第24話 ローレンシア歓喜祭10(あと82日:9月9日)大臣級会議・歓喜祭のコンタクト・インターナショナルマーケット
エメラル星は1年間は360日で、1カ月が丁度30日となっている。
今日は9月9日である。それぞれの部署が単独で活動するのである。ジアースの今日の予定は、朝はローレンシア王国の大臣との会議。昼は歓喜祭の各部署とのコンタクト。そして夕方はインターナショナルマーケットの会議である。
まずは朝の会議から始まった。
カイザー:では会議を始める。今日の議題は30日後の世界会議でのわが国の意見をまとめておこうと思う。まずはICだ。我々はICとどういう対応をしていくかである。
ガイ:俺はICというよりかは分裂後の5カ国との対応の仕方を考えたほうがいいと思う。
ザバン:ガイの言うことは最もだ。
トール:となると分裂後に戦争になるかどうか心配ですね。
テルル:しかし、我々は各国と連携を図り、ICは分裂後も国交は維持することを条件としたいと思います。民衆の交流はさえぎるわけには行きません。
ジアース:とりあえず、独立を認めつつも連合国としての形式は残すといった方向性がいいように思います。
ザバン:確かにそうだ。
ノルワー:私の案なのですが、ICは地域として独立するが、ICとしての連合国は維持するのはどうでしょうか。
ザバン:なるほど。最もな意見だな。
ジアース:私もノルワーの意見はいいと思います。
ガイ:お。ジアース。ノルワーに賛成するとは意外だな。
ジアース:ガイ様。私は自分の考えに率直なんです。
ザバン:ではこれで決まりだな。
カイザー:次は歓喜祭についての話題に入る。企画書を配るので見て欲しい。
と、昨日作られた企画書が配られた。
ワルク:私の意見を言ってよろしいですか。
ジアース:どうぞ。
ワルク:この企画書を見て、景気は上がるのでしょうか。雇用の増加には結びつかないと思うのですが。
ジアース:なるほど。しかし、我々はこの企画を行なうことによって、思いつく商売はあると思います。国民がこの企画を利用して事業を行なうことを期待しようと考えています。
デバロ:しかし、具体的な商売の提示が必要なのではありませんか?
ジアース:そうですね。例えば、旅行会社は多くのツアーを企画しているあまり人手不足のようです。また交通の際、タクシーやバスの従業員も増えるでしょう。また、歓喜採用のグッズが売れると思います。また、主張大会の優秀な論文も本として出版も考えています。またさらにミュージシャンの音楽も売れるでしょう。
ネル:なるほど。
ジアース:さらに屋台の食べ物屋さんも数多く出てくるでしょう。もちろん許可をとれるようにしたいと思います。
ガイ:なんか、落とし穴がありそうな気がするが。
ジアース:そんなことはありません。
ワルク:国民の意志での商売と国から提示する商売もあるわけですね。
ジアース:そうです。国と企業が一体になってやっていくのです。
ガイ:ジアースよ。企業は歓喜祭について把握しているのか。
ジアース:今日の王国新聞で歓喜祭の内容を載せました。企業が独自に思う所があれば、連絡はくるようになっております。
カイザー:ということは準備段階の2段目に入るところですな。
ジアース:そうです。大筋のイベントの企画は企画書のとおりです。後は、それにそって細かいことを決めたら企業を動かすだけです。
ザバン:なるほど。進行は順調のようだな。あと、今日の議題は特に無い。何か発言するものはいないか。だれもいなければ終了する。
と、朝の会議が終わった。ジアースは思うところがあったので、自分の部屋に行き、昼の会議の準備を行なった。
昼は歓喜祭についての会議である。歓喜祭のメンバーが集まった。
ジアース:では、各部署での進行具合を聞く。では、最初はミュウからだ。
ミュウ:まずは、ミス・ローレンシアコンテストについて話します。狙いはテストや論文を行なうことにより、国民の知的上昇を考えています。また、さらにファッションショーが行なわれているので、アパレル産業を刺激することになります。特に女性はファッションシに人一倍気をつかっているので、これで景気は上がるでしょう。
ジアース:ミュウの考えに追加したいんだが、ファッション雑誌の業界も刺激されると思う。ミス・ローレンシアコンテストでの波及効果は大きいと思う。ここで提案だが、ミス・ローレンシアコンテストの出場者で予選を突破し、本線に入った者の写真集というのはどうか。
サハリン:それはいい考えね。
ジアース:皆はどう思う。
ドルア:ジアース様は一石数鳥を狙ってそれを実行する。これは真似はできません。
キサン:ジアース様はよく思いつきますね。
ジアース:では、ミュウよ。雑誌・写真集などの手配もよろしく頼むぞ。
ミュウ:わかった。
ジアース:次は主張大会だが、担当者はミュウか。
ミュウ:また私ね。主張大会では国民の生活向上のためのものであります。まずは生きていく上で、大事なことを発表します。内容は、
1日目 幸福について
2日目 愛について
3日目 人類問題について
4日目 ローレンシア王国への意見
5日目 倫理について
6日目 技術(産業)について
7日目 人間主義について
です。国民が健全な精神を持つことが最大の目的です。賞も考えています。賞ももらえることにより、国民を刺激させます。こんなとこです。
ジアース:なるほど。皆はどう思う?
