第2話『第一投』




漸弱高校バレー部部長は

バレーのスポーツ推薦から外れた選手だった。





なぜ、あいつが選ばれて俺が選ばれない?

いつもそんな怒りで心がいっぱいだった。

強豪高校との試合、自分の実力を証明してやれると思った。

第一セットを取った時は天にも昇る気持ちだった。


「どうだ!これがこの俺の実力だ、思い知ったか」と


だが、レギュラーメンバーの揃った第2セット、第3セットでの転落・・・

冷静でいられる訳がなかった。





(ピンチサーバーに・・・六畳だと)





部長は監督の判断に内心ひどく激昂していた。




何を考えてるんだあの監督

あいつはベンチウォーマーとしてしか役に立たないのに



もしかして勝負あきらめたのではないか

そんな疑念がよぎる。



「部長、やめとけ、試合中だ」



部長を同級生が制止する。




ちくしょう、ちくしょう








$$$









相手高校リベロは考える。




第一セットを取られたのは誤算だった。




(ピンサーか)




どういう奴だ?

もしすごい切り札があるんならここまで温存する意味ねーな

結論、こいつは『ただの数合わせ』だ



つーか何しようがこの流れは変わらねぇ




サクッとこいつら処理して、次の試合まで体力温存しねーと




ピッ




笛が鳴る。




・・・




・・・





へぇ落ち着いてんな

ずいぶん長くボールを持つ




助走からゆっくり丁寧に六畳はサーブを放つ。



ジャンプフローター?っぽいフォームだが



くく、めっちゃ回転かかってる

ジャンフロなのに回転殺しきれてねぇ




速さもないし




やはり素人サーバー・・・余裕で・・・サバける。





どりゅ!?





リベロが正面で捕らえたボールは・・・

力なく地面に落ちる。




は?







六畳、第一投、11-23、9点ビハインド





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