第25話 ローレンシア歓喜祭11(あと81日)9月10日:各担当部署役員名簿・インターナショナルマーケット会議
ジアースは今朝からメールのやりとりをしていた。王国新聞で募集をかけたその返事である。
ジアースはメールが来た者に対し、1つ1つ対応していた。
ミュウは人事の提出に追われていた。
サハリンはジアースの手伝いをしていた。
そして、昼、各担当部署から役員名簿が送られてきた。名簿は次のようである。
1.ミス・ローレンシアコンテスト
最高責任者:ミュウ
1次予選審査員:ライオス(男:ローレンシア大学 心理学者博士)
:ペンタ(男:教育省 文部課 係長)
:イソナ(女:厚生省心理研究課 課長補佐)
:ナナン(女:作家)
:クルミ(女:通信省 報道部 係長)
2次予選審査員:バイオロ(男:ローレンシア大学 生物学 教授)
:ミソン(男:作家)
:ヤマト(男:ローレンシア高校 副校長)
:ミシネ(女:ローレンシア大学 文学部 教員)
:ナント(男:オリオン大学 教養部 教員)
本線(ファッションショー審査員)
カリン(女:マイル洋服店 部長)
ルソナ(女:ミール女性雑誌 編集長)
ペイン(男:メンズ男性雑誌 編集長)
ライナ(女:ローレンシア大学 社会学部 生活学科 教授)
本線(2次審査)(歌)
ヤマハ(男:ヤマハ音楽会社 社長)
ニコラ(女:ミリオンセラー歌手)
タンバ(男:ミリオンセラー歌手)
ツミン(女:ローレンシアテレビ局 次長)
本線最終戦(特技披露)
ウィン(男:芸能人)
キミナ(女:芸能人)
タイガ(男:芸能人)
モール(男:作家)
ジアース:(ローレンシア王国 副国務大臣 歓喜祭総指揮官)
ミュウ(女:ローレンシア王国王女)
2.主張大会
最高責任者:ミュウ
書類審査員
ローレンシア王国新聞社社員
レノン(男)
ララリィ(女)
パリス(男)
キリス(男)
イノエ(女)
ベホラ(男)
イオナ(女)
他百人名
大会審査員
カイザー(男:国務大臣)
シン(男:亡命者)
ラバンバ(男:教育大臣)
シュウ(男:ローレンシアテレビ局総局)
他6人未定
3.コンサート
(シャムルル)
最高責任者:ミュウ(女)
プロデューサー:ジャック(男)
(カラジン)
最高責任者:リリィ(女)
プロデューサー:トロイ(男)
(イルメス)
最高責任者:キサン(男)
プロデューサー:ララ(女)
4.クイズ大会:最高責任者:グリス
司会:ジアース
クイズ作成:グリスらクイズ作成チーム20名
5.スポーツ:最高責任者:フライ
野球:ローレンシア野球連盟
サッカー:ローレンシアサッカー連盟
武道:未定
6.展示会
(カルルア)
最高責任者:ドルア
(キルメス)
最高責任者:キサン
(ゴンザル)
最高責任者:アンプ
作業員:バイト募集
7.博覧会:最高責任者:アンプ
バイオテクノロジー部門
最高責任者:バイオロ(男:ローレンシア大学 生物学 教授)
ロボット部門
最高責任者:アシモフ(男:ローレンシア大学 工学部 名誉教授)
8.遊園地
最高責任者:(リオパル)ウォル(男)
:(カルルア) ドルア(男)
9.動物園
最高責任者:グリス(男)
10.マジックショー
最高責任者:グリス(男)
以上が主な各部署の人員名簿である。
ジアース:なあ、ミュウ。いよいよ、歓喜祭が動き出したな。
ミュウ:うん。でもジアースは大変だったでしょ。
ジアース:いや、企画を立てるのは得意分野なんだよ。
サハリン:でも、とにかくこれからはみんな各部門で行なうわけね。
ジアース:そうだな。
サハリン:それで、ジアースはどうするの?