リリィ:教育の面から言えば、この企画はすばらしいと思います。
ジアース:では、主張大会についてはまとまってきたな。
ミュウ:ジアース。それが、私は不安を持っているのよ。国民の参加者が1万人でも少ない方だと思うよ。
ジアース:なるほど。審査員不足か。専門家を集めるにあたり何かいい方法はないか。
グリス:ジアース様でも思いつかないんですか?
ジアース:私としては締切日の15日を過ぎてから決めても遅くはないと思っている。ミュウの心配もわかるから、とりあえず、専門家として大学の教授らに協力を要請しようと思うがどうか。
ミュウ:しかし、ローレンシア王国の大学の数は約60よ。足りるかなあ。
ジアース:60か。そしたら教授は数千となれば可能ではないか。
ミュウ:・・・・・・。そうか。そうね。可能かもね。
ジアース:では問題はないので、次にいこう。コンサートについてだが問題はあるか?
キサン:コンサートに関して私は疑問に思うのは、トップアーティストだけで行なうことです。私は9グループだけでは足らないし、おもしろくないと思います。
ジアース:キサンの言うことは最もだ。もちろん、他のアーティストも入れたほうがいいだろう。そこはミュウとリリィとで話し合って柔軟に決めてくれ。次はクイズ大会だ。グリスよ発表してくれ。
グリス:私はクイズ大会を行なうことにより、国民の学習意欲が高まると思います。と同時に、このイベントにより本・雑誌の売れゆきが上がると思います。また、インターネットでの収入も大きいと思います。
ジアース:わたしもそう思う。これの経済効果、教育効果は大きい。クイズ大会については今は問題ないな。
問題はなかったのでジアースは次に進んだ。
ジアース:次はスポーツについてだ。フライよ。進行状況はどうだ。
フライ:はい。サッカー、野球は企画どおりです。武道大会については世界的に大規模に宣伝するつもりです。世界一は誰だと。
ジアース:なるほど。では、アルスとスピークと連携は取れているのだな。
フライ:はい。あと、スポーツ協会との連携もばっちしです。
ジアース:わかった。スポーツのことはフライに一任しよう。
フライ:ありがとうございます。
ジアース:次は展示会だが、リリィよ。これは簡単に進みそうか。
リリィ:いいえ。簡単ではありません。私の考えではこの展示会は歓喜祭後も続くので手は抜けません。これを機にわが国の歴史について国民にしっかりとわかってもらえる形をとります。
ジアース:そうだよな。国民である以上、歴史はきちんと知りたいものだ。では、展示についてはどういう形をとるのだ?3ヶ月だと、会場を借りて行うというのが私の考えであったが。
リリィ:はい。でも、私は一時的に会場を借りて、その後にローレンシア王国歴史館というものを作りたいと思っています。
ジアース:なるほど、だが、それはまた大規模だな。
リリィ:歴史に目を傾けることは真実を知ることになるのです。これがまず肝心なんです。
ジアース:わかった。展示会についてはリリィに一任しよう。
リリィ:ありがとうございます。
ジアース:次は博覧会だが、アンプよ。進行具合はどうだ。
アンプ:私も博覧会に対して手を抜きたくありません。リリィと同じように博覧会専用の建物を作りたく存じます。
ジアース:そうか。正直いって、あるものを使って行なうことが歓喜祭の狙いだったが、確かに歓喜祭のものだけというのはもったいない。企画書では博覧会は歓喜祭が終わっても続くことになるが、そうなると、新しい施設が必要だな。そう。アンプよ博覧会は歓喜祭では一時的なものにして、終わった後であらかじめ作った施設を用意しておくので、そこで十分博覧会の会場創りを行なってほしい。
アンプ:ご理解ありがとうございます。
ジアース:では、次は遊園地だな。ウォルよ遊園地はどうだ。
ウォル:遊園地では歓喜祭の期間は各遊園地がおのおので企画を立てて行なうことになっています。
ジアース:歓喜祭が終わった後はいつも通りということか。
ウォル:はい。
ジアース:何か物足りないが、確かにそれでいいと思う。わかった。次は動物園はいつも通りだな。グリスよ。
グリス:はい。その通りです。
ジアース:わかった。では、最後はマジックショーだが、マジックショーはどういう流れだ?
