第44話 ローレンシア歓喜祭まであと62日(9月29日)その1

 ジアースとミュウは朝早く起きた。

ミュウ:ねえ、ジアース。ミス・ローレンシアコンテストの知力テストは出来たよ。知力テストは1000問、時間は5時間、これが最終決定よ。

ジアース:わかった。が、その前に朝食を食べよう。

 と、ミュウとジアースは朝食を王宮の食堂で食べた。そこにはカイザーがいた。


ジアース:カイザー殿。いかがなされた。

カイザー:いやー。ザバン様は今、外交に力を入れておられると同時に宗教の事を研究されていますが、ジアース殿のものの見方でないとわからないといっています。

ジアース:そうですか。私は宗教の基本は生きるためにあるのが根底と見ています。生きるために何をするのかを考えた時、宗教は運勢は祈りで切り開くもので、その祈りとは自分を助けになるものです。ですから、宗教を支持する人が多いのですが、祈りは強い思い込みと似たようなものともいえます。祈りは自分の願いを叶えるために、自己に言い聞かせているのですから、強い思い込みとも言えます。

カイザー:なるほど。ですが、結局、イムラ教のロザックはローレンシア王国で教は広めようと思いませんでしたな。

ジアース:仏の悟りとは生きている者が生きるための悟りですから、そこから共に生きることが生まれ、生きること自体から悟るというものです。

カイザー:で、その悟りは、自らの力で自分も生かし、他人も生かす。また、他人を生かすことで自分も生かす。そういうものでしょうか。

ジアース:で、ロザック殿がイムラ教を広めようとはしなかったのは、我々の天の道理がこの国に根づいているからでしょう。

カイザー:しかし、宗教という観点で見ようとすると、矛盾が有る宗教はありますよね。

ジアース:ですが、宗教からは信じる強さを感じるとザバン様は言っておられました。

カイザー:ザバン様はここ数日は宗教者ばかりと話しておられますからな。

ジアース:で、カイザー殿。ミミは凄いですね。さすがカイザー殿の娘さんですよ。

カイザー:ミミですか。確かにあの子はよくできている。

ジアース:カイザー殿は、シンをどう考えますか?

カイザー:よく見て、よく考えている。

ジアース:ですが、シンにとっては、まだ本領発揮ではないようです。

カイザー:だが、情報企画部は皆、悲鳴をあげていると聞いているぞ。

ジアース:それは、私もシンも考えています。人を増やす必要があるのと、情報企画部はできたばっかりです。まだ、情報企画部自体が手探り状態です。

カイザー:確かに。

ジアース:まあ、もう少し様子を見ましょう。

カイザー:そうですな。

 と、ジアースは朝食を終え、ミュウのミス・ローレンシアコンテストの企画室へ行った。


ジアース:ミュウ。どうだ?

ミュウ:うん。これが知力テストよ。

ジアース:ほう。できているな。

ミュウ:じゃあ、ジアース。解いてみる?

 と、知力テストは以下のような感じであった。

 第1問:歴史上最も若い外務大臣は?

  A.テルル  B.ラバンバ  C.ミュウ  D.ガイ

 第2問:バイオロ教授の専門分野は?

  A.バイオテクノロジー B.心理学 C.経済学 D.文学

 第3問:ガイ王子の世話役は?

  A.ノルワー B.ジアース  C.カイザー D.コンバット

 第4問:次のうち、地球へ行っていない者は?

  A.サハリン B.ミュウ C.ジアース D.コンバット

ジアース:なるほど。でもこれは科目ごとになっているな。

ミュウ:うん。その科目はこんな感じよ。

 第1問~第30問:ローレンシア王国主要人物

 第31問~第60問:ローレンシア王国の歴史

 第61問~第100問:ローレンシア王国の地理

 第101問~第200問:世界の地理

 第201問~第250問:物理・化学

 第251問~第300問:生物・医学

 第301問~第350問:経営学

 第351問~第400問:経済学

 第401問~第500問:コンピュータ

 第501問~第550問:ローレンシア王国の法律

 第551問~第600問:有名な小説

 第601問~第650問:スポーツ

 第651問~第700問:映画・ドラマについて

 第701問~第800問:エメラル星の歴史

 第801問~第900問:ブランドについて

 第901問~第1000問:その他

ジアース:なるほど。全般的な知識量を測るんだな。

ミュウ:うん。

ジアース:で、知力テストはこれでO.K.だな。

ミュウ:うん。で、これからは、オーディションの方をやるの。ジアースも来る?

