第3話
時は少し遡り、魔法学院四年生の修了前。
国中から魔法適性者を集めた魔法学院は、義務教育である幼年学校が修了する十二歳から始まり、四年間魔法の基礎を学んだ後に適性を調べ、五年生への進級と同時に得意属性ごとにクラスが別れる。それまでランダムだったクラス分けも、以降の三年間は固定となるわけだ。
四年生の修了前には一ヶ月まるごと使用して最後の適性試験、通称振り分け試験がある。期間中にある程度自由なタイミングで各属性の魔法を発動し、その適性を審査するのだ。
振り分け試験では基本的に各々が属性毎の全力を出し尽くす為、一属性で魔力が枯渇する者も少なくない。その為、数日の休みを設ける事で魔力を回復させ、常に全力で試験に臨めるようにと長い期間を設けている。
とは言っても魔力の保有量や回復速度も実際に魔術師として働く上で重要になってくるので、
今後のアピールに用いるためにわざと早い期間で振り分け試験を終わらせる者も居れば、期間を目一杯用いて自身の全力を発揮しようとする者もいる。
俺はそんな面倒臭いことやっていられないので一日で全属性の試験を終わらせた。
例年俺みたいにバカな真似をする人間は普通いない。が、今年はもう一人居たらしい。下手すれば人生を左右する大事な試験を自ら進んで不利な条件でやろうだなんて、物好きもいたもんだ。もっとも、人の事を言えた義理ではないことは承知している。
そして五年生に進級する今日、クラス分けが発表された。
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