第6話 天井
「この上ってどこまで続いてるんだろ?」
B子が仰向けに寝そべったまま、疑問を浮かべる。
「確かに。上も横みたいにどこまでの続いてるのかな?」
そんなB子の呟きに珍しくA子が耳を傾ける。
しかしここには何もない。つまり、空を飛ぶことができない限り上へ行くことは出来ないのである。
当然B子はそんな事、承知で呟いた。
逆にA子は、上へ行こうと、どうやら本気で考え始めたようだ。
「そうだ!キュー!」
A子が名前を呼ぶと、どこからともなくキューが現れる。
B子にとっては今までどこに行っていたか分からなかったキューだが、ここで名前を呼べば来てくれるのだと始めて知った。
「私達を上まで連れてってよ!」
「いや、キューの大きさじゃ私を連れて行く事なんで無理だよ」
キューの大きさは、例えるならば犬や猫と同じような大きさだ。
そんな生物が人間を二人も乗せて飛べるわけがない。
当然そんな事、誰でも分かります。
しかしA子は諦めなかった。
「どうにかならないキュー?」
「キュー!キュー!」
するとキューが突然何かを叫び出す。
一体どうしたのだと思って見ていると、突然キューの体が発光しだす。
「えっ!?い、一体どうしたの!?」
突然発光したキューにB子は驚きの声をあげる。
一体キューはどうしてしまったのでしょうか?
しばらく待っているとだんだんと光は収まる。
そしてその場に現れたのはA子達を軽々と越える巨大なキューだった。
「すごーい、キュー!」
「いや、キュー何者!?」
二人はそれぞれの感想を述べる。
本当にキューって何者なんでしょうね?
「よし!じゃあ行くぞキュー!」
「キュー!」
A子のかけ声でキューは二人を自分の背に乗せる。
「ちょ、ちょっと私は別に!」
B子の虚しい抵抗もほどほどに、キューは二人を乗せて飛び立った。
「きゃーー!」
「ギャーー!」
二つの悲鳴が響く。
前者の悲鳴はA子。後者の悲鳴はB子。
どうやらB子は高所恐怖症だったようです。
そして二人がたどり着いた天井は、床と同じように白いタイルがぎっしりと詰まっていただけでした。
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