後、いつも寄るスーパーマーケットで今晩の買い物を済ませて、自宅のアパートに到着する直前のことです。
アパートの入り口に人がいるのが見えました。
それは正田くんでした。
正田くんは私に気づき、こう話しかけてきたのです。
「あ、みちこさん、美味しいケーキを買ってきたんですけど、一緒に食べませんか?」
私は怖くなって、声を失い、その場で固まってしまいました。
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