ジアース:各部署を回ってチェックすることかなあ。歓喜祭に対しては。
ミュウ:ジアースも大変ね。大臣との会議、インターナショナルマーケット、ローレンシア歓喜祭、この3つを行なうからね。で、私はこれから歓喜祭の打ち合わせがあるけど、ジアースの今日の予定を聞かせて。
ジアース:今日はこれから俺はインターナショナルマーケットの方で他のメンバーと議論する。その後歓喜祭への進行状況の報告を待つよ。
ミュウ:じゃあ、私はもう時間だから出発するね。
サハリン:私も出発する。
ジアース:俺も出るから鍵をかけとなきゃ。
と、3人は昼からは別行動をとることになった。
今日の内容は、まず、インタナショナルマーケットの会議である。
カイザー:では、皆の者集まったな。
インターナショナルマーケットの会議はカイザーとノルワーとシンとコユウジとジアースの5人で集められていた。
カイザー:では、これからさらに深く企画を進めるが、何か問題点はないか。
コユウジ:私は、このインターナショナルマーケットは各国の文化財が集まるので、宗教色が出てくるのではないかと心配しています。
ノルワー:その通りだ。他国の宗教が侵入する恐れがある。
カイザー:だが、我々の倫理は各宗教の上をいっているつもりだがなあ。
ジアース:しかし、カイザー殿。宗教は恐ろしいもので信じるところから入ります。学習から入る我々の理の道理とは違います。つまり、マインドコントロールされたら我々国民は戸惑うかもしれません。
カイザー:確かに宗教は脅威だな。だが、文化には宗教が絡むのは人間社会ではしょうがないと思う。とにかく、負けないことだ。他宗教に負けないためにこの歓喜祭を利用することはジアース殿は考えていませんか?
ジアース:なるほど。今回の歓喜祭には弁論大会があります。そこで我々はこの国の理を明らかにすればこの問題は解決できると思います。
ノルワー:ジアースも抜け目がないなあ。
カイザー:なるほど。では我々は宗教に関してどういう姿勢をとるべきだろうか。わが国は思想は自由であることが逆に厄介なのではないか。
ジアース:私はこの歓喜祭を中心にわが国、ローレンシア王国のスタイルを固めていけばどうでしょう。
カイザー:そうだな。それしかなさそうだ。今、我が国では世界中の宗教の研究を本格的に行なう予定でいる。それは、我々の道理が宗教に負けないためにだ。それについてどう思う?
ジアース:それを歓喜祭で論文を書いたものがいれば私としてはありがたいと思います。予選を突破させたいです。
カイザー:そうですな。
シン:結局、宗教の問題はどうしますか?
ノルワー:私は全く気にしなくしても問題はあるとは思いますが。
コユウジ:宗教の批評を行なってみてはどうですか?
ジアース:それをやったら、我々は宗教者の敵になる。
カイザー:うーむ。文化村というわけだから、宗教も文化の一部と考えるならば、簡単にはずせるものではない。
ジアース:やっぱり、私も宗教に関しては今のところはとやかくしない方向でどうですか?
カイザー:やっぱりそうなるか。
シン:私はこのローレンシア王国は世界をまとめるだけの力を持っていると思います。ここは各国の文化を全て出し切って、その上で改めてローレンシアがリードしていると思ってもらえるような形にしてはどうですか?
カイザー:結局、それしかないか。
ジアース:それに今回は宗教の研究にもいい機会になりそうですね。
カイザー:そうですな。ジアース殿は宗教の解明を任されていますからな。
シン:しかし、私はカソンが大きらいです。一人の人間である私を組織を使って殺そうとしました。そんな宗教はありえません。しかも、カソンは私の持っているものを全て奪おうとしたんです。ぜんぜん権利と平等が守られていません。
ノルワー:では、宗教に関してはアローンのカソンを除いてはどうですか?
ジアース:カソンのケダイは世界ではたたえられています。しかし、私はシンの方が上だと思っています。だから殺されようとされたのではありませんか?
カイザー:しかし、いくらカソンが名誉を手に入れようが、わが国は認めない。一人の人間を総力を使って攻撃する宗教団体は認めない。
シン:では、文化村でアローンはカソンを無視するのですか?
