第26話 ローレンシア歓喜祭12(あと80日):9月11日:会議

 ジアースとミュウは朝、いつもどおり起きて中庭で体操をしていた。

ジアース:ミュウ。結局、サハリンは帰ってこなかったな。

ミュウ:メールにサハリンからの連絡が入っていたんだけどサハリンは深夜番組に出てたのよ。だからテレビ局のホテルに泊まったみたいよ。

ジアース:なるほど。

ミュウ:で、ジアースの今日の予定は?

ジアース:9月30日に世界会議が行なわれる。その時に我が国が国は何を主張すべきかを今日の議論で話し合う。

ミュウ:そうなんだ。だけど、ジアース。私、主張大会について考えたんだけど、他のイベントに多くの人が集まるから主張大会は中止して論文大会にして、冊子にしたほうがいいんじゃないかなかと思っているの。

ジアース:そうだな。論文は本にすればいつでも読めるからなあ。

ミュウ:だから、今日、主張大会を論文募集に切り替えて歓喜祭の時に売り出そうと思っているの。

ジアース:なるほどね。今日は歓喜祭についてはみんなに任せることにしようと思う。何かあったら連絡を頂戴。

ミュウ:わかった。

ジアース:では、今日も頑張ろう。

 ジアースとミュウは朝食を食べて、おのおのの場所へ行った。ジアースは今朝は各大臣と世界会議について話し合うことになった。

カイザー:では、皆の者。集まったな。今日は世界会議で我々が主張することを決める。まずは、ICについて、次は人権について、あと、環境問題についてである。まずはICについて皆はどう思う?

テルル:私はこれが戦争にならなければいいと思います。

ジアース:テルル殿。それはないですよ。民衆の交流がIC内でもありましたからね。私は分裂しても国交は保つことを条件に分裂を承認するしかありませんね。

ガイ:まあ、もともと5つの国に分かれていたのが1つに

なって、また分かれただけだからな。

ザバン:私の結論は承認するつもりでいる。ただ、条件としてはIC内でも国交を続けることだ。

カイザー:では、皆の者、ザバン様の考えに異論はないか。

 全員一致した。

カイザー:次は人権についてだ。ご存知のとおりシンについて世界で大問題になっている。シンほど頑張ったものが認められない、シンは人類に貢献しているのに命を狙われる、これは大問題だと思う。人権について皆はどう思う?

ジアース:私は今回、シンについてだが、宗教団体のカソンの迫害があまりにもひどすぎることが世界で問題になった。今回の件で改めて宗教というものを考えざるをえなくなった。カソンの指導者ケダイはシンを嫌いだという理由で社会的抹殺を実行した。政治を使って1人の人間を落とし入れ、命を狙っていた。そんな宗教が何故認められるかが考えられない。皆さんはどう思いますか?

ラバンバ:私はこれを機に宗教について考えて見たいと思います。特に今回問題なのは宗教でトップになっているものには、その信者は何も言えないことであると思います。政治みたいに権利が分散されていません。また、平等でもありません。宗教で問題なのは教祖、もしくは指導者が法になっていることです。ですから、組織は指導者の思い通りになるわけです。簡単ですが、今の宗教の問題点です。

メディ:しかし、ラバンバ殿。宗教は教祖よりも経典を重視するところもありますが。

ガイ:でも、俺は指導者が経典よりも上になっているのがケダイという人物ではないか。

ラバンバ:そうなんです。カソンの経典では、どの者も平等であると言っています。

ガイ:しかし、俺はケダイがカソンを利用して一人勝ちをしようとしているようにしか見えない。

インカ:しかし、ケダイはそれなりの功績がある者です。

ガイ:だが、それは過去であって、シンはケダイを越えているからケダイのエゴによってカソンから集中攻撃された。しかし、信者で見破れる人はいないようだ。

カイザー:しかし、私は考えたのですが、シンとケダイを一度会わせてみてはどうかと思う。

ノルワー:確かにシンはカソンとの解決を世界に訴えていましたな。誰か自分とケダイを繋ぐものはないかと。

ジアース:しかし、ケダイは話がわかる人なのでしょうか。シンへの攻撃を見ますと成功するとは思えませんが。

ザバン:そうだな。この問題は早急に解決させたいな。世界会議で人権についての考えを確立し、シンを世界で認めさせた上でケダイと会えばケダイはシンを攻撃できまい。

カイザー:そうなんです。私はミミから聞いたのですがシンはケダイと和解したいそうなんですよ。

ガイ:俺は父上のやり方ならうまくいくと思う。

ジアース:そうですね。それしかないですね。

ノルワー:ということはシンを世界会議に連れて行くのですか?

ザバン:私はそのつもりだがみんなはどうだ。

ガイ:世界会議の前にケダイと話す必要があるのではないか。

ジアース:私もシンもそう思います。世界会議での我々の発言はカソンと会ってからでも遅くはないかと思います。

ザバン:そのような方向がいいな。世界会議では人権とはどうあるべきか。宗教はどうあるべきかを問いかけるしかあるまい。

ジアース:しかし、ザバン様。我々は宗教者ではないので宗教を語るには無理があるかと思います。

ザバン:ジアースのいうことは最もだが、人が人として生きる道を示したいのだ。

ノルワー:それでは宗教についてではなく人道について述べられていてはいかがと思いますが。

ザバン:なるほど。ではそういうことにしよう。また、追加としてシンに対する偏見・誤解を解くため、また、シンは世界会議で何かを言わなければならないと思う。

ジアース:それに関しては、シンにデモクラシーを語らせてはいかがでしょうか。

ノルワー:確かにシンのデモクラシーは理想だが、今の人間の社会がついっていているかね。デモクラシーでのポイントは自由と平等、そしてそのために人権がある。デモクラシーのほうの根本は人を生かすことです。人権を害するケダイの発言ではない

ジアース:その通りです。いかに多くの人を生かすのかがこのデモクラシーの焦点です。命ほど大切なものはありません。また、人生ほど自分を鍛え上げるものはありません。この世にいる我々人間の本当の目的は魂の浄化と思います。

ガイ:ジアースも言うなあ。ジアースの考えがそうとは知らなかった。

ノルワー:私もです。

ジアース:私も今回ほどガイ様とノルワー殿の考えがわかった日はありません。

カイザー:ではシンが世界会議でデモクラシーを語らせるのは皆、賛成か。賛成の者は手を上げてくれ。

 ここにいる全員が手を上げた。

ザバン:では、シンが世界会議に行くのは決定だな。

カイザー:ザバン様。そしたら、我々もデモクラシーに合わせた政治体制でないといけないのでは。

ザバン:そうだな。だが、まずは精神論からだ。最初は人権を確立し、国民の生活を保護しなくてはならない。個人の尊重は社会の安定につながる。まずは個人を大事にしなくては社会は安定しないのだ。

ノルワー:ザバン様。シンに対してはそうとうの思いがおありのようですね。

ザバン:当たり前だ。カソンのやり方は法がない。いや、自分が法になっている。何でもありになっているのだ。また、政治を使って一人の人間を攻撃し、迫害し、命まで狙われるなどというのは人としてあってはならぬのだ。


