第30話 ローレンシア王国の外交3(歓喜祭まであと76日:9月15日)
ザバン一行はショク国で1泊し、次の対談地カント国へ向かった。カント国はラム教という宗教が中心の国家である。
ザバン一行はカント国の宮殿に招かれた。そこにはカント側の者が4人待機していた。
対談は宮殿の会議室で行なわれた。
ザバン:私がローレンシア王国国王のザバンです。
と、ザバン一行の自己紹介が終わって、カント国側が今度は自己紹介した。
アリス:私はラム教教祖のアリスです。
カダン:私はカント国国王のカダンです。
ラートン:私は国務大臣のラートンです。
ネーラン:私は外務大臣のネーランです。
ザバン:今回の対談はお互いの親睦を深めるために、さまざまな意見交換をしたいと思っています。
アリス:なるほど。しかし、貴国には宗教は無いので、私は話が通じるか疑問を持っています。
ザバン:貴国のラム教は、愛を重んじるとか。
アリス:そうです。
ザバン:なら、愛の考えがあるのであれば人を救うことが、人生の目的であると思いますが、そこの点はどうです?
カダン:確かに愛とは人を救う精神を言っているのと同じです。
ザバン:ならば、シンを救えないでしょうか。
ラートン:シンはこの世を混乱させたのでは。
ジアース:混乱させたのはシンではなく、カソンです。ケダイです。
ネーラン:何故、貴国はそのようなことが言えるのですか。
ジアース:では、貴国は何故、シンに直接問わないのですか。いや、貴国だけではない。誰一人シンに直接問わないのがこの世だとしたら、おかしすぎます。我々はシンに直接聞いた。シン程の考えの持ち主は他にはおりません。
アリス:しかし、シンとケダイ殿を考えたら、実行力という点ではケダイ殿の方がいいのでは。
ザバン:それがですね。アローン国からの情報では、カソンはシンを潰した後のプランはないようです。
ネーラン:ありえません。
ジアース:しかし、貴国が愛の精神を貫くのであれば、これからのシンの行動をしばらく見守ってはいただけないでしょうか。
カダン:では問う。愛とはどういうものをいうのでしょう。
ジアース:愛とは何かを守るために自分と戦い、守るべきものを守ることと思います。
アリス:では、その何かとは、また、守るべきものとはなんでしょう。
ジアース:何かとは真実、限りない優しさを指し、守るべきものとは全てを生かそうとする心です。生きるものを生かそうとすることです。
カダン:ジアース殿。実に明快な答えです。我々の問いを答えていただいた。いいでしょう。貴国の話を聞きましょう。
ジアース:我々だけではなく、シンも理解していただきたい。シンも考えは同じなんです。
アリス:わかりました。私たちの先程の問いは、究極のものだったのです。しかし、ジアース殿は簡単におっしゃられた。貴国は非常に精神レベルが高い国と思いました。貴国は宗教を必要としていないことがわかる気がします。ですが、貴国が答えられる我々の問いは数多くあると感じています。今日の対談は時間がありませんが、次回ではいい話をしたいです。
ザバン:ありがとうございます。
カダン:貴国は宗教を必要としないというより、宗教の要素はあると思っています。それは何でしょう。
ジアース:一言で言うと道理です。世界は道理によってまとまるべきだと思っています。
ネーラン:貴殿の道理というのは天の法則というものなんですか?
ジアース:その通りです。通りとは人を幸せになれるものでなくてはならない。それを国家レベル、企業レベル、民衆レベルで、本当の幸せは何なのかを研究しています。
カダン:ジアース殿は確かな方向性をお持ちです。シンが貴国の中で使われるなら、シンは使えるものであると認めよう。
ジアース:いや、すでに、シンは我が国政にかかわりを持っています。シンは国宝級です。
アリス:で、我々がやる事は何でしょう。
ザバン:シンとカソンの問題解決です。
ラートン:貴国が来訪してきた理由はシンの事だけではないでしょう。
ジアース:その通りです。我が国はローレンシア歓喜祭とインターナショナルマーケットというものをやります。一応、資料をお渡しいたします。
ラートン:メールによると、歓喜祭ではローレンシア王国についてのイベントを楽しむものでしょうか。
ジアース:そうです。スポーツの親善試合も行なう予定です。
カダン:面白そうな企画ですね。
ジアース:ミス・ローレンシアコンテストも行ないます。また、コンサート、博覧会、展示会、遊園地(エンジョイランド)の催し、など、いろいろ企画しております。また、インターナショナルマーケットでは、各国の特徴あるものを中心に貴国の文化財も売ろうと思っています。
ラートン:ということは、インターナショナルマーケットは世界経済を動かすかもしれませんね。
カダン:貴国の話はわかりました。貴国は愛を語れる者であるので、我々は貴国を支持しよう。
アリスト:さらに、愛に対しての精神はカソンはわかっていませんでした。貴国をサポートする方にまわりましょう。
ザバン:ありがとうございます。
と、ショク国との会談は終わった。
ザバン一行はこの後、食事を摂り、次の目的地へ行った。次の目的地はペリー国である。ペリー国はロメア教中心の国である。ロメア教は行いを重んじる宗教で、多への攻撃はタブーとしている宗教である。さっそく、ローレンシア王国とペリー国の対話が始まった。
プラント:ローレンシア王国の皆様、よくいらっしゃいました。私がペリー国の総理大臣のプラントです。
アーサー:私が官房長官のアーサーです。
エイル:私は副総理のエイルです。
キキィ:私は外務大臣のキキィです。
ザバン:では、さっそく話を始めたい。貴国は振る舞いを重んじる国だという。シンの行動を見ていましたが、実際はなんとも言えません。
テルル:ですが、シンは本人自身がどういう位置にいるのか知らなかったのです。
アーサー:それはどういう事です?
