第37話 任務準備
時間の流れってものはとてつもなく早い。特に30代~60代くらいの人はそう感じれるんじゃないか?俺にとっては刑務所で懲役10年は呆気なく、すぐ出てきてしまう。それほど、時間の流れは速いという事だ。
何で俺がこんな話をしてるかって?そりゃあ、自分がいく世界は俺の故郷の世界で尚、10年後らしい。こっちでは1億年も生きてるが、あっちでは10年しか経過してない。
……10年も経てば世界は変わってるだろうか?答えは否。たかが10年程度で世界は変わらない。めちゃクソでかい規模のある戦争が起きない限りな。
「さて、
今回の任務は「世界の歴史を壊しかねない危険性のある偉人の抹殺」だ。抹殺屋は何も自分の自国でなんかやるだけではない。異世界にてその世界の歴史を修正、妨害、抹殺を行うのが仕事だ。
「む、今回は亡命者リストがあるのか」
異世界亡命、いわばこちらの世界で保護してその世界が落ち着くまでこちらで預ける人攫いみたいなもんだ。
亡命者リスト
・
・
・
「……此奴らは」
俺はこの3名に覚えがある。
そして「粉雪=アイスバーグ」。
彼女はかつての俺の恋人だ。……もう別れたんだが、あいつ元気にしてるだろうか?彼女は魔法使いの中ではもはや最強と言わざる得ないくらいの実力を持つ奴だ。どこかのボンボンと結ばれてるだろうな。
そうやってリストを見てると冥が俺に話しかける。
「久しぶりに元の世界に帰って来れるのに、やけに浮かない面をしてるのぅ。少しは喜ぶべきじゃろう?」
「そうはしたいが、何せ10年後だ。何があるかは分からん。この任務は常に情報戦だ。負けたら取り返しのつかんことになる」
確かに嬉しいさ。だが、任務中にそんなことすれば背後を取られる可能性が大いにあるからだ。これは従軍、傭兵時代でも身についている。
「そういう冥は任務をやる前に故郷である里に顔を出せよ。俺が行ったら嫌な目をされたからな」
「無論じゃ。あっちの鬼人族は警戒心が凄まじい。心配はいらんよ」
なら良かった。俺も行動に移せるわけだ。
正直、冥の故郷はロクな奴がいない。過去に彼女の故郷に行った際、嫌な目をされたし、伝えたいことだけを伝えて帰ったからな。
「準備ができ次第、出発するぞ」
「了解じゃ」
*
数分後、機械仕掛けのゲート前……
此処は時空ゲート。追放世界の住人で特に「抹殺屋」が仕事でよく使う、異世界に繋がる出入り口だ。俺はそこを通って仕事場へ転移する。ちゃんと座標も指定でき、どこからでも転移できる。だが使い方を間違えると不老不死でも朽ち果てて消滅するという激ヤバ装置でもあるのだ。
そろそろ改良と改善すべきなんだけどな……。
俺は冥を待ちながらゲートの前に立ち尽くす。このゲートのデザインは俺が考えたものだ。見た目はSF作品に出てきそうな円形状のゲートだが、この方が計算上転移しやすいだとか。
「済まぬ、遅れたな」
「いや大丈夫だ。では行くぞ」
「「
そう言いながら俺達は時空ゲートに入った。
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