第5話「キテます!」
さぁ今日もアンガトーシュクレでお仕事です。
今日は私と摩耶ちゃんと正田くんと、この3人での勤務です。
私たちはケーキ作りの作業をしながら、雑談をします。
「昨日はカウントダウンTVを見ながら歌い過ぎちゃって、喉が少し枯れちゃったわ。もうね、ほんとに…」
「喉がキテます!」
「なんでいきなりMr.マリックをぶっ込んできたんですか?」
と、今日も正田くんはいつものように私にツッこんでくれます。
「Mr.マリックをいきなりぶっ込んだらいけないのかしら?私の勝手でしょう?」
「そうですけど」
「でもね正田くん聞いて、カウントダウンTVはね、気持ち良く歌ってたらすぐに次の曲に変わっちゃうのが難点なのよねぇ」
「みちこさんはテレビを見ながら歌っているんですね。たぶん普通の人はテレビ見ながら歌いませんよ?」
「はいはい、どうせ私は普通の人じゃありませんよーだ」
「あ、すいません。悪い意味ではなくて…」
「ふふふ。正田くんって真面目よねぇ。真面目だしマメだし。正田くんって確か、女性の友達の誕生日も完璧に覚えているそうね?この前の私の誕生日にも朝一から、ラインでお祝いの言葉と、チェブラーシュカのラインスタンプもプレゼントしてくれたわよね。確かに嬉しかったけど、マメじゃない方が男性はモテるんじゃないかしら?そんな風だと良い人だけで終わっちゃうわよ?ねぇ摩耶ちゃんはどう思う?」
「そうですねぇ。私は正田くんのことを気配りができてステキな方だと思ってますけど、世間一般からすると、良い人って少し損をしている人が多いような印象はありますね」
そう言われた正田くんが続きました。
「僕も良い人って言われるのが、あまり好きじゃないですけど、でも僕の性格だから変えられないんですよね」
「ほら、正田くんって私のことをよく褒めてくれるでしょう?私って自分のことを自分で可愛いとか言っちゃうタイプだから、褒められたら実は困っちゃうのよねぇ」
「でも僕は、みちこさんの事を魅力的だと思っているのが本心なので、ついついそう言っちゃうんですよ」
「なんか私たちってお互いを褒め合ってるわね。これってとても素敵なことじゃないかしら。ふふふ」
そして少し間が空いて、摩耶ちゃんが質問をしてきました。
「そういえばみちこさんは、どんな男性が好みのタイプなんですか?私、気になってて」
「私はね、メガネ男子かなぁ。中身より見た目なのよ。特にメガネを掛けてる男性にグッときちゃうわ」
「見た目重視なんですね。なんかみちこさんっぽいですね。ふふふ」
「うん。オシャレな男性に私は弱いの」
こんな取り留めもない雑談をしながら、その日の業務は終了しました。
※
次の日
※
「おはようございます」
と言って出勤してきた正田くんは、黒縁メガネを掛けていました。
正田くん、
私のことがやっぱり好きなのかな?
それを見た摩耶ちゃんが私に話しかけてきました。
「なんか薄々感じていたんですけど、正田くんって、みちこさんのことが好きなのかもしれないですね」
「まさか!歳が離れ過ぎてるわ」
色んな思いが交錯する中、こうして今日もまた、みんなで雑談をしながら、いつもの日常が始まるのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます