第24話

 ザワザワと野次馬が騒ぎ立てる中、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「はい、皆さん、どいてください!」

 シラヌイ先生が血相を変えてこちらへ走ってきたのだ。

「二人とも、すみません。今すぐ私についてきてください。これはお願いではありません、命令です」

 真面目な声で不穏な事を告げられた。

 リゼと顔を見合わせ、頷くと「わかりました」とだけ言い、立ち上がる。

 スタスタと走りこそしないが明らかに急いでいる速度で歩いていく先生に必死でついていく。行き先は通常教職員しか立ち入れない職員棟のようだ。

 ますます不穏な感じがする。

 そのまま棟の入り口に着くとドアを開けられ、中へ入るよう促される。

 従うしかないのでそのまま中に入り、職員棟の中でも奥の方、窓もなく薄暗い、魔法による明かりのみで照らされた廊下を進んでいく。

 やがて突き当たりに達すると、先生は魔法を発動した。

 その瞬間先程のリゼの魔法のように急に視界が変わり、机と椅子しかない部屋になっていた。

「掛けてください」

 四角い机の片側に椅子が二つ、その向かいに一つ。

 俺達が二つの方に座ると、シラヌイ先生は口を開いた。

「……単刀直入に聞きます。どこでそれを知りました?」

「…………?」

 何のことかピンとこないのか、リゼはキョトンとしている。

「俺はわかりません。リゼが書類を提出したのはご存知でしょう。いや、別に彼女を売るつもりであるなどといったことではありません」

「わかっています。黒ネクタイのヘイン君があの魔法を知っているとは思えません。と言っても君は実力を隠して黒ネクタイをつけているのも事実。念の為同行してもらいました」

「口封じの為、ですよね?」

 俺がそういうと、シラヌイ先生は微笑むとそのまま黙ってしまった。怖い。

 リゼはようやく合点が入ったようで、徐に口を開いた。

「え、ああ!もしかして私が練習してたあの魔法ですか?頭の中に浮かんだので便利そうだなと思い練習していましたが、この通りミスをしてしまいこんな結果になってしまいました、ごめんなさい……」

「……頭の中に浮かんだ?」

「はい、思いつきです。こうしたら出来るんじゃないかなって思って、やってみたら出来たんです」

「……信じられません。いいですかリゼリアさん。あなたが先程使用していたのは禁術に指定されています」

 禁術。……やはりか。そりゃそうだよな。

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