カイザー:うーん。これは難しい問題ですな。とにかくビタミン茶でも飲みますか。
と、カイザーは使いのメイドを呼んでビタミン茶を持ってこさせた。そして一杯皆で飲み、一息ついて文化と宗教について互いの意見交換して、結局、アローンに対しては今日は結論が出なかった。
カイザー:いやー。カソンについてはここまで難しいとは思いませんでしたな。
シン:すいません。私のために。
ジアース:シンよ。気にするな。シンは世界に必要な男だから助けたのだ。我々は後悔していない。
シン:ありがとうございます。
シンは涙が出てきた。
ノルワー:シンよ。そう泣くな。
ジアース:シンにはアローンの国に理解者が周りに1人もいなかったようですな。今は結論は出ないのでまた明日にしましょう。
カイザー:そうですな。ジアース殿には歓喜祭があったのですな。
と、ジアースは席をはずした。
今日のジアースは歓喜祭での活動がないため、ザバンの王室へ行った。
ジアース:ザバン様扉を開けてよろしいでしょうか。
ミミ:どうぞ。
ジアース:あれ?
と、ジアースは王宮に入ると、先ほどビタミン茶を持って来たメイドがいた。
ジアース:君は?
ミミ:ミミと申します。私は今、ザバン様のお世話役をしております。私、父上から父の変わりにザバン様のお役に立ってくれと言われたので来ました。初めてですので緊張しています。
ジアース:もしかしてミミさんはカイザー殿の娘さんですか。
ミミ:はい。カイザーの娘で、フライの妹です。
ジアース:ミミさん。早速だが、ザバン様はいらっしゃいますか?
ミミ:では、今呼んできます。
と、ミミはザバンを呼んできた。
ザバン:おお、ジアースよ。どうした。
ジアース:今、私は時間が空いていますので外交についてお話したいと思いまして。
ザバン:おお、そうか。私も今、外交について考えていた所だ。
ジアース:特にICの分裂、アローンのカソンという宗教団体が問題になっています。
ザバン:そうだな。私は思ったよ。ICの分裂も宗教が絡んでいるそうだ。私は正直、宗教は嫌いだ。
ジアース:私も嫌いです。しかし、天はいると思ってます。
ザバン:私は思うに、宗教の存在は自ら考える力を鈍らせるとしか思えない。科学がこのように発達しているのにもかかわらず、宗教は昔のままだから人類の発展が遅れているとしか思えない。
ジアース:そうですね。宗教者は代表者の思い通りに動く傾向があります。特にカソンのケダイは代表者だが信者のシンがケダイを越えていたため、相当ないじめを受けたとか。命まで狙われれば亡命しかないだろう。そのいじめの内容は好きな女性や周りの女性に脅しをかけるだけでなく襲うことも数知れず、また、風俗をレイプと言われたり、彼の小説と音楽を奪おうとしたり。少なくともシンがこのエメラル星をうごかした実績はないんでしょうか。テロを止めた。デモクラシーという新しい考えを作り出した。他国の戦争も止めた。私は思います。シンはそろそろ報われてもいいのではないかと思います。
ザバン:そうだな。ところでジアースよ。シンは病を持っていることは知っているな。
ジアース:はい。しかし、ローレンシアの医者の見立てですと彼は本当の性行為をすれば治るとか。
ザバン:そうだな。シンは性行為だけでなく本当の愛という絆を求めている。私はミミとシンの仲人をやりたいと思うがどうか?
ジアース:それはいいですね。歓喜祭前にパーッと行きましょうか。
ザバン:ジアースよ。みんなは歓喜祭に今、集中している。この話は皆には内緒でさりげなくミミとシンを会わせようと思う。
ジアース:わかりました。私もさりげなく協力します。
ザバン:そうだな。あと、ICの分裂についてどう思う?