グリス:はい。各々のマジシャンとの連携をとっています。特に問題はありません。
ジアース:そうか。わかった。で、ここで皆に提出してもらいたいものがある。歓喜祭を管理するために、役員名簿を提出してもらいたい。誰がどのように働くのかを確認したいからだ。
ミュウ:なるほど。
ジアース:これについて反対の者はいないか?
反対者はいなかった。
ジアース:ではそれぞれ明日までに現在の役員名簿を提出してもらいたい。また、役割も書いてあるとありがたい。皆の者。よろしく頼むぞ。
と、歓喜祭の現在の人員名簿は明日各部署がジアースに提出することになった。
ジアース:では、皆の者、今日はここで全体会議は終わり、明日は会議は無しで、私が個別に連絡をとる形にする。では解散。
と、昼の会議は終わった。夕方のインターナショナルマーケットまで時間があるため、ジアースはシンと話すことにした。
ジアースはシンを自分の部屋に呼び出した。
ジアース:シンよ。このローレンシア王国はどうだ?
シン:素晴しいです。久しぶりに開放感があります。
ジアース:アローンについて聞きたいのだが、アローンの宗教団体のカソンはそんなにひどいのか。
シン:はい。カソンは私の持っているものを全て奪いました。
ジアース:しかし、シンよ。シンの大企業計画というものは、どんなものなのか。
シン:存在するもの全てを有効的に使い、また大事にする、これが基本です。
ジアース:なるほど。しかし、シンはどういうつもりで実行しようと思ったんだ?
シン:まずは資本金を作り、それを使って人を動かしながら自分にもスキルを身につけるというやり方で行なおうと思っていました。
ジアース:そうか。しかし、その財源をカソンにとられては何もできなかっただろう。
シン:そうです。彼らは権力を持っており、なぜか私を目の敵にしてあらゆるものを奪いました。
ジアース:なるほど。シンは私と似ているなあ。
シン:はい?
ジアース:いや、何でもない。ということはシンにとってはアローンで踏ん張るより、わが国ローレンシアの方が性にあっているようだな。
シン:私も以前からローレンシア王国に興味がありました。
ジアース:シンよ。国づくりで一番大事なのはなんだと思うか。
シン:人権と平等です。
ジアース:なるほど。あとはないか。
シン:人が生きていく上では人徳が必要と思っています。
ジアース:人徳とは人間主義だな。シンよ。ときどき語り合わないか。
シン:ジアース様に認められて感激しています。
ジアース:で、わが国の景気対策についてどう思う?
