第5話『じりじりと冥域』





強豪校リベロは気合いを入れなおす。






正直、まだ戸惑いの方が大きい。


レシーブに関して、ボールを受ける事に関しては、

誰よりも才能があると思っている。



そして、何度も何度も血反吐を吐くほどに練習してきた。



そのサーブは速い訳でも、変化が大きい訳でもない。

ならばその取り辛い要因は何なのか?





わからない、理解不能だ。




相手サーバーを見る。




なんだ?





じじ・・・じじじ・・・・




なんか世界に引き込まれそうになった・・・





「おい、大丈夫か?」




肩を叩かれ我に帰る。



「・・・すんません」




「おう、あんま前のプレー引きずるなよ、少し油断しただけだ、〆ていこう」





「・・・うっす」





・・・なんだこの感覚・・・




相手ピンチサーバーが構える。




じじじ・・・じじじじじじじじじじ・・・



「ざわめき」がいっそう大きくなる。




はっきりわかる。


上がらないのは油断ではない、プレーに手なんて抜かない。

いつだって全力でやってきた。ならば、この事態はなんだ?どうしてボールが芯を外す?



モーションに入る。




その瞬間すべての思考は目の前のボールだけに集中するのを感じた。







・・・次は絶対に上げる・・・








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る