みかん④水着と下着

「私プール久々だし、未来と会うのも久々だからなんかうきうきしてつま先歩きになっちゃう」


 音香がダンスをしているようなステップを踏む。流石ダンス部。


 凛太とは別れて、ここはプールの女子ロッカー。


 私はちょうど着替え終わった。鏡を見てみる。うん……きっと、変になってない。問題ないはず。


「あ、音香もみかんも、久々に見るとやっぱりおっぱいが、いつの間にか小さめの風船が膨らむみたいに成長してるもんだね〜。あ、先回りして言うと私はあんまり変わってないから……」


「え、そんなことないよ。ほら、柔らかそ」


「え、あっ……ひゃあっ……いきなりクイズの早押しボタンみたいにタッチしないでよー」


 すごい。前とじゃれ合うノリがあんまり変わらない。そして音香も未来も凛太が気をとられる確率が百パーセントとうなずけるほど可愛い。


 私、こんなかで一番可愛くない気がしてきた……。


 でも私頑張って水着選んだし……いつもの笑顔で凛太に接して楽しくプール。それでおしまい。


 場所がプールってだけ。いつも通りでいこう。


 この二人もきっといつも通りな訳だし。


「ねえ、もう一回タッチしても」


「いやー」


 未来はプールバックで防御しようとする。そして……


 どさっ。


 未来のプールバックの中身が開いてしまった。


 出てきたのは……未来の下着……なんだけど。



 猫とお魚が描いてある……パンツ?



「ふぇっと……」


 未来は手を伸ばして拾うこともなく、微妙にかがんだ謎の姿勢で固まったまま。


 ほっぺが硬直した笑顔もそのまま。


 私はパンツと同じくらいの濃さのピンクの水着を着ている未来を見た。未来は卓球をしっかりやっているからか、綺麗な体型で、ちょっと安産型の、ふわふわぷにぽよといった感じのお尻をしている。


 そのお尻がさっきまでこの猫とお魚のパンツで包まれていたなんて……!



 この上なく可愛い!!



 私は未来を抱きしめるべく、思わず一歩踏み出していた。


 そしてちょうど同時に音香も一歩を踏み出していた。


 そう、私たちは、幾度も一緒に練習したダンス部の仲間。


 時計売り場の秒針まで揃った時計たちのように、息はぴったり。


「未来……可愛いですわ!」


「未来そういうところかわいすぎね!」


 私と音香は同時に未来に抱きつきに行った。


 未来の顔はあっという間に「ふええ……」と、どんどん赤くなって、そこがまた可愛いかった。

 

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