テルル:周りが勝手に動いていて、シンは周りの動きに追いついていなかったのが事実です。
エイル:とういことは、シンが動いていないものも、シンが動いていると思われているものもあると。
ジアース:シンは何も知らせれていなかったのです。
エイル:では、誰がこの環境を作ったのですか?
ザバン:いろんな者の交錯でそうなったのです。シン1人の責任ではありません。
プラント:なるほど。我々はシンを問題児と考えていましたが、この環境はシンが作ったものではないと。
ザバン:そうなのです。
アーサー:それが本当だとしたら、気の毒な者ですな。
ジアース:我々はシンと直接話をしましたところ、実際、シン自身は何かおかしいと思いながらも、自分の環境を知らないことが数多くありました。
ザバン:そうです。世界はシンに直接聞くべきと思います。
キキィ:しかし、貴国は天才が揃っているみたいですな。
ジアース:それはどういうことでしょう。
プラント:ここ3年で、貴国が急に成長したことです。これはどういうことでしょうか。
ザバン:才ある者を適材適所で使ったまでです。
アーサー:しかし、貴国の今回の外交は我が国の情報ですと他の5カ国では成功したらしいですね。
ジアース:貴国は振る舞いを重視するゆえ、情報を集めているのでしょうか。
プラント:そうです。しかし、ローレンシア王国との話を聞いていると、かみ合わない部分があります。それはどうみていますか。
ジアース:カソンが嘘を言っているということです。
エイル:なるほど。そう考えるとつながってくるような気がします。
ザバン:シンは決して卑怯な手は使いません。常に実力で勝負しています。
プラント:確かに、シンが言っていることがシンの考えならば、これほど頭のいい者はいない。
ザバン:しかし、それはシンの才能の一部です。
アーサー:あれでまだ一部ですか。
ザバン:おそらくシンの実力はこの国、いや星を支えるかもしれません。
キキィ:貴国がそう思うのは、シンと直接話したからですか?
ザバン:もちろんです。
プラント:では、貴国はどうしたいのですか?
ザバン:カソンとの和解です。
エイル:では、我々のところへ来た理由は?
ザバン:シンの誤解を解くためです。
エイル:なるほど。貴国は和解のために何をするつもりでしょう。
ザバン:対話です。
プラント:なるほど。貴国は目的がはっきりしていますな。
ザバン:私は貴国が振る舞いを大事にする宗教をお持ちなので参った次第です。
アーサー:なるほど・・・・・・。わかりました。プラント総理。ローレンシア王国の対応は間違いではないかもしれません。
プラント:だが、対話のためだけに来たのではあるまい。
ジアース:そうです。我が国のイベントの紹介をさせていただこうと思っています。
キキィ:イベントとは?
ジアース:歓喜祭とインターナショナルマーケットです。詳細はこの資料です。
アーサー:なるほど。で、詳細は後で見ましょう。
ジアース:ローレンシア歓喜祭とインターナショナルマーケットの最大の目的は、経済の活性化です。文化・教育・平和・経済・技術など、あらゆる側面を持っています。
エイル:目的は簡単に言えば全部ですな。
ジアース:その通りです。
プラント:わかりました。貴国には我が国に実益がありそうだ。また、貴国のやろうとすることをこの目で見てみたい。また、シンがこの先何をするかも見てみたい。
ザバン:では、我々の目的は了承してもらえることになりますか?
プラント:その方向で話を進めていきます。
ザバン:ありがたいです。来たかいがありました。
アーサー:また来て下さい。まだ他国を回るとは思いますが、成功を祈っています。
ザバン:ありがとうございます。
と、ザバン一行はペリー国の中の宿舎で泊まることになった。明日はICを回る予定である。ICに対する作戦が夜も練られていた。
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