4.優先順位あるいは意匠、もしくは根っこ

 何をしたいか。

 どうしたいのか。

 それを決めるのはいつだって自分でしかない。


 そんなふうに意味深な前置きを告げておけば、それなりに意味ありげな始まりに見えますでしょうか。

 とか言っておりますが、何をしたいか。どうしたいか。それを決めるのはやはり自分でしかないんですよね。という話を今回はしていきたいと思います。


 唐突ですが、私は昔、作品を公募に出していました。レーベルから出版するのが目標だったのです。

 しかし二年ほど応募したのちに、公募に出すこと自体をやめました。

 理由は単純です。

 もしも受賞してレーベルから出版できたとして、私にとって徳なことが何も無いことに気付いてしまったからです。


 公募に出す。

 受賞する。

 出版。

 この一連の流れを自分に想像できる範囲でよくよく想像してみた時、まず真先に思い浮かんだのが、「私のやりたいことは100%できるのか」という懸念でした。

 どういうことか分からない?

 ご説明しましょう。(なんだこのノリ)


 誤解なきように申しておきますが、私は公募が嫌いなわけでもありませんし、ディスリスペクトを大っぴらにしているわけでもありません。

 あくまで私の意思に基づく、私にとっての公募の存在がどのようなものなのか。それを開示しているにすぎませんので悪しからず。


 戻します。


 製本にあたって、誤字脱字チェックをしたり禁足処理をしたり文字配置を見たりしますよね。レーベル出版でそういったことを自分自身でいじらせてもらえる保証がない、というのがまず私にとってマイナス要素でした。

 作業って手間ですよね。

 でも私にとって手間のかかることというのは、攻略対象なんです。

 どう段取りをして上手くまとめていくか、とか、どうやったら綺麗になるか、とか。その思考の末に出来上がったものが満足のいくものだったとき、何ものにも代えがたい達成感があるんですよね。

 簡単にいえば、私から楽しいことを奪うんじゃねえということなんです。


 次に、これが最大の理由になるんですが、信頼できる大好きな絵師さんに公式絵をお願いしたい。

 受賞してさあ出版となると、イラストレーターさんと仕事をすることになります。

 受賞作出版は新人コンビを組ませることが多いようです。

 ありがたいことに、私にはもうえらい長い付き合いのイラストレーターさんがいます。こちらの意匠をほぼほぼ汲み取ってくれるすごい人です。トモダチです。

 この人のおかげで私は生きているといっても過言ではありません。あ過言かもしれません。

 絵柄がすごく好みで、表情が繊細なんですよね。

 このトモダチの絵師さんに私は絶大なる信頼というクソデカ感情を抱いています。この人と組めないのなら、たとえどれだけお金を積まれても書籍化は断ります。


 こんな理由で、私は公募から遠ざかった。というわけです。


 公募はいい文化だと思います。

 事実、面白い作品はたくさん発信されていますからね。ただ私の場合は、こちらの要望が100%妥協なくぶち撒けられる環境でないとイヤだという、子供もびっくりなワガママなのです。


 そんなワガママが起因して、過去カクヨムで連載していた作品を自費出版するに至りました。(宣伝?)

 一桁売れればいいかなと思ってたのですが、どういうわけかけっこう売れています(これ宣伝?)

 

 

 

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