ジアース:ああ。

 と、ミュウとジアースはオーディション審査室へ行った。


サハリン:あ、ジアースじゃない。

ジアース:サハリンか。ガイ様、リリィ、キサンもご苦労様。

ガイ:しかし、思ったより楽しいな。

リリィ:ガイ様。私がいるからですか?

ガイ:違うぞ。

リリィ:じゃあ、サハリンがいるから?

ガイ:さあ、仕事をしよう。

ミュウ:お兄様も照れることあるのね。

ガイ:ミュウよ。何言ってるんだ?

ジアース:で、10月1日のオーディションの司会は私と聞きましたが、式次第はありますか?

ガイ:アドリブじゃないか?

ジアース:なるほど。で、出場者は固まりました?

ガイ:あ、7割は。

ジアース:で、皆は面白いメンバーは見つけたか?

ミュウ:うん。まずはBLACK CATS。これが結構いい曲歌ってるよ。

ジアース:ふーん。

ガイ:俺はWeb Womanがいい。

リリィ:私はナナの「ラッキーカム」という曲がいい。

キサン:私は Roomの「あなたといたい」がいい。

ジアース:なるほど。・・・・・・。オーディションは盛り上がりそうだな。

ミュウ:うん。

ジアース:で、オーディション合格者はCD作成して売ってみるか。

ガイ:だな。だが、基本的にはオーディションに出場するものは、あらかじめ、我々が選んでいるから、出場者はほぼ合格になるはずだ。

ジアース:なるほど。で、オーディション出場者のプロフィールはあるか?

ミュウ:うん。

ジアース:で、明日には出場者は決まりますか?

ガイ:そうだな。明日の夕方までには。

ジアース:では、明日、その頃来ます。でキサンと展示会の話もしたいのだが。

キサン:そうですね。

 と、ジアースとキサンは他の部屋へいって話をした。


ジアース:で、キサンよ。展示会はどうだ?

キサン:はい。なんとか進んでいます。今日は部下に任せています。

ジアース:そうか。で、展示会の時に何をお土産に売るかは考えたか?

キサン:はい。前の話し合いもそうでしたが、ローレンシア王国の歴史に絡んだ本、文化財の写真集を考えています。

ジアース:で、昔の衣装を売るのはどうだ?

キサン:衣装ですか。うーん。

ジアース:すまん。今のは言ってみただけだ。だが、その他に歴史に関するDVDはいいと思うが。

キサン:それはいいですね。

ジアース:あと、記念撮影というのもいいんじゃないか。

キサン:なるほど。

ジアース:あと、伝統のある食器、お菓子もいいと思う。

キサン:そうですね。

ジアース:まだ、アイデアは出るかもしれんが、アイデアはあるにこしたことは無い。

キサン:そうですね。

ジアース:では、今日はこれでいいか。

キサン:はい。

ジアース:では、他の者ともよく話してくれ。

キサン:はい。


 と、そこにジアースの携帯にカイザーからのメールが入っていた。メールの内容はICについての件であった。話があるので来てくれというものである。ジアースはザバンの部屋にいるカイザーの元へ行った。

カイザー:ジアース殿。実は、IC5カ国は独立せず、州という形を視野に入れながら進む形で行くと。

ジアース:そうですか。では特に問題はありませんな。

カイザー:はい。ジアース殿の州という考え方がIC各国の心を動かしたようです。

ジアース:で、ザバン様は宗教者との対話を今日もされているのですか?

カイザー:はい。で、ザバン様は我が国の天の道理と宗教と比較しながら考えていられます。

ジアース:なるほど。

カイザー:我々が思っているほど、宗教は悪くないようですが、問題点があるのも事実です。

ジアース:なるほど。だが、問題点は我々が人である限りは乗り越えなければなりませんな。

カイザー:基本は宗教はこの世の中をどう考えているかですね。

ジアース:はい。で、その基本は幸福でしょう。宗教が幸せのためでないなら、何のためにあるかはわかりませんからな。

カイザー:ですが、我々の天の道理は考えは宗教と各国で言われ始めています。これはいいことなのでしょうか

ジアース:確かに。ですが、我々の天の道理は倫理・哲学といった部類と私は思います。

カイザー:しかし、我々は宗教を科学的に解析しようとしていますが、一番難しい点は何と思いますか?