カイザー:では国際会議についてはこのくらいにして、我が国でも各省庁の活動報告をして欲しい。では、防衛庁のトール

トール:はい。我々のやることは毎日同じです。戦争がある場合の日々の訓練と、救助活動の訓練を行なっています。

カイザー:わかった。次は治安省のサム。

サム:今の所、我が国の治安体制は万全です。町中に監視カメラの設置を行なっている効果はあります。

ザバン:そうか。監視カメラをつけたのか。私は聞いてないぞ。

サム:すいません。治安省の一存で行ないました。

ザバン:まあいい、犯罪が減ることに対しては大いに結構である。

サム:では今のところはこんな感じです。

カイザー:次は外務省のテルル

テルル:私たち外務省は歓喜祭のための活動はスピークに任せてます。また、世界の宗教者に対しての対策も練っている最中です

ガイ:そうだよな。アローンはひどいよな。

テルル:はい。また、アローンのカソンは我々の歓喜祭を潰しに来ています。これは問題です。今、我々は対策を検討中です

カイザー:これについて何か意見がある者はおらんか。

ジアース:はい。まずは世界の指導者たちと対談してみてはどうですか宗教についてはインターナショナルマーケットグループが研究しています。我々に任せていただけないでしょうか。

ザバン:わかった。そうしよう。テルルとラバンバもくわえて、充分に議論して欲しい。

カイザー:次は経済財務省のデバロ。

デバロ:我々はこの歓喜祭で得られる税収のけいさんをしていますが、これは歓喜祭メンバーと連携をとらなければなりません。ジアース殿はいかがでしょうか。

ジアース:私は歓喜祭に対しての税収の計算は今は不可能と思います。まだアイデアが出てきますので。

カイザー:次は教育省のラバンバ。

ラバンバ:はい。我々は教育とは何か、生きるとは何か、これについての論文大会を行なおうと思います。

ノルワー:しかし、歓喜祭の主張大会に盛り込まれてはいないか。

ラバンバ:しかしながら、我々も独自に行ないたいと思っています。

ジアース:そうですな。教育に関しては歓喜祭の主張大会にはありませんな。

ラバンバ:あと、学力を上げるために全国学問試験を行ないたいとも考えています。学生から大人まで級別に問題を作り、テストを行い、学力の向上を考えております。

カイザー:わかった。次は厚生省のメディ。

メディ:我々厚生省ではエイズに対しての治療が可能になりました。また、再生医療にも積極的に行なっています。

カイザー:わかった。次は交通省のネル。

ネル:はい。我々は歓喜祭の際の交通の利便増進に務めています。

カイザー:わかった。次は環境省のエコー。

エコー:はい。我々は今度の世界会議へ向けての環境問題対策案を検討しています。

ザバン:それは今日の議題でもある。ジアースが考えをまとめたみたいなので、後でジアースが報告する。

エコー:はい。わかりました。

カイザー:では次は労働省のワルク。

ワルク:我々は雇用問題に取り組んでいます。この歓喜祭で一時的な雇用の増大は見込めます。そして、その雇用の増大をなんとかキープできないかを考えています。

カイザー:わかった。次は技術開発省のコンバット。

コンバット:はい。我々はロボットへの技術革新を行なっています。また、車に関しては環境問題を兼ねて、電気自動車の開発を行なっています。また、エネルギーに関しては水素エネルギーを使っています。

カイザー:わかった。次は法務省のインカ。

インカ:はい。我々の法整備は順調に行なっています。

カイザー:わかった。では通信省のメイル。

メイル:はい。歓喜祭に対して決まったことを進めていく準備はできています。

カイザー:よし、各省庁の軽い報告は終わったな。では、今日の最後の課題、環境問題についてだ。

ジアース:はい。では環境問題について述べさせて頂きます。まず、環境問題で問題になっているのは以下の通りです。

 1.汚染問題

 2.温暖化

 3.砂漠化

です。汚染問題に関しては廃棄物のリサイクルまた、汚染物質の微生物を使った処理、温暖化に対しては二酸化炭素の固定化、砂漠化に関しては砂漠の緑地化を検討しています。外枠は以上です。

カイザー:では、今日の会議はこれまでにする。では解散。


 各省庁の代表は解散した。そして、カイザーとジアースは別の部屋で話をした。

カイザー:ジアース殿。本日のザバン様の不機嫌はご存知でしょうか。

カイザー:いいえ。

カイザー:実はアローンのカソンのケダイからシンを返すようなことを言ってきケダイはシンをどうしても潰したいらしい。

ジアース:なんと。宗教は人の人生を大事にするものなのに、ケダイはシンを潰すのか。

カイザー:そうらしいです。私は宗教が嫌いです。

ジアース:しかし、カイザー殿。私は宗教について部下から聞きましたが、まんざら捨てたものではありません。いいところは吸収して、悪いところは排除すれば、問題ないと思います。

カイザー:しかし、人の人生を粗末にするケダイが考えられませんな。

ジアース:しかし、いくらケダイがシンを嫉妬しているからといって、政治的な脅しは許しがたい。

カイザー:まあ、とにかく、これからインターナショナルマーケットの会議が始まるので、会議室へ行きましょう。


 と、インターナショナルマーケットのメンバーが集まり、会議が始まった。

カイザー:では、これから会議を始める。歓喜祭は12月である。もちろん、その後になるが今回は様々な議論を交わしたいと思う。では誰か意見のある者はいないか。

コユウジ:はい。インターナショナルマーケットを行おうということは各国の国産品を売ることで、そこに文化が入ってきます。文化と宗教とは密接な関係にあります。このマーケットの狙いは、我が国の中で、ミニエメラル星を構築することによって世界の中心地にすることです。しかしながら問題点があります。我が国は無宗教国家です。このインターナショナルマーケットを行なうにあたり、宗教の影響を受けると思いますが、その辺の対策はいかがしますか?

ジアース:そうですな。その対策は練っても宗教は必ず絡むので対策は無駄かもしれない。

シン:しかし、私はカソンのケダイは認めたくありません。

ジアース:シンよ。このローレンシア王国はケダイを認めていないから安心せよ。先日ケダイの本を読んだ。彼の本には結論がない。表現が回りくどいなどと、シンが書いた小説とは全く違う。

コユウジ:しかし、エメラル文化村には本ももちろん売るべきだと思います。

ノルワー:しかし、本来は必ず宗教が絡む。我々無宗教国家の体制が崩れる。

ジアース:しかしながら、この案は景気対策としては充分である。インターナショナルマーケットは各国からの来客でいっぱいになる可能性はある。

ジアース:では、これから本格的にインターナショナルマーケットで必要なものは何かといったら、私の考えでは、商品、食べ物、ホテル、と最低この3つは必要だと思うが皆はどうだ?

シン:私もそう思います。

カイザー:では商品、たべものをピックアップさせる必要がありますな。これはシンとコユウジに任せよう。では今日の会議は以上でよろしいかな。

ノルワー:今日の会議はやけに短いですな。

ジアース:私は歓喜祭もかねていますので。

 と、今日のインターナショナルマーケットの会議は終わった。


 ジアースは次は歓喜祭メンバーとの会議に出席した。

ジアース:では、これから会議を行なうが、今日の動きを確認したい。ミス・ローレンシアコンテストの参加者の締め切りが今日だな。あと、クイズ大会参加者、武道大会参加者が16日までだな。今日は会議で集まってもらったのは、全体では今日で最終調整に入るが、何か意見のある者はいるか。

ミュウ:ジアース。みんな、もうやる事は決まったから、個々の活動に移ることになったよ。全体会議は今日ジアースがいないときに行なってだいたいは決まったから。

ジアース:そうか。

ミュウ:これが資料。

 ジアースはざっと資料を目に通した。

ジアース:うーむ。わかった。私が言いたいことはあるが、それは、個々に言うことにしよう。会議は今日は終わりだな。私が来て3分しか経っていないが、解散。

 と、みんな解散した。


 ジアースはクイズ大会の司会をやることになっているので担当のグリスと打ち合わせが始まった。

ジアース:グリスよ。私がクイズ大会の司会をやることになったが、どのような流れになっているんだ?