シン:国がイベントを行なうことは、すごくおもしろいと思います。
ジアース:そう。イベントを行なえば人は動くからなあ。
シン:ジアース様。インターナショナルマーケットについて雑談しませんか。
ジアース:そうだな。後の者が来た時に提案ができる。
ジアースとシンはインターナショナルマーケットについて話し合った。
夕方になった。ジアースとカイザー、ノルワー、コユウジらと共に会議室で会議が始まった。
カイザー:では、皆の者。インターナショナルマーケットについてだが、各国の文化財、生活用品、食品、書籍、芸術、特産物を並べることは決まったが、これはシンにはまだ話していなかったな。
ジアース:カイザー殿。シンはこの話は先ほどしました。
カイザー:そうか。
シン:カイザー様。その前に自己紹介させて下さい。
カイザー:そうだな。それを忘れていた。では、始めてくれ。
シン:私の名前はシンです。常に新しいものを考えています。私の夢はこの地上を楽園にしたいということです。
ノルワー:ずいぶんでかい夢だな。
カイザー:しかし、それをザバン様が聞いたら大喜びだろうな。
ノルワー:シンよ。このインターナショナルマーケットはミニエメラル星と言っても良いぐらいだ。我々の目指すところは大きい。心して精進せよ。
シン:はい。
ジアース:カイザー殿。このインターナショナルマーケットは文化の集合体であるため、世界中から客が来ることを想定していますので、宿泊施設の建設も考えるべきだと思います。また、宿泊施設も各国の特色があるものだといいと思います。
カイザー:なるほど、宿泊施設も必要だな。我々は1つのエリアで1つの国のものを済まそうとしている。今、ICが分裂するため24カ国のエリアが必要となる。そして、宿泊施設は各エリア内にあった方がいいと思うが。
ジアース:賛成です。
カイザー:他のものは?
ノルワー:私も賛成です。
カイザー:コユウジとシンはどうだ。
コユウジ:わたしも異議はありません。
シン:私もです。そして、さらに、名前をエメラル文化村としてはいかがでしょうか。
ノルワー:意外と単純だな。
カイザー:ではこのインターナショナルマーケットに名前は必要かどうか議論したいと思う。名前は内容が見て解るものにしたいそういう意味ではシンのエメラル文化村という案も悪くない。他の者はどうだ?
コユウジ:私はそこまで思いつきません。
ジアース:確かにカイザー殿の言うとおりだ。名前はシンの提案の方が言葉が短いので、私はシンのエメラル文化村に賛同する。
カイザー:ノルワーはどうだ。
ノルワー:私も異議はありません。しかし、私はシンをアローンから連れてきただけのことはありますな。
カイザー:では、シンの考えた“エメラル文化村”でいいな。反対の者は手を挙げてくれ。
反対者はいなかった。
カイザー:では、エメラル文化村で決定だ。次は外国との取引だな。
ジアース:具体的な取引は他国に何があるかを調べてからでもいいと思いますが。
カイザー:ジアースの言う事は最もだ。各国に精通している者を集めよう。
ノルワー:ではカイザー殿。そのもの達には大使の称号が必要と思いますが。
カイザー:そうだな。その方向にしよう。ではわが国を抜いた23カ国のそれぞれに精通したものを集めよう。次は誰を抜擢するかだ。
ジアース:私は国民から募集をした方がいいと思いますが。
カイザー:なるほど。ノルワーはどうだ。
ノルワー:国民より企業の代表を登用するべきと思います。
ジアース:しかし、企業から選ぶとマージンが企業に回ってしまうのではないか。
ノルワー:確かに。
カイザー:ジアース、ノルワーの議論は最もである。コユウジ、シンよ。何か意見はあるか。
シン:私は募集に賛成です。募集は自分の意志を表すので、エメラル文化村に対し、やる気がある者を集めるべきかと思います。
カイザー:では、コユウジは。
コユウジ:私は専門家や大学の教授に依頼すべきかと思います。
カイザー:なるほど。意見が分かれたなあ。
ジアース:私は今、思いついたのですが、専門家に声をかけつつ、民間からも採用したいと思います。
カイザー:なるほど。2つの方法で集めるわけか。とりあえず、これが結論だな。では、コユウジとシンよ。パシリみたいな形で悪いが、エメラル文化村での人事を任せる。今日はもう夜だから明日から行動してくれ。
シンとコユウジは納得した。
カイザー:では、エメラル文化村については今日はこれで終わりにしよう。
と、ジアースの今日の日程は終わった。
ジアースは自分の部屋へ戻り、国民からのメールを見ていた。
夜になり、ミュウもサハリンも帰ってきた。今夜は3人ともメールで国民と対話して、ある程度終わった所でそれぞれの部屋で眠りについた。
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