ジアース:ICは分裂してもIC同士の国交は正常な状態にしておきたいと思っています。
ザバン:私もそう考えている。この分裂の危機は5カ国それぞれの首相が全員リーダーシップを取りたがっているのが現状だ。さらに、IC自体はもともと5カ国に分かれていた。他国との競争社会に負けないように同盟を組んだとか。そして今は各5カ国が自力で生活できるようになった。だから同盟は必要ないと踏んでいるようですが国民にとっては迷惑な話である。今度の世界会議でうったえたいことは、今は世界が一つになる時なのだといいたいのだ。国を超えて、人種を超えて、宗教を越えて、皆が人としての振る舞い、行動するべきだと主張したい。私は悪人を善人に変え、無気力なものには希望を与え、生きているからこそ幸せを味わう権利が全員にあるといいたいのだ。
ジアース:その考え。感服です。
ザバン:ジアースよ本当に記憶がないのだな。ジアースが昔言ったことだぞ。
ジアース:そうでしたか。いや、忘れていました。
ザバン:・・・・・・。まあ、いい。ところで歓喜祭の方はどうだ。
ジアース:皆、思った以上に動いてくれています。今日の夕方には皆からの報告があると思います。
ザバン:そうか。
ジアース:ザバン様。私はまだ語りたいのですが、歓喜祭のこともあるので、この辺で失礼します。
ザバン:わかった。
ここで使者がやってきた。
外交官:ザバン様大変です。
ザバン:どうした。
外交官:我が国ローレンシア王国が全宗教団体の敵になりました。
ザバン:なに!!これはどういうことか。
ジアース:これはカソンのケダイの仕業でしょう。
外交官:それだけではありません。ケダイは歓喜祭を潰すと言っています。
ザバン:そうか。わかった。もうさがってよい。
外交官:はっ。
ザバンとジアースは青ざめた。
ザバン:まさか世界の宗教団体を敵に回すとは。
ジアース:ケダイはそこまでの人物なのか。
ザバン:ジアースよ。本当に記憶がないんだな。ケダイはああ見えても功績があるのだ。
ジアース:いえ、それより細かいことを調べる必要があるのではないでしょうか。
ザバン:そうだな。今回の歓喜祭は海外からの来客を特に狙っていた。宗教の問題は片付けなければなるまい。
ジアース:まずは各大臣を緊急招集しなくてはなりません。また、その場でローレンシア大学の宗教担当官にそれぞれの宗教についての研究を語らせましょう。
ザバン:わかった。1時間後に会議を始める。場所はいつもの会議室だ。
ジアース:はっ。
1時間後、大臣の緊急会議が王宮の会議室で行なわれた。
カイザー:これから緊急会議を行なう。まずは治安省の諜報部からの調査によると、我々の時間で今日の午前3時頃、世界緊急宗教会議が行なわれた。そこでケダイが言ったことは、次のようである。
「宗教は正義だ。宗教こそが国を作るのだ。宗教を侮辱するローレンシア王国は悪だ。我々は宗教があるから、生きていられるのだ。宗教の存在しない国など人が人であって人ではない。また、ローレンシア王国は自らの倫理観は宗教より上だと言っている。そのような国を放っておいていいのであろうか。さらに今回の歓喜祭は経済効果を狙っているようだが、一番収入が入るのはローレンシア王国だ。ローレンシア王国は金の亡者になるつもりなのか。ここは我々宗教団体が一致団結してローレンシア王国に宗教の恐ろしさを思い知らせるべきだ。」
と、言っておりました。これについて皆はどう思うか。
テルル:大変なことになりましたね。
ガイ:まさか。歓喜祭を潰しに来るとは。俺よりひどい。
ネル:解決の方法はないものか。
ジアース:とりあえず、対話をするしかない。
サム:しかし、この原因はシンにあるのではないでしょうか。
ノルワー:サムよ。ああ見えてもシンは使えるぞ。大企業計画の構想もすばらしい。
メイル:ノルワー殿にしてはめずらしい発言ですね。
ノルワー:ああ見えてもシンはけっこうかわいい。
ジアース:私もそう思う。シンは人類のために自らの力を最大限に発揮していた。人類を何度も救ってなぜアローンで殺されなければならないのだ。カソンのケダイが一人を組織的に攻撃する行為は人として認めるわけにはいかないのだ。