はい。まず、各7都市で予選を行い、本線をシャムルルで行ないます。7都市の日程は以下の通りです。

 シャムルル   9月20日

 ゴンザル    9月25日

 カラジン    10月10日

 リオパル    10月20日

 パレオザン   11月5日

 カルルア    11月15日

 イルメス    11月25日

となっています。予選は○×クイズを行ないます。本線の日程は未定です。

ジアース:なるほど。そしてクイズのできは。

グリス:これから作ります。今、スタッフが集めていますので作っている最中です。

ジアース:ではグリスよ。クイズの問題作りは任せる。

グリス:わかりました。

ジアース:では私は今日はこれで。


 と、ジアースはグリスのもとを去り、通路でシンとばったり会った。

ジアース:シンよ。どうした。

シン:はい。私は本当にこれでいいのでしょうか。

ジアース:カソンを気にしているんだな。シンの問題は人権問題だ。1つの団体が1人に対して攻撃をすることはあってはならぬからだ。

シン:申し訳ございません。

ジアース:シンよ。お主は優しすぎるのだ。今でもカソンのことが気がかりだろう。

シン:はい。

ジアース:これからは人権と宗教という考え方について我々はもっと進歩しなければいけないといことなのだ。わかるよな。

シン:はい。

ジアース:ただ、シンよ。カソンはああ見えても人間だ。いつか和解する時が来るだろう。

それまでの辛抱だ。

シン:ありがとうございます。

ジアース:それでは急ぐところがある。今日はこれで。

シン:ありがとうございます。

 とジアースはその場を去った。


 そして、次はジアースは外務省を訪れた。客間で話をした。

テルル:ジアース様。いかがしました。

ジアース:これからの方針を話し合いたいと思いまして。

テルル:歓喜祭の準備のほうは各国の大使館に連絡を取って、外交活動をする予定です。

ジアース:対宗教に対してはどう思いますか。

テルル:はい。我が国の宗教の専門家を連れて和解を図ろうと思っています。

ジアース:テロ対策は万全ですか?

テルル:テロ及びカソン対策グループは以下のものに任せています。

  ハムロ:防衛庁次官

  レター:通信省対外国課カソン部

  モルク:ローレンシア大学宗教文化学部教授

  ミレン:外務省カソン担当課

です。今のところこの4人と私で作戦を練っています。

ジアース:さすがテルル殿。手は早いな。

テルル:では、早速会談をしますか。

ジアース:今、集まっているんですか。

テルル:はい。私はジアース様を迎えに会議を抜けてきました。

ジアース:それはすまなかった。では私も会議に参加させてくれ。

 と、ジアースも会議に参加した。ジアースは部屋に入り挨拶をした。

ジアース:私が副国務大臣のジアースだ。会議の様子を伺いたいので参加させていただいてよろしいでしょうか。

ハムロ:はい。今は雑談をしていました。わたしはジアース様に会えて光栄です。

レター:私はレターと申します。

モルク:私はモルクです。

ミレン:私はミレンです。

ジアース:では、みなさん宗教についていろいろ研究なさっているとは思いますが、宗教は好きですか。

ハムロ:私はカソンのやり方を見てると宗教が好きになれません。

モルク:私も嫌いです。必要以上に自分を美化するからです。

レター:私も宗教は嫌いです。ありのままの自分でいられなくなります。

ミレン:私もそう思います。特にマインドコントロールがやっかいです。

ジアース:なるほど。皆宗教は好きではないか。

モルク:そうです。我々ローレンシア王国は宗教と比較すると我々の道理のほうがわかりやすくしっかりとしていると思います。

テルル:ちなみにジアース様は宗教は好きですか?

ジアース:カソンを見たら宗教が嫌いになったよ。

テルル:我々は無宗教国家ですからね。

ジアース:では、この人員でテロ及びカソンに対する対策を練るわけだな。

テルル:はい。

ジアース:官職を見ると、各々が役割が決まっているとしか思えないが。

テルル:はい。そうです。ハムロは防衛庁出身ですので、アローンが武力を使った時に備えています。モルクは宗教文学の教授として我々に知恵を貸していただいています。ミレンにはアローンと交渉し、カソンについて協議します。レターは通信省ですので、TV、新聞、海外情報に関することを行なってもらっています。

ジアース:なるほど。一応は形になっている。で、歓喜祭後、モルクよ。我がインターナショナルマーケットの一員になる気はないか。

モルク:いや、私には学問の知識しかありません。他の者でどうぞ。

ジアース:わかった。他の者にする。大体皆の話を聞いて、大筋の流れがわかった。私は抜けるが会議を続けてくれ。あと、テルル殿にも話がある。

テルル:私にですか?

ジアース:歓喜祭の進行具合をな。

テルル:はい。対外国への交渉は国家レベルと部門レベル、企業レベル、個人レベルで行なっています。

ジアース:そうか。カソンの妨害の影響はあるか。

テルル:はい。進行具合は難航しています。

ジアース:ところでテルル殿。宗教についてどう思いますか?私は宗教は人をだます道具のような気がしてならないのだが。

テルル:はい。私もそう思います。宗教は思い込みによって成り立っているといってもおかしくないと思います。

ジアース:宗教の分析を行なうと、結局宗教は信者を利用しているとしか思えないんですよ。カソンがいい例ですよ。

テルル:しかし、私はシンと話しましたが、彼の頭の良さは国1国に匹敵します。

ジアース:私もそう思います。カソンは何故シンという1個人を迫害し続けたのか。結論は教祖のケダイの嫉妬だと思っている。私は宗教は認めないというよりかは宗教は一種の哲学もしくは倫理だと思っています。特別な力なんかない。単なる思い込みに過ぎないと思います。ただ、その思い込みによる自己暗示が強い力を発揮することはあると思いますが。

テルル:確かにその通りですね。

 と、ここにシンから電話があった。

シン:ジアース様。お願いがあります。

ジアース:なんだ?

シン:私もテロ及びカソン対策チームも兼任したいのですが。

ジアース:そうだなあ。インターナショナルマーケットのチームでも宗教の研究を行なっているな。

シン:ジアース様。一言よろしいですか。

ジアース:なんだ。

シン:私が思ったことなんですが、カソン対策を行なうには、我が国だけでなく他の国との協力関係も視野に入れたほうがいいと思いまして。

ジアース:それは私も考えていることだ。安心してほしい。

シン:すいません。すでに頭の中にあったんですね。

ジアース:ああ。では電話はその一言のためのものであろう。考えが同じであったことはわたしなりにうれしい。では次があるから電話切るぞ。

シン:はい。

 と、電話の意見交換は終わった。

テルル:ジアース様。シンは何と言っていましたか。

ジアース:カソン対策は他の国との協力関係が必要だということだ。

テルル:なるほど。シンはやはり只者ではありませんね。

ジアース:ではテルル殿。私はこれで失礼します。

テルル:ジアース殿。次はどちらへ?