ジアース:霊魂説と死後の世界についてです。

カイザー:そうですね。これについてどう思われますか?

ジアース:まずは見える範囲で見ようとすると見えないと思います。ここは、見えないものがわかるようになる。これが重要かもしれません。

カイザー:見えないものを理論ずけるとしたら、どこからいきますか?

ジアース:やはり、数学の世界かもしれません。

カイザー:虚数の概念のことを言っているのですね。

ジアース:はい。

カイザー:なるほど。

ジアース:そして、原子の構造には原子核には陽子と中性子があります。この中性子の謎がわかると、世界がまた違う方向から見えるのではないかと思います。

カイザー:そうですね。

ジアース:あと、時間に対しての考え方ですが、ものの流れには必ず、成長期→安定期→衰退期があります。これは生物学だけでなく、企業の世界でも使えます。

カイザー:肝心なのは衰退期に入った時の動き方ですね。

ジアース:まあ、考えるとキリが無いですね。

カイザー:確かに。ジアース殿は理論と現実論がかみ合う考え方でいますな。それはなかなか真似できません。

ジアース:でも、コツを掴めばそこから開けていくと思います。

カイザー:そうですね。

 と、そこに、ザバンが来た。


ザバン:おお、ジアースよ。今日はどうした。

ジアース:ICの件で来ました。ICは分裂しないようですね。

ザバン:そうであろう。ジアースの州の考え方は的を得ていたのであろう。

ジアース:ここ数日は、ザバン様は他国の宗教者と話しをしていたとか。

ザバン:その通りだ。インターナショナルマーケットを考えたんだが、文化と宗教、生活と宗教は他国では密着しているのだ。

ジアース:そうですね。ですが、問題はローレンシア王国はどう宗教をとらえていくべきでしょうか。

ザバン:そうだ。だが、我々は我が国の天の道理が間違っているとは思わん。

ジアース:その通りです。

ザバン:だが、宗教者も自分の宗教は間違っていないと思っているから、それに対しては、己が己の信じる道を歩むものだと判断するべきであろう。

カイザー:その通りです。

ジアース:人が人であるためにです。

ザバン:で、ジアースよ。

ジアース:はい。

ザバン:ジアースは大学で講義をする気は無いか。

ジアース:しかし、予定はつまっています。

ザバン:1日でいいのだが。

ジアース:1日ですか。ですがどうしてですか?

ザバン:ちょっと前に行ったジアースの90日間の1・2分ほどの講義は非常に的を得ていてな、学生がジアースの考えをもっと知りたいと言っているのだ。

ジアース:そうですか。わかりました。で、日時は?

ザバン:それは、ジアースに任せる。

ジアース:では、月末にやりますか?

ザバン:いつでも変わらないが、とにかく頼むぞ。

ジアース:はい。

ザバン:あとは、ジアースに言うことはカイザーはあるか。

カイザー:ありません。

ジアース:歓喜祭の途中報告はよろしいですか。

ザバン:そうだな。シンはどうだ?

ジアース:想像以上です。助けたのは正解でした。

ザバン:そうか。で、ジアースよ。歓喜祭はクイズ大会をきっかけに急な盛り上がりを見せている。今度は明後日のオーディションだな。

ジアース:はい。ミュウの話によると、いい曲がたくさんあるようです。

ザバン:そうか。で、ジアースよ。そちはガイをどう見ている。

ジアース:ガイ様は変わられました。非常にいい方向で行っていると思います。

ザバン:ガイが歓喜祭への意欲を見せているとノルワーから言っていたが、意欲の元はサハリンか?

ジアース:最初はそう思いましたが、今は歓喜祭の仕事を楽しんでやっておられるようです。

ザバン:そうか。で、後継の件だが、正直、ガイとミュウのどちらにすべきことは悩む点である。

ジアース:王が2人というのは駄目でしょうか。

ザバン:なるほど。

カイザー:しかし、それは前例がありません。

ザバン:だが、王を2人にする発想は悪くない。それは、ローレンシア王国だからできるものとしたいが。

カイザー:しかし、意思決定に迅速な判断ができないのでは?

ザバン:それも1理ある。が、・・・・・。二人の王か。よく考えておこう。

ジアース:後はありませんか?

ザバン:今は無い。

ジアース:では、私は失礼してもいいでしょうか。

ザバン:ジアースよ。時間がないとこすまなかった。下がって良いぞ。

ジアース:はい。

 と、ジアースはザバンの部屋を出た。

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