ワルク:そのとおりだ。ジアース殿の言う通りだ。
カイザー:さすがに皆感情的になっているようだな。
ラバンバ:そりゃそうですよ。人権侵害だけでなく我々の社会崩壊までしようとしているんですよ。
コンバット:まあ、とりあえず、応急処置をしておかないと。
ザバン:コンバットの言う通りだ。
トール:しかし、ここまで発展するとは・・・・・・。まさか戦争にはなりませんよね。
ジアース:トール殿。それはこれから手をうつところです。
ノルワー:私はアローンとは徹底抗戦してもいいですよ。世界でここまで我々を侮辱していますから。
ザバン:まあ、みんな落ち着け。この問題についてだが、ジアースとノルワーとカイザーとテルル、ラバンバに任せたいが異存はないか。
サム:ザバン様が決められては仕方がありません。
と、ローレンシア王国は世界宗教への対策を取ることになった。
世界宗教団体組は、この後話を行った。
カイザー:では私が指揮を執りましょう。ではまずはどのようにすべきかですな。
ジアース:カイザー殿。“エメラル文化村”組も連れてきてはいかがでしょう。
ノルワー:なるほど、宗教と文化は深いつながりがある。どの道宗教を研究しているんだ。私も賛成だ。
テルル:私はかまいませんが、ラバンバ殿はどうですか?
ラバンバ:私は話が脱線しなければいいと思っています。
そして、世界宗教対策組とエメラル文化組は合併した。
フライ、コユウジ、シンが加わることになった。この3人は早速カイザーに呼ばれ、速攻で集まった。フライはエメラル文化組みではないが呼ばれてきた。
カイザー:では、早速会議となるが、まず我々が何をするべきだろうか。
ジアース:私はまず、早急に各種宗教を調べる必要があると思います。
フライ:ジアース様。各々の宗教についてはネットに記載されていますが、それを参考にするのも一案だと思います。
ノルワー:なるほど。
コユウジ:あの、私、エメラル文化村と宗教は関係が深いと踏んでいるので、宗教をある程度調べてきました。
ノルワー:そうだな。私が知っている限りでは大きな宗教はラム教、イムラ教、現実教、ロメア教、カルラ教、カソンの6つで、あとは小さな宗教だ。
コユウジ:そして、ラム教は愛が中心の宗教です。愛とは神なりと説いています。次はイムラ教です。彼らは人は誰でも仏になれると説いています。現実教は現実が全てであり、天は存在しないと説いています。ロメア教は行いが最も大事である。正当な理由なく人を攻撃してはならないと説いています。カルラ教では存在する全ての物は神が創ったものであり、感謝を持って生きるべきだと説いています。最後にカソンですが、カソンでは指導者ケダイの言葉ですと、勝つことが全てと言っています。
ジアース:うーん。宗教も馬鹿にはできないなあ。
ノルワー:しかし、ケダイはひどすぎるな。
カイザー:では、まずはどうすべきか。
ジアース:まずは、カソン以外の宗教団体と接してみては。
ノルワー:なるほど。まずはそれからだな。
シン:カソン対策はそれからですか?
ジアース:いや、他の教祖とあって話すこと自体がカソン対策になってるよ。
シン:わかりました。
カイザー:ではラム教、イムラ教、現実教、ロメア教、カルラ教についての議論を交わしてみるか。
ノルワー:となると専門家が必要ですな。
ジアース:では、ローレンシア大学の宗教学者を呼びますか?
カイザー:そうだな。万事はそれからだ。宗教学者については私が連絡する。では解散。
解散後、ジアースは歓喜祭の任務に当たった。ジアースはまず、ミュウのところに行った。ミュウは自分の部屋にいた。
ミュウ:ジアース。3つを同時にするってきついね。
ジアース:何か手伝おうか。
ミュウ:今ね。ミス・ローレンシアコンテスト参加者と、主張大会の参加者をデーター入力しているの。
ジアース:何人ぐらいいるの?
ミュウ:300万人。信じられないよ。国民の3%よ。
ジアース:えーっ。じゃあ、主張大会は?