ジアース:防衛庁にいくつもりだ。

テルル:わかりました。

ジアース:で、テルル殿。カソン対策に関しては他のチームともいろいろ連携してほしい。

テルル:わかりました。では。


 と、ジアースは外務省を出て、防衛庁へ行った。

トール:ジアース殿。お待ちしておりました。

ジアース:トール殿。カソンは本当に攻めてくると思いますか

トール:我々のデータでは今すぐ戦争ということはないと思います。ただ、ここは巧みな外交戦になると思います。ジアース様もそうお思いなのでは。

ジアース:トール殿。さすがですな。

トール:それはジアース殿が防衛庁より外務省を先に行かれたことで気づきました。

ジアース:その洞察力。相変わらずですな。

トール:ところで、ジアース殿。カソンがいくらアローンをうごかそうにも、アローンの権力構造から行くと、カソンは世界的な地位は高いですが、アローンの全権を握っているわけではありません。しかし、世界を利用しようとしています。我々ローレンシア王国は新しい国です。我々と他の世界との違いは、我々は無宗教国家であり、我々の行き方は道理の中にあることです。カソンは我々が宗教者ではないということを利用して攻撃するでしょう。これは非常に厄介なことです。

ジアース:そうですな。我々ローレンシア王国は近年の革命かでできた国ですから、我々の世界的地位はあまり高くない。しかし、我々の存在は世界の注目を浴びています。

トール:そうですな。ジアース殿が現れて、ローレンシア王国が復活したのですから。

ジアース:正念場ですな。

トール:景気回復だけでも大変ですのに、外に敵がいてはかないませんな。

ジアース:外交術で何とかしますよ。

トール:そうですな。戦争はあくまでも最終手段ですな。

ジアース:とにかく、まずは世界会議で人権と道理について解くに当たり、他の国々との交渉で事前に手を打っておきます。

トール:ジアース殿。感服いたします。

ジアース:ところでトール殿。宗教はお好きですか?

トール:正直言えば、嫌いです。

ジアース:今回の件でローレンシア王国全体が宗教嫌いになってしましましたな。

トール:それはケダイのやり方がひどいだけですよ。

ジアース:では私はまだ、仕事がありますので今日はこのくらいにしましょう。

トール:そうですね。


 ジアースは次は教育省へ行った。

ジアース:ラバンバ殿。どうですか。

ラバンバ:我が国の教育体制は今のところ問題はないですよ。

ジアース:そうですな。

ラバンバ:ジアース殿。貴殿はこの国に来てまだ、3ヶ月とちょっとです。まだこの国のことを把握していないでしょう。

ジアース:いや、そんなことなないですよ。この国は自由と平等と真実と愛の精神はしっかりできていますね。

ラバンバ:しかし、前のジアースがこれの基本を創ったんですよ。

ジアース:そうですか。では学校の体制も、他国とは違い、小学校、中学校、高等学校の基本は全部大学に組み込まれていますね。

ラバンバ:そうです。大学の中でレベルわけされています。何歳からでも大学へ入ることができます。

ジアース:しかし、我が国は学校が大学しかないというのは一つの特色ですな。

ラバンバ:そうなんですよ。人はそれぞれ能力も違いますので、自分にあった科目又は自分にあったレベルで勉強するためにそうしています。そして、大学内でレベルがあります。

ジアース:あと、この国は性に関しても自由ですね。

ラバンバ:確かに基本的には男女の双方の合意があれば性行為は法律上問題ありません。

ジアース:性病については?

ラバンバ:それも問題ありません。人間は誰しも元から菌はあります。人間の免疫力はそんなにやわじゃありません。また、仮に何かあったとしてもわが国の医学で治します。

ジアース:そうですよね。性行為は人間としては当たり前の行為でありますからな。

ラバンバ:そう。仮に性行為を制限すると病になってしまうケースがあります。そっちのほうが恐いですね。

ジアース:それに子供ができれば人類は減ることはない。

ラバンバ:しかし、ジアース殿。人は人であり以上、できることならば性行為は恋人関係でするものが望ましいですね。

ジアース:確かにそうですが、恋人ができない人は風俗ですね。

ラバンバ:それはやもえないでしょう。ところでジアース殿。今日は何しに来られたのですか?

ジアース:ラバンバ殿。教育では宗教についてどういう風に学生に教えているのでしょうか。

ラバンバ:そうですね。一応科学的に分析し、宗教別にいい部分と悪い部分を説明しています。

ジアース:そうか。どの程度宗教について研究が進んでいますか?

ラバンバ:なるほど、カソンについてですか。

ジアース:そうです。これからたくみな外交戦があります。相手の宗教を知らずして行なうことはできません。

ラバンバ:資料を欲しいということですな。

ジアース:そうです。今の資料より多くの資料を。

ラバンバ:ジアース殿。今回の外交戦では外務省と教育省はすでに組む体制になっています。

ジアース:対応が早いですな。

ラバンバ:カイザー殿からの指令です。

ジアース:さすがカイザー殿。

ラバンバ:しかし、これを助言したのはシンです。

ジアース:何?

ラバンバ:やはりシンは只者じゃありませんな。

ジアース:なるほど。

ラバンバ:ジアース殿。これを機にシンと深くよしみを結んでおいたほうがいいと思います。

ジアース:そうですな。

ラバンバ:ジアース殿。実はですな、ノルワーはシンを獲得したがっているんですよ。遅れを取らないようにしておいた方がいいですよ。

ジアース:わかった。しかし、この国は不思議ですな。結婚年齢に下限がない。

ラバンバ:そうです。最初に好きになった相手と結ばれやすい社会ほど幸せなことはないのですからな。

ジアース:しかし、5歳でも結婚できるというのは凄すぎる。

ラバンバ:でも、実際に子供ができるのは早くても12歳、ですから、それまでは家庭は生理的に考えれば、自然に持てないので特に問題はないんですよ。

ジアース:さらに、この国は子供でも働けるのも凄い。さすが自由を主張しているだけのことはある。

ラバンバ:これは前のジアース殿が決めたことですよ。

ジアース:なるほど。

ラバンバ:何か他に問題はありませんか。

ジアース:いや、今回は資料が欲しかっただけです。

ラバンバ:では、この資料はインタナショナルマーケット組とカソン対策組に渡します。

ジアース:ラバンバ殿はテルル殿のチームもご存知で。

ラバンバ:先ほど言いました通り、外務省と教育省はこれに対し手を組んでいるからです。

ジアース:動きが速いですな。さすがです。

ラバンバ:では、今日はこの辺であがりましょう。

ジアース:ええ。


 ジアースは次は法務省を訪れた。

インカ:ジアース殿いかがいたしあした?

ジアース:いえ、歓喜祭に関しての法整備はどうなっているのかと思いまして。

インカ:ではロウを呼びますか?

ジアース:いえ、インカ殿と話がしたくなっただけです。

インカ:そうですか。・・・・・・。歓喜祭の法整備はですね、まず、商売をするなら登録制で歓喜祭専用の商売を認めています。しかし、これはあくまでも歓喜祭のみです。

ジアース:なるほど。しかし、我が国に死刑がないということについてどう思いますか?

