第3話 宅配された武器

 翌朝、ドアがノックされた。

「お、来たか」

 女が言い、外へ出る。そこには誰もいなかったが、ドアノブには黄色い袋がかけられていた。

 部屋に戻った女が中身を確かめる。Yabazon.co.jp と印刷された箱。そのなかには拳銃二丁と箱入りの9mmパラベラム弾が入っていた。拳銃は男がSATで使っていたのと同じグロック19である。

「便利な時代になっているのだな。なんでも出かけずに買える。ヤバゾン大好きだ」

 女が開けた箱のシールが男の目に入った。宛先は「王神美(ワン・シェンメイ)」と書かれている。日本人の配達者に配慮してか、ご丁寧にも名前にふりがなが振ってあった。

「あんた、ワンさんって言うのか?」

 男が言う。

「今回はそう名乗ることにしたのだ。シェンメイと呼んでくれ。名前を知ったことで私の何かがわかった気になれたか。元警視庁特殊部隊の加藤かとう亮一りょういちさん?」

「どうして俺の名前を!?」

 男、加藤亮一は驚きの声をあげた。

「公務員ならば、名札をつけていなくてもだいたいのことは分かる。給料や査定のことまでな。加藤隊員は拳銃の腕前は確かだったな。外へ出て私に教えてくれ」

 そう言って女、シェンメイはまず銃に弾丸を入れようとして途方にくれた。どこを押せばマガジンが外れるのか。

「シェンメイ、あんた不器用なのか?」

「加藤何を言うか! そうではない!! 知らないだけだ」

 加藤は数分かかって装填方法を教え、それから二人は外へ出た。

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