ミュウ:それは今の所1万人ぐらい。でも、みんな締切日近くまでに論文を急いで仕上げるとすると、数十万人いくんじゃない?
ジアース:これは計算外だなあ。主張大会は締切日まで待って、ミス・ローレンシアコンテストは明日が締め切りだからさっそく明日から動くか。
ミュウ:でも、どの道アンケートで、1万人に絞られるから何百万人いても関係ないよ。
ジアース:それもそうだな。コンサートの方はどう?
ミュウ:関係者とは連絡はとってあるよ。あとはリハーサルを待つだけだから。
ジアース:しかし、主張大会は厄介そうだな。
ミュウ:そうよね。全員の主張に目を通すんでしょ。大仕事よ。
ジアース:締切日を早くすればよかったかなあ。
ミュウ:でも、ある程度時間がないといい論文は書けないよ。
と、そこにカイザーからの連絡が電話で入った。
カイザー:ジアース殿。今時間はありますでしょうか。
ジアース:はい。ありますが何か?
カイザー:シンが話をしたいといっているのですが。
ジアース:わかりました。シンを私の部屋に来るように伝えてもらえませんか?
カイザー:わかりました。
そして数分後、シンはやってきた。
シン:ジアース様。ちょっとお話がありまして。
ジアース:まあ、立ってるのもなんだ、席に座ってくれ。
シンとジアースはジアースの部屋に行き席に座った。
ジアース:シンよ。用件は何だ。
シン:提案があるのですが。歓喜祭を機に内需拡大委員会を設置したいのですが。
ジアース:なるほど。歓喜祭を使った事業を行うということだな。
シン:はい。
ジアース:しかし、それは企業が行なうから我々ができることは限られている。
シン:そうですか。私としましては、国が直轄してやることによって国に直接利益が入るようにした方がいいと思いまして。
ジアース:なるほど。民営化にしたことによって小さな政府にしたが、国営事業を復活させ国への直接の財源を確保したいということだな。
シン:はい。
ジアース:シンは国を使って大企業計画を行なうつもりでいるな。
シン:ジアース様は何もかもお見通しですね。
ジアース:では、内需拡大委員会ではかっこ悪い。何かいいネーミングはないか。
シン:では私の考えは採用ですか?
ジアース:そうだ。しかし、今のところは2人だが・・・。そうだ。ミミという女性も加わってもらうとするか。
シン:ミミとは誰ですか?
ジアース:カイザー殿の娘さんだよ。
シン:はい。
ジアース:シンよ。まずはこの2人でよく協議してみてはどうか。
シン:ミミさんはそれほどの力の持ち主なのですか?
ジアース:実力はわからないが、ローレンシア大学生活学科を出ている。国民の生活に熟知していると思う。シンはこの国には来たばかりだからわからないと思うが。
シン:なるほど。それは心強いです。2人でよく話し合います。
ジアース:また、何かあたら来てくれ。
シン:はい。
ジアース:ミミには私から言ってみる。
シン:はい。では私は今どうしていましょうか。
ジアース:そうだな。シンよ。今、時間はあるか。
シン:もちろんあります。
ジアース:カソン対策だが、どうしようかと思ってな。
シン:人権というところから入ってはどうですか。
ジアース:なるほど。カソンは一人の人間をいじめ、人権を無視していると。何をそこまで一人の人間を攻撃したのかということだな。
シン:はい。今、これをきっかけに人権について真剣に考えるべきだと思います。
ジアース:カソンの宗教はとにかく勝てばいいそうだな。
シン:はい。相手は手段を選びません。しかも人の命を狙う宗教はもうこの世には必要ありません。宗教は生きることについて説いているからです。
ジアース:そうだな。この世界は人権が重要というわけだな。
シン:はい。そして人権は法の上で守られ、誰もが平等であるべきだと思います。
ジアース:なるほど。それはシンのデモクラシーの一部だったな。
シン:はい。
ジアース:なるほど。カソン対策に関して少し見えてきたぞ。
シン:はい。この世界、1人の人間を大事にすることが本当の人としての社会と思います。