インカ:私はそれでいいと思っています。どうしてそのようなことを・・・。

ジアース:いや、死刑というものを真剣に考えるべきだと思いまして。

インカ:ええ。私はこう思います。人が生まれてきた理由は、この世で自分の魂を浄化するためと思います。それゆえ、あらゆる角度から考えて、人は人というものをより深く考える必要があると思っています。

ジアース:そうですね。だから罪人に対する扱いは人間というものを深く知るための研究材料になっているわけですよね。

インカ:はい。あと、私は罪人にも人権があると思っています。もともと罪というのは人間が決めたことで、天の道理を中心とする我が国の根本的根拠はこの世に存在することで、これに反するものが罪というわけです。

ジアース:わかりやすいですね。

インカ:これはジアース殿が言ったことですよ。

ジアース:そうでしたか。

インカ:ジアース殿は本当に記憶をなくしたんですね。残念です。

ジアース:まあ、時期に思い出しますよ。

インカ:ところでジアース様。シンについてどう思います。シンの救出は本当に良かったのでしょうか。

ジアース:もちろん。シンの救出は正しい選択だと思う。シンはアローンのカソンによって個人の人権がないに等しかった。シンがカソンにされたことは、シンの知的財産が奪われていた。シンの環境は盗聴盗撮されており、シンの作品はケダイの盗聴盗撮により盗まれていた。また、シンの大企業計画をケダイが国民を脅して潰した。また、シンの周りにいる女性を犯して、シンに彼女を作らせないようにした。シンは彼女がいなければ病になる症状を持っていたためシンは病を持ち続けていたのだ。

インカ:シンはかわいそうでしたね。

ジアース:そう。シンはカソンという宗教の教祖のケダイによって個人の人権を国を挙げて犯されていたのだ。シンは人類にとって大きな貢献をしたにも関わらず、シンの功績をケダイが奪った。これはあってはならないことだ。カソンの宗教のシンに対する行為は人として許されないのだ。

インカ:カソンという宗教は一体何が目的なんですかね。

ジアース:カソンは一人ぐらい死んでも関係ないと思っていたわけですから考えられない宗教だ。カソンは教治流布が目的らしいが、教治流布というのはなんなのかは不透明だ。シンを殺すのも教治流布のためと言って、信者に説得し、シンを迫害した。インカよ。ケダイの言う教治流布は何を指していると思う?

インカ:私はケダイは教治流布を自分のために利用したとしか思えませんな。

ジアース:では、シンの行動はどうだったと思う?

インカ:シンは価値ある者は生かされると思い、世界問題へ積極的に動き発言し、ケダイに認めてもらおうと必死であったと思います。しかし、それはケダイの嫉妬を買い、また、ケダイはシンの才能を自分のものにしようとした。ケダイの考えは、シンは肩書きのない、一庶民、ケダイは世界から名声がある。ケダイはシンの考えを自分のものにして世界から賞賛されることを望み、さらにシンを潰そうとした。

ジアース:そうですね。しかし、ケダイがシンを認めさえすれば、世界の混乱はなくなるのだが、インカはどう思う?シンは今でもケダイに認めてもらいたいと思っているのだぞ。

インカ:確かに、我々がシンを救ったのは人道的だと思います。しかし、ケダイは我が国を攻撃している。この環境は非常に良くないですね。

ジアース:しかし、シンの才能は未知数です。後からどんどん知恵が湧いてくる。殺させたら人類の大損失である。我が国の中枢メンバーがシンと対話しているが、皆、シンの才能には驚いている。私はシンを手放したくない。

インカ:しかし、シンには野心がないのは本当によくできている。

ジアース:しかし、インカよ。ケダイは元は人間主義を唱えていた。シンを認めれば混乱は消える。それを悟らせることは不可能ではない。その路線も考慮に入れないといけない。

インカ:確かにそうですな。でもそれはシンの考えなのでは?

ジアース:インカ殿もそう思いますか?しかし、ケダイはシンの実力は認めても、シンの命を狙うでしょうな。

インカ:では我々の方向性はどうなりますか?

ジアース:ケダイの説得は世界の著名人と協力するしかない。ケダイの権力は絶大である。誇りもあろう。だが人にとって大事であるものを悟らせなければならない。すべての人間を生かす。これは我々の主義である。シンを守り、ケダイを改心させる。これが我々の方針であろう。

インカ:しかし、我々ローレンシアは本当によくできていますな。しかし、それを成し遂げるには、私には妙案はありません。

ジアース:私は様々なパターンを考えているが、ここでは伏せておきます。

インカ:しかし、世界を救った男が障害者扱いとは考えられませんな。

ジアース:ケダイはどうやら自分が一番でいたいかららしい。

インカ:しかし、有望な若者を策略で潰そうとするのはむごいですな。さらに、シンはケダイの創った学校の学生だったとか。我々には考えられませんな。

ジアース:それでも我が国には死刑がない。だから、ケダイに対して死刑をせまることはできないのだ。

インカ:確かに。

ジアース:まあ、雑談はこれくらいにして、今、我が国のほうで矛盾があるとすれば、どこですかな。

インカ:国民へのアンケートを実施していまして、結果はほとんど我が国には不満がないということです。

ジアース:でロウは歓喜祭に対し、どういう法整備をしたんだ?

インカ:ロウは国内に関しては今までどおり、海外に対しては規制緩和をするようです。

ジアース:規制緩和の内容は?

インカ:このエメラル星では階級、役職が重要ですが、ローレンシア王国はそれは国家の主義に反するので緩和することになりました。

ジアース:いや、それだけではあるまい。海外からの客が今回の歓喜祭のメインでもある。

インカ:しかしですね。問題はあります。他国からの客により、我が国に宗教が持ち込まれないか心配です。

ジアース:我が国は宗教法人というものはないから大丈夫というわけにもいかなくなるかもしれませんな。

インカ:しかし、宗教は法人がなくてもできますから問題なんです。

ジアース:なるほど。

インカ:あと、他国の識者のわが国の道理については、これは宗教に近いものがあるといわれています。

ジアース:そうか。我が国の道理は人として生きるための当たり前のルールなんだがなあ。

インカ:まあ、とにかく、宗教の規制は必要と思いますが。

ジアース:いや、我が国の道理は今現在の宗教を上回っていると思っている。そして、それが全国民の軸となっている。そういう規制はいらないと思うが・・・。また、他国との付き合いからしても規制は要らないと私は思う。

インカ:そうですか。しかし、宗教の怖い所は、教祖がルールになっている宗教があるということです。

ジアース:我が国では教祖は認めないよ。あくまでも王国のスタイルを貫く。

インカ:ジアース殿。さすがですな。

ジアース:だいたい読めたので、今日は終わりにしますかな。

インカ:そうですね。


ジアースは法務省を後にした。と、そこでカイザーからの電話が入った。

カイザー:ジアース殿。私です。今、こちらに来られませんか?

ジアース:いかがなされた。

カイザー:シンがインタナショナルマーケットに対してアイデアをどんどん出しているんですよ。ちょっと聞いてもらいたいが。

ジアース:私が各省庁を回った後では駄目ですか?

カイザー:いや、私はジアース殿の意見も聞きたいと思いましてな。ジアース殿なしで決定というわけにはいかないと思いましてな。

ジアース:そんなに早く進んでいるのですか?

カイザー:シンの申すところ、インタナショナルマーケットは海外から来客する歓喜祭の前にやりたいといっていまして。

ジアース:なるほど。シンの言う事は最もですが、物理的には無理なのでは?この3ヶ月の間に建物を建てて商品と人をそろえるには時間がなさ過ぎます。

カイザー:シンのアイデアはですね、本格的なインターナショナルマーケットを行なう前に簡単なものをやってはどうかということですが。

ジアース:わかりました。詳細を聞いてみたいです。今、すぐに行きます。

 と、ジアースは王宮にむかった。


 インターナショナルマーケット担当のの集まりはは王宮のある部屋で行なわれていた。

ジアース:カイザー殿。只今戻りました。

カイザー:いやー。シン殿がどんどんアイデアを出すんですよ。

ノルワー:我々は納得しているのだが、ジアースの意見も聞きたいということだ。

ジアース:今、シンがいないようだが。

カイザー:ザバン様がシンの事について国民に説明知るために、さきほどシンはザバン様に連れられてテレビ局にいっておられます。

ジアース:なるほど。ではTVはいつ報道されるのですか?

