第8話 お風呂1

「くんくんくん」

 A子はひたすらに自分の臭いを嗅いでいる。

 一体どうしたのか?そんな事を思ってしばらく眺めていると、やがてA子はB子の所へと移動する。

「くんくんくん」

「ちょ、ちょっと何よっ!」

 B子の元へと移動したかと思えば、A子は突然B子の体を臭い始めた。

 一体どうしたというのでしょうか?急に臭いフェチにでも目覚めたのでしょうか?

「――クサい」

「え?」

 A子から出てきた言葉は、ナイフとなってB子の心をエグる。

「私達すっごくクサい」

 再度自分の臭いを確認したA子は呟く。

 確かに二人はここにきてから体を洗っていないので、臭いは多少きついことになっているでしょう。

 でもそんな直接に言いますか?

 そのせいでB子さんが精神ダメージを受けて倒れていますよ?

「お風呂入りたい」

「私だって入れるもんなら入りたいわよ!!」

 A子の呟きにB子は思いっきりツッコむ。

 まぁ。そうでしょう。女の子ですからね。一日でもお風呂に入れなかったら、それは相当なストレスなのでしょう。

「じゃあお風呂に入ろう!」

「いや。そもそもお風呂があったら入ってるわよ…………」

 それもそうです。

 しかしB子さん。目の前を見てみて下さい。

「――えっ!?」

 B子の目の前には先ほどまで何もなかったはずなのに、なんと巨大なお風呂――というより温泉が出現していた。

「もう何がなんだか…………」


 B子の気持ちとても分かります。

 でもあなたの隣にいる人は全く分かっていないようですが。

「よし。じゃあ入ろう」

 なんて言いながらA子は服を脱ぎ出す。

「ちょ、ちょっと何してるのよ!?」

 突然服を脱ぎだしたA子に対して、B子は顔を真っ赤にして、顔を隠すように手を覆い被せる。

「何って、お風呂に入るんだよ?だから服脱いでるだけだけど」

「い、いやっ!で、でもこんな所で裸になるなんて!!」

 まぁ、B子も言いたいことも分かります。

 女の子ですから、こんなだだっ広い所で裸になるのは抵抗があるのでしょう。いくら二人しかいないにしても。

「入らないの?」

 しかしそんなB子にA子はつぶらな瞳を向ける。

 そんな瞳を向けられて、B子は思わず自分の臭いを確認する。

(確かにクサいかも……)

 それからしばらくB子は葛藤します。

「あぁ、もう分かったわよ!脱げばいいんでしょ!」

 こうなったらヤケです。

 ここには二人の女の子しかいないわけですから、いちいち裸なんて気にしていられませんからね。

「以外と大胆な下着してるわね」

 そんなB子をじーっと眺めるA子は呟く。

「う、うるさいっ!!」

 B子は下着を見られないように素早く、脱ぎ捨てる。

 白い布が地面に落ちると同時に、B子は一糸纏わぬ姿で温泉に飛び込む。

「私が先に入りたかったのに〜」

 そんなB子を見てA子もすぐさま服を脱ぎ捨て、飛び込む。

 こうして二人の少女が裸で入浴した。


 あっ。続きます。

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