第4話 ペット

「ほんと、ここってどこなんだろ……」

 B子は小さくため息をこぼす。

「確かに私達二人じゃ寂しいね〜」

 なんてA子は脳天気に言う。

 寂しいのは分かるけど、少しはこの状況に対して不安やら心配やら抱いた方がいいと思いますけどね。

 でもA子はそんな言葉と無縁のようだった。


「キュー!」


 突然、何かの鳴き声が響く。

「な、なにっ!?」

 B子は突然の鳴き声に飛び起きる。

「何々〜?」

 続いてA子も好奇心旺盛に目をキラキラさせながら起きあがる。

「キュキュ?」

 そんな二人の前にいたのは白い生物だった。

 白い空間に白い生物。この空間を作った人はどれだけ白が好きなんですかね?と思わず言いたくなります。

 そんな白い生物。耳が四足歩行で耳が長く、モフモフとした毛で全身覆われている。

 さらに特筆すべき点といえば、

「この子、翼もないのにどうやって飛んでるんだろ?」

 そう。この白い生物は空中に浮いていた。

 A子の指摘した通り、翼も生えておらず、およそ飛べるであろう要素がないにも関わらず。

「そ、そんなことよりこの子一体なんなの!」

 もしかして動物が苦手なのでしょうか。B子は怖がるように白い生物を指さします。

「キューは怖い子じゃないよね〜?」

 しかしA子は全く怖がる様子はなく、しかも勝手にキュー、と名前をつけて抱き寄せる。

「ふわ〜。気持ちい〜」

 幸せそうにキューを撫でるA子を見てるとなんだか見てるこちらも幸せになります。

「ゴクリ……」

 B子もA子が撫でているのを見て羨ましくなったのか、自分も撫でたそうにA子を見つめる。

「ほら撫でてみなよ」

 珍しくA子が気を遣ってキューをB子に手渡した。

「――べ、別に撫でたかったわけじゃないから」

 などとB子は供述しながらキューを抱き寄せる。

「気持ちい〜」

 わざわざ述べる必要がないくらい、幸せそうな表情でB子はキューを撫でる。

「気持ちよさそう……」

 そんなB子を見て何を思ったのか、A子は突然B子に抱きついた。

「私も一緒に撫でて〜!」

「えっ!ちょ、ちょっと!」

 突然抱きつかたB子は戸惑いの表情を浮かべる。

「キュー!キュー!」

 キューはそんなA子に対抗するかのように鳴き声をあげる。

「もう。私だって撫でてほしいんだよ〜」

 なんてA子とキューは互いに対抗意識を燃やしながらB子に撫でてもらうのをせがむ。

「も〜二人とも〜!」

 結局、B子は突然デレてきたA子共々一緒に撫でてあげたのだった。

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