カイザー:生放送で、サハリンが出ている番組です。そろそろ始まりますのでTVを見ませんか?

ジアース:そうですな。しかし、TVを見るために私を呼んだのですか?

ノルワー:ジアース。テレビ局の1チャンネルのサハリンの番組の収録は王宮内で行なわれる。そのTVが終わったら、すぐにシンがここに来ることになっている。

ジアース:時間の効率化ですな。

コユウジ:ではTVを見ましょう。

 TVをつけると、サハリンの番組が始まっていた。番組名は「ローレンシア王国の道」で、特番番組であった。そこで、サハリンとザバンとシンのやりとりが始まった。

サハリン:ザバン様。今回シンをわが国へ呼んだ訳を聞かせてください。

ザバン:シンを我が国に呼んだのは、シンをカソンから救うためであった。シンの救出はわが国の信念でもある。

サハリン:信念とはどういう事でしょうか。

ザバン:一言で言えば、「人権」である。個人の人権は法的にも守られなければならない。ということである。

サハリン:ザバン様。もっと具体的におっしゃっていただけますか?

ザバン:そうだな・・・・・・。シンはカソンにより迫害を受けていた。シンに対し、悪口、批判だけでは我々は動かない。しかし、命まで狙ったのだ。これは只事ではない。アローン国ではカソンのケダイというものが権力をにぎっている。ケダイは宗教を利用してシン一人を迫害のターゲットにして、さらにシンが持っているものを奪った。1人の人間に対し、国家レベルで迫害したのだ。一人の人間の尊重を汚すことを正当化して人権を侵した行為は世界的に見ても黙っているわけにはいかない。シンが実力者であることはアローンもわかっているはずだが、アローン自体もシンに対し救出できなかった。これはありえない事である。一人の人間を大事にできない国家は国家としての価値は低いが、アローン自体が悪いというより、カソンがアローンをのっとっているため、アローンがシンを救出できないのが現状であった。シンはアローンにそのままいてケダイに潰されるのはあまりにも惜しい。そう思い、我々、ローレンシア王国はシンを助けることを決めた。

サハリン:ザバンさまありがとうございました。次はシンさん。シンさんは何か一言ありますか?

シン:ローレンシア王国の国民の皆様。こんにちは。私を助けていただいたことに大変感謝しております。その見返りとして、この国家に貢献したいと思います。どうかよろしくお願いします。

サハリン:シンさんありがとうございます。ではザバン様。シンさんにより、ローレンシア歓喜祭がカソンにより世界からダメージを受けるといわれていますが、その辺はどうでしょうか。

ザバン:それは王国が全力で各国に対応し、理解を求めることである。

サハリン:その糸口はやはり「人権」でしょうか。

ザバン:そうだ。今度の世界会議では我々は「人権」を主張する。社会とは一人の人間の集まりであるがゆえに、一人を大事にしなければならない。そこが論点になる。

サハリン:ザバン様ありがとうございました。では次は・・・。

 と、カイザーがTVを切った。

カイザー:ジアース殿。そういう事です。

ジアース:えらくまとまった報道でしたな。

ノルワー:そりゃ無駄がないのが我々ローレンシア王国の特徴とも言えますな。

コユウジ:あの、私ごときが、この場に居るのは何か場違いのような気がしますが。

ジアース:コユウジよ。そなたもインターナショナルマーケットを考案したものである。企画はシンに及ばないかもしれないが、運営する時にはコユウジの力が必要なのだ。

カイザー:ところでジアース殿。昼食は摂られましたか?

ジアース:いえ。まだです。

ノルワー:我々も食べていない。

カイザー:どうでしょうか。このメンバーで昼食を食べてはいかがでしょう。

ジアース:そうですね。それがいいですね。

コユウジ:しかし、今はもう3時です。

ノルワー:だが、腹がへっては戦ができないだろう。

コユウジ:ビタミン茶でいい気がしますが。もうすぐ夕食ですし。

ノルワー:確かにもうすぐ夕食だ。

カイザー:では、カロリーゼリーを軽く食べてシンが帰ってきたら会議を行なおう。

ノルワー:それがいいですな。

 と、4人はゼリーとビタミン茶を飲食した。その間にシンが戻り、休憩を兼ねた食事が終わった後、会議は始まった。


ジアース:カイザー殿。始めましょう。

カイザー:では、ジアースが居ない間に決まったことであるが、インターナショナルマーケットを歓喜祭前に、ミニインターナショナルマーケットとしてやることはどうかということだ。

シン:そうです。まずはどこかの敷地で行なえないかと思っている所です。

ジアース:それならハロン湾の近くの新しい建物で行なえばいいと思う。建物は建てたが実際は使われていない。それに広さ的には私は充分と思っているが。

ノルワー:なるほど。ハロン湾のあの建物なら丁度いい。

シン:あの、その建物の大きさはどれぐらい大きいのでしょうか。

カイザー:このローレンシア王国が復活する前に建てられた建物で、貿易の拠点になっているハロン湾の近くで建てられ、その建物は商業区域の中心になるはずの建物であった。大きさはこのローレンシア宮殿の半分ぐらいである。

シン:ずいぶん大きなところですね。

ジアース:そこなら、各国からの特産物の販売は容易にできる。そこでなら十分ではないか。

カイザー:ジアース殿。さすがですな。ですが、ハロン湾のその建物は人口密集地域からずれているんですよ。

ジアース:でも、それは宣伝で何とかなるのでは。

カイザー:そうですね。

シン:で、ジアース様の意見を伺おうと思ったことは、まず、ミニインターナショナルマーケットを行なうに当たって、それぞれ独自の組織編制が必要と思っています。そしてその組織編制に必要な部門は、まず各国単位に分かれて、各単位独自に、外交部門、交渉部門、宣伝部門、輸送部門、レイアウト部門、その他の部門、という考えでいますが、どうでしょうか。

ジアース:うーん。正直言うと、外交・交渉・輸送・レイアウトは実際に行なうが、部門に分ける必要はないと思う。この5つを挙げても、この5つを同時に行なう部分とそうでない部分がある。同時に行なうにしろ、行なわないにしろ、その場によって決まると思う。だが、インターナショナルマーケット用の組織が必要である考えは理にかなっている。

ノルワー:そうか。この部門は私はいいと思っているが。

カイザー:つまりこういう事ですな。同時に行なうなら同時に、そうでないとしても、1人が2つ以上を掛け持ちでやるとなると部門という枠が作業をしにくくするということですな。

シン:なるほど、柔軟に動くのであれば部門は必要はないと。

ジアース:そうだなあ、しかし、各国のものをやるからには、対国別に組織を作る必要はある。

ノルワー:ジアースよ。お主が言いたいのは、部門を決めるのはまだ早いということか。

ジアース:というか、カイザー殿が言ったとおり、部門という枠が行動を規制してしまうことだ。

ノルワー:私の考えでは、先ほどの部門の他に総務部門を設けてはどうか。

ジアース:なるほど。でもそれなら全員総務でもおかしくはないのでは。

ノルワー:ジアースの言いたい事は大体わかった。確かにその通りだ。

シン:恐れ入りました。

ジアース:しかし、シンよ。着眼点はいい。その点から言うと、どうやらシンはこのインタナショナルマーケットを把握しているように見える。

カイザー:そうです。内容も把握しているようです。

ジアース:では、次に決めることは具体的に各国の何を主張するかという点に入りたいが、私は時間がありません。シンが把握しているようなので、決まったら教えてください。

カイザー:ジアースの忙しさは並じゃないですな。

ジアース:カイザー殿もノルワーも同じでは。

カイザー:ははは。見破られましたか。

ノルワー:そう。大抵はシンとコユウジが決めて、それに我々が肉付けしているという形だ。私もカイザー殿も時間がない。

ジアース:しかし、この充実感は気持ちいいですな。

カイザー:で、ジアース殿。これからどこへ。

ジアース:ミュウの所に行きます。

カイザー:仕事と恋愛を両立しているのはさすがですな。

ノルワー:それを聞くと私はガイ様が不憫だ。

ジアース:しかし、今回の歓喜祭はいいきっかけなのでは。

ノルワー:ジアースよ。お前はそこまで考えているのか?

