第35話 戦後の様々な処理

俺がハーガンを亡き者にして数日。反乱軍は一斉に降伏を宣言し、内戦は終戦した。その後、国家会議で様々な戦後処理が行われる事となった。

まず一つ、余分な加護の与えすぎな事を反省として、これ以上法国に抹殺屋を作るのを制限。


次に軍の縮小。法国の軍は様々な街や都市を含めて、最大で120師団も所持している(計算は1師団=1万人。つまり120万人の軍勢を持ってるという意味である)が、10師団を軍から解雇、及び別の職を与える処分となった。


他にもあるが、これ以上あげるとキリがないから、ここから先は言わないでおく。

後は上司たちのお仕事だ。抹殺屋の俺には関係ない。


さて、俺はどうしてるかって?


「…体の節々が痛い……」


俺は自宅にて、療養中だ。属性体エレメントボディは負荷がかかるため、能力を使用した後の反動がとてつもなくヤバイ。


俺の場合は身体のあちこちが筋肉痛並みの痛みが走り、栄養失調のように体が動かなくなる。だからこの能力は使いたくない。この反動のデメリットは非情にも重いのだ。


何でって?コレ、回復系統の魔法や能力でも治せない。完全に自然治癒じゃないと駄目なタイプのデメリットである。


「やっぱ使うんじゃなかった……あの女め……!」


少し悔やむが、過去を悔やんでも仕方ない。此処からは領土処理の話をしよう。


先ずは俺が向かった鬼人族の村だが、暫くはレクス公国領の村として管理される事となった。無論、レクス様はきちんと仕事をしてるが、同盟国の危機に俺を巻き込まないで欲しい。休暇が休養期間に早変わりになったからな。


まぁ、次の任務は結衣と火種に行かせてるから、問題ない。

え?新人二人に任せていいのかって?


……確かにこういうのは常識的に考えれば駄目な方だが、彼女らにも俺無しの任務の成功や失敗の経験があった方がいい。えーとこう言えばいいかな?


「可愛い子には旅をさせろ……か?まぁ俺は何事も経験がものを言う」


経験が活きるのは良い事だ。このために行かせたんだ。悪いもあれば良い事もあるだろ。


「さて、どうするか……」


実のところ、ベッドに縛り付けられて動けない。


「……寝るか」






数週間後、デメリット効果から解放された俺は朝食を食べた後、能力を確認した。

どうせだ。俺の能力を紹介しよう。


白皇陸也の能力

PSYサイキック

通称つうしょう超能力ちょうのうりょく。ものを浮かせたり、弾いたりするPKサイコキネシス、自身を覚えてる場所へと転移させる瞬間移動テレポート、物質を入れ替えたり、手元に転移させる物質転移アポート、etcが出揃ってる。

負の超強化ネガティブパワード

自分がマイナスな思考になった状態で念を込めると、火や水を出したりできる。実質PSYの上位互換じょういごかん。ただし、自分が負の感情に浸ってなければ効果が無い。

属性体エレメントボディ

文字通り、あらゆる属性の体になる。例えば、相手が岩石をぶつける魔法を撃った場合、土、または地属性にすれば、その魔法や攻撃は吸収され、無効化できる。ただし、リスクとして使用後、筋肉痛及び栄養失調のような体調不良を起こし、1週間以上、活動が制限される。正直言って重い。

加護かご:レクス 混沌魔王神の神力アザトースデスパワー

レクス・マキナ・プロトコルという古代神から授かった加護、ゲームで言う強化系の力だが、あらゆるものを即死させるもので、死の概念がない者すらも滅する事が可能なめちゃクソ危ない加護。実験や検証をした結果、負の超強化ネガティブパワードと組み合わせたりすると、回復や蘇生などといった補助が可能になる事が判明した。


ざっとこんな感じか……割と少ないだろ?俺の能力。

まぁ器用貧乏になるよりはマシだ。他国では俺より能力持ってるやつなんてごまんといる。何事も無難が一番だよ。


確認し終えた俺は自室のベッドの上に座り、今後の方針を考える。


「部下を持ったのは誤算だったが、まぁ、俺に後輩が出来たという事でよしとしよう。問題はこの先、また俺の下に就きたい奴が出てくる可能性がある事だ」


ノートを取り出し、鉛筆で書きだす。


計画はないが、日常を乱すものでなければ特に問題はない。


・部下が出来た

Aアフター.後輩が出来たというべきだろう。常人なら喜ばしいものだが、戦争帰りの俺にとっては微妙なものだ。


・今後、部下が増えたりした場合の対処

Aアフター.不明。どんな人物かによっては他の部署に移させる。それ以外は様子見、及び観察とする。


ソロで任務を受けていた身だからこんな答えになってしまったな。


「はぁ……面倒なものを押し付けられちまったなぁ……何してんだか、俺は」


ため息を吐く。ノートを閉じた時、俺の念話テレパスが反応した。

念話相手はレクス様だった。


『こちら陸也、念話に応答しました』

『陸也君。ちょっとした事件だ。急遽城に来てくれ』


……面倒なものがまた舞い込んできたな。これじゃあ休みどころがない探偵だなこりゃあ。



国外ぶらり旅編 完

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