ジアース:なるほど。1人の人権の尊重の最重要確認だな。しかし、シンほどの実力があるものを殺そうとするカソンが考えられないよ。
シン:はい。私は価値ある者は生かされると思っていました。
ジアース:それが、ケダイは嫉妬してさらにシンを攻撃したというわけか。どうやらケダイの嫉妬のようだな。
シン:私もそう思います。
と、そこにジアースに電話が入った。カイザーからである。
カイザー:ジアース殿。大変だ。カソンが戦争を仕掛けると我が国を脅しています。
ジアース:なんですと。
カイザー:今、緊急会議を行ないます。すぐ、会議室へ来て下さい。
ジアース:わかりました。
かいざーからの連絡で十二省庁の代表が集まることになった。
ジアース:シンよ。今から会議だから自分の部屋にもどっていいぞ。
シン:ジアース様。その会議は私のことでしょうか。
ジアース:シンよ心配ない。全部任せてくれ。
シン:私も会議に入れてください。私が原因ですので。
ジアース:原因はシンではない。カソンだ。とにかく自分の部屋にいなさい。これは命令だぞ。
シン:はい。わかりました。ご迷惑おかけします。
そして、ザバンを先頭に、各十二省庁の代表、ミュウ、ガイ、ジアース、ノルワー、カイザーが集まり会議が始まった。
カイザー:では、皆の者よく集まった。今、緊急の召集はカソンが戦争を仕掛けてくるという情報が入ったためである。皆の意見を聞きたい。
ジアース:これは大変な問題です。歓喜祭がなくなってしまう。
ノルワー:これもカソンの狙いでしょうな。
テルル:質問があります。攻めてくるのはアローンではなくてカソンなのですか?
カイザー:実際はアローンが軍事力を持っているが、カソンはアローンを乗っ取っている。カソンといっても違いはない。
ラバンバ:しかし、カソンという宗教団体はここまでひどいものなんですか。一人の人間をそこまでして攻撃するのは何故でしょうか。
カイザー:ラバンバ殿。さすがですな。カソンはシンをよこせば攻撃しないと言って来た事を読んだようですな。
メディ:そうなんですか。カソンはそんな条件を。
インカ:しかし、カソンの人としての行動は間違っている。シンは本気で全世界のことを考えているんだぞ。
ガイ:しかし、俺には本気でアローンが今、攻めてくるとは思えない。
カイザー:ガイ様。どういうことですか?
ガイ:カソンはシンを自国にもどして殺すために脅してきたのだろう。だが、実際に戦争となるとしてもカソン自体に戦争の知識がない。
ザバン:ガイよ。するどいところを突くなあ。確かにそうだ。
ジアース:私もガイ様の考えに感服しました。
ミュウ:お兄様がここまで頭が良かったって知らなかった。
ガイ:ミュウよ。やけに素直だなあ。
ミュウ:私は正しいものは正しいと言っているだけよ。
カイザー:しかし、私はカソンが許せませんな。1人の人間の人権を無視し、デマ・中傷を全世界に流し、知的財産を奪い、命まで狙った。許せる行為ではない。
ザバン:しかし、今回のガイの読みは見事であった。シンはカソンには渡さない。皆これでよいか。
全員が納得した。
ザバン:では今日はもう遅い。明日に備えて休むがよい。
と、皆解散し、自分の宿舎に戻った。
ミュウはジアースに話しかけた。
ミュウ:ねえ。ジアース。カソンに戦争の知識がないというのはどういうことなの?
ジアース:カソンは宗教団体として発展し、政治を乗っ取ったが、軍部はまだアローン国家の権力の範囲内だからなあ。今は。
ミュウ:しかし、1人の人間をここまで攻撃できるというのは宗教者としても失格じゃない。
ジアース:その通りだ。しかし、ガイ様は最近するどいなあ。
ミュウ:お兄様も何かに目覚めたのかしら。
ジアース:ミュウよ。今日はこの辺で寝よう。
ミュウ:そうね。じゃあお休み。
と、二人は自分の部屋で寝た。しかし、ミュウの部屋にはサハリンはいなかった。
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