ジアース:いえ。それはガイ様自身の心によりますよ。

ノルワー:ジアースよ。ちょっと二人で話がある。いいか。

ジアース:いいですよ。

カイザー:では一度解散して、原案はシンとコユウジに任せよう。では解散。


 と、ジアースとノルワーは個室に入り話をした。

ノルワー:ジアース。先ほどの発言だが、ジアースはガイ様のサハリンへの気持ちをどう考えているのだ。脈はあるのか?

ジアース:それはガイ様次第。機会は何度でもあるとは思うが。

ノルワー:ジアースよ。お前。地球で何があった。以前とは別人だ。

ジアース:同じですよ。

ノルワー:嘘だ。確かに遺伝子は同じだ。だが何かが違う。地球に行く前のジアースは我々とは天と地の差の距離があった。何があったか教えてくれないか。地球で何があった。

ジアース:うーん。記憶がないんだよ。

ノルワー:いや、何かが違う。地球へ行く前のジアースはミュウ様に一途であったがサハリンにも気があった。しかし、今は、完全にミュウ様一途だ。以前のジアースならガイ様とサハリンを一緒にしようとはしない。何があった?

ジアース:そう言われても答えようがないが、ノルワー殿。私は貴殿との関係をここで良好にするのも悪くはないと思う。貴殿はどうだ。

ノルワー:ガイ様のことも考えるのであれば、私もそうしよう。

ジアース:わかった。

 と、ノルワーとジアースはここで握手をした。


 そして、ジアースはミュウのところへ行った。場所は王宮の第3会議室である。

ジアース:ミュウ。どうだそっちの方は。

ミュウ:今日でミス・ローレンシアコンテスト参加者は締め切りね。だけど、500万人からの書類審査は不可能よ。

ジアース:だったら、心理テストで書類審査はどうだ?

ミュウ:やっぱりテスト?

ジアース:そうなるなあ。

ミュウ:あと、主張大会だけど、それは無しにして主張大会の論文を冊子にすることにしたけど、何か物足らないのよね。

ジアース:でも、後から思ったが、ミュウはこの2つの掛け持ちはきついんじゃないか?あと、コンサートもある。それをあわせれば3つだ。

ミュウ:そういうジアースは全部やっているじゃない。私だって大丈夫よ。

ジアース:まあ、決めるとこまで決めたら後は動くだけだからなあ。

ミュウ:で、今回の主張大会のポイントは、国民のみんながどういう社会を好んでいるのかなのよね。今のところこの王国に不満を持つ国民はほとんどないよ。

ジアース:確かに。・・・・・・。

ミュウ:ジアース。何か言いにくいことを言いたそうね。

ジアース:別に言いにくいというわけじゃないが、さっきノルワーと握手したよ。サハリンとガイ様の仲を取り持つことで。

ミュウ:ふーん。

ジアース:ミュウは反対しないの?

ミュウ:サハリンがお兄様とくっつく、くっつかないは、二人次第なんじゃない?

ジアース:ミュウはガイ様と仲直りすることになるが。

ミュウ:もし、そうなったら、私にとってもジアースにとってもお兄様にとってもサハリンにとってもノルワーにとってもいいんじゃない。みんなの利害がかみ合うわけでしょ。

ジアース:なんか。ミュウは怖いなあ。

ミュウ:前のジアースが言ってたわよ。人はお互いの利害で動いているって。

ジアース:未来の俺がそういうとは思えないなあ。

ミュウ:やっぱりばれた?これは私の考え。

ジアース:本当にローレンシア王国の人たちは人を試すのが好きだなあ。ところで、ミュウ。今日はこれで切り上げて一緒に食事を摂らないか。

ミュウ:いいよ。じゃあ、部下に後を任せるわね。

ジアース:よし、王宮の食堂へ直行だな。


 2人は夕食を王宮の食堂で食べることになったが、ここで緊急事態が起こった。ジアースは携帯でカイザーからの連絡を聞いた。

カイザー:ジアース殿。大変だ。このローレンシア王国は世界の敵になった。

ジアース:何?これはどういうことです。

カイザー:すぐ王宮会議室へ来てくだされ。

 ミュウとジアースはすぐ会議室へ行った。王宮会議室では、皆あたふたしていた。そこにザバンが来て会議は始まった。

ザバン:おお。皆よく集まった。各大臣とガイとミュウ、カイザー、ジアース、ノルワー。よく聞いてくれ。

 ザバンは一呼吸した。全員が静まり返った後、ザバンは話しだした。

ザバン:実は、世界がシンを殺せと要求してきた。原因はカソンのケダイである。シンを殺さなければ、ローレンシア王国を全世界が潰しにかかるということだ。

ノルワー:なんと、酷い。

ラバンバ:これは話し合いどころではありませんな。

ガイ:相手が来るなら対抗するまでだ。

ザバン:まあ待て。報告官をつれてきた。報告官の話を聞いてくれ。

報告官:我が国ローレンシア王国の状況把握によりますと、今日、シンが我が国のテレビに出るまではシンは世界ではシンはアローンに潰されたことになっていた。我々はシンが潰される直前に助けた。その後、シンに対する誤解を解く前にケダイが動いた。ケダイはシンをなんとしても潰したいと思っている。で、世界がシンを殺せといっている原因は次のことである。「シンがケダイの文章を盗んだのか」という点であるが、これは全く逆である。ケダイはシンの家に盗聴盗撮をしていたことは、全世界が知っているはずである。その証拠にシンのセックス映像が公開されている。また、シンは第2エメラル語で世界が聞いている中、話している。ケダイは第2エメラル語は理解できていない。他にもシンの書いた小説を盗んでいる。仮にケダイがシンを殺した後、ケダイにシンの小説の続きを書き続けろと言っても書けないであろう。ケダイの目的は、とにかく自分の名誉である。ケダイは自分の名誉を汚す者は潰すと決めているようである。だが、シンはケダイの名誉のことも考えていたのだ。これではシンがあまりにもかわいそうではないか、というのがザバン様の結論であられた。シンは世界を救った者であるのに、殺されるのは不憫である。今回のケダイの行動は人としての行動ではないということである。ザバン様は世界と対話で解決を図るつもりであられるが、世界が理解しない場合、鎖国もしくは戦争もありうると判断されている。皆はどう考えるか。以上。私からの報告である。

カイザー:なるほど。そしてケダイの世界への説得が成功したのは、今までのケダイの功績がなせることであったというわけだな。

ザバン:皆の者、この世界の件、どう判断するか。という前に、まず、シンを殺すべきと考える者は手を挙げてみよ。

 この中には手を挙げた者はいなかった。

ザバン:わかった。では皆の意見を聞こう。

ノルワー:私はシンはこの世界での重要人物です。彼は、この星で2000年に1人生まれるかどうかという者であります。私はシンを守り抜きたい。

ザバン:では、他の者は。

ジアース:ザバン様。この場にシンを呼んではいかがでしょう。

ノルワー:それはシンには負担がかかるのでは。

ガイ:いや、これはシンの問題でもある。シンを呼んだほうが俺はいいと思う。

メディ:しかし、私はカソンは人間主義を言っていましたが、今は名誉しか考えていないのには考えられません。

サム:私が世界でしたら必死にシンを守るでしょうな。

ガイ:だが、ケダイの策略は世界を騙すことができる。

ノルワー:私はシンがかわいそうでなりません。

デバロ:しかし、今、世界で経済危機で、シンはその経済を立て直そうとしていたのに、ケダイが潰すとはケダイとは一体、何を考えているのでしょう。

テルル:ですが、私の見立てでは、我が国にとって世界と比べて不利な要素があります。それは我が国に宗教が無いからです。

ガイ:宗教が無いのは我が国が宗教が無くても問題ないからだ。

ミュウ:そうよね。我が国ではこの世界を科学的に解明しているからね。

ザバン:では、方向性を決めたいが、その前にシンを呼ぼう。ノルワー。シンを連れてきてくれ。

ノルワー:はい。わかりました。


 ノルワーはシンの元へ行った。シンが来るまでの間、雑談が始まった。

ミュウ:しかし、私はショックよ。歓喜祭はどうなるの?

ジアース:もちろんやるに決まっている。

ガイ:この状況でか。

カイザー:歓喜祭は海外からのお客がメインでしたから、これはひどい痛手ですな。

メイル:私たち通信省では、この状況を打開するために情報を集めなければなりませんね。

トール:しかし、戦争となれば我が国はどうなるのだろうか。

ジアース:しかし、世界中が最終的に敵のままでいるとは思えないし、我々も説得工作を続ける。

デバロ:そう。シンは世界に必要な人物だ。我々は守らなければならない。

ガイ:しかし、シンという男をあまり知らない。ノルワーがシンを相当買っているから俺は何も言わないが。

サム:で、実際は誰がどうやって各国を説得するかですね。

ジアース:外務大臣のテルルだけでは荷が重いでしょう。

テルル:しかし、私は宗教がわかりません。なぜ、ケダイは何やっても許される状況を作ってシンを攻撃するのか。これは完全に人としての道をはずしています。

ラバンバ:シンは世界を把握しています。彼を有効に使えば、この世界は100倍も良くなるでしょう。

メディ:私たち厚生省はシンの健康状態を検査しました。脳波を見る限り、IQは600から700あると言われています。

エコー:信じられない数値ですな。

メディ:はい。ジアース様とほぼ同じです。

ガイ:何?ジアースもそんなにあるのか。

ミュウ:お兄様は知らなかったの?

ガイ:数値で言えば、ノルワーは足元にも及ばないではないか。ノルワーですらIQは250だぞ。

ミュウ:お兄様はいくつなの?

ガイ:俺のを聞いてどうする。

メディ:ガイ様は120から150、ミュウ様は130から180というデータがでていますが、人はIQだけで生きているわけではありません。

ガイ:メディよ。それは本当か?

メディ:それはあくまでも過去の検査結果です。努力次第では20から50は軽く上がります。

ガイ:しかし、ジアースやシンと我々は天と地の差ではないか。

ミュウ:でも、国務をこなすのだから、それぐらいは必要なんじゃない?

ガイ:なるほど。ノルワーの言っていることがわかる気がする。

ラバンバ:そうです。我々は知恵が最も発達している国です。あらゆるものを、科学的に解明することを目指しています。宗教が言っていることが本当か嘘か、それも実は我が国では7~8割以上解明できています。

インカ:そうです。我が国の考え方では宗教は古い。時代遅れである、という認識を持っています。ただ、宗教に力が無いわけではありませんが、我が国では必要ないと思っています。宗教が無くても生きていけるからです。

メディ:それを逆に全世界を刺激する材料に使ったのがカソンのケダイの策略でしょう。ちなみにケダイのIQは300前後と言われています。

カイザー:なるほど。ケダイがシンを嫌う訳が解かる気がする。


 と、そこにノルワーがシンをつれてきた。シンは控えめであった。

ノルワー:シンよ。どうした。

シン:いえ、私のためにローレンシア王国が危機にさらされていると思うと非常に辛いです。

カイザー:では、世界がシンに対して誤解をしている点は先ほど説明した。我々としてはどういう方向で今の我が国の危機を乗り越えるかを協議する。

ジアース:まずは話がわかる所からがいいですね。

ノルワー:となるとラガティスからですか。

ジアース:あと、大国で複数の宗教があるラオウ国との対談も重要と思います。

ガイ:ジアースよ。ラオウは難しいのでは、様々な宗教があるから逆に難しいのではないか。

ジアース:いえ、逆に考えればラオウ国はあらゆる宗教に対応できている、統治できている点で、あらゆる思想を受け入れることができる。私はラオウへの説得は早くするべきと思います。

ノルワー:レノン国への説得はどうする?レノン国はラオウ国とは対立関係だが。

テルル:あの、まずは私たち外務省が各国との代表と話をしています。で、対話の準備ができた国から説得をしてはいかがかと思いますが。

インカ:しかし、ケダイも一人の人間を攻撃するのに世界を使うとはひど過ぎる。アローンではケダイが法になりつつある。社会は法の下で成り立つものです。人の下に社会があるのではない。これでは独裁政治ではないでしょうか。

ラバンバ:しかし、ケダイは権力で自分に味方する者、従う者、媚びる者にはいい思いをさせて、癇に触る者、気にいらない者、自分を越えている者は敵として攻撃する。これはひどいですね。

ワルク:しかし、ケダイには経済に対しての考えが無い。時期に滅ぶでしょう。

ノルワー:で、話はそれたが、世界に対しては誰がどう当たるのだ。

ザバン:ノルワーの言う通りだな。それに対しては、私とガイ、ノルワー、カイザー、ジアース、テルル、シンで協議すし、実際の行動に出よう。

ジアース:ザバン様。実はインターナショナルマーケット組は只今世界を扱うので、世界に対し相当な勉強をしています。そこにいるコユウジも起用してはいかがかと。

ノルワー:確かにそれはいい。

ザバン:なるほど。わかった。コユウジも加える。

ジアース:後、宗教対策組のラバンバも加えてはいかがです?

ザバン:ラバンバ。お主はどうだ。

ラバンバ:わかりました。非力ながら私が必要とされるのであれば全力を尽くします。

ザバン:他に意見のある者はないか?無ければこれで終わりにするが。

 と、他に意見が無かったので、会議は終わった。

カイザー:では皆の者解散。


 そして、その後、ザバンとカイザーとジアース、ノルワー、ガイ、テルル、ラバンバ、シン、コユウジが集まり、作戦を練ることになった。

 決まったことはまずは各国、各宗教団体とに文章通告を行い、世界連盟にはザバンが直接交渉することになった。

 この会議は夜遅くまで行なわれたが、ガイ、ノルワーとジアースの絆が固まったのは言うまでも無い。

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