第25話 その後の処理

あの任務から3ヵ月。

救出したソラとその母親、及びその従者たちは、あの世界が落ち着くまでレクス公国に滞在する事となった。


と言っても居住エリアの方でゆったりしててもらうという制約の元で、だ。

働いてもいいし、そのまま滞在しっぱなしでもいいし、残りの処理はレクス様の処理仕事となる。


俺に残された仕事はたった一つ。部下たちに給料を渡す事だ。


「3か月前の働きは見事だった。己の失態を返上できたし、尚且つ俺が来るまでに耐えててくれたのは流石と言っておこう」


ポケットから封筒を取り出す、何せ俺の部隊だけは現金の手渡し制度だからな。


「……にしちゃあだいぶ分厚いな。どんだけ入ってんだ?」


「確かに、我々はさほど大した仕事は……」


「当たり前だ。相当な働きをしてくれたからこその量だ。中身は各々確認してくれ」


そう言って俺はレクス城を後にした。



――――――



「やはり、俺に部下は荷が重すぎる。いつもの通り、ソロでやった方が良い。だが言った通り、ソロだと時間がかかるしなぁ……」


任務は完了した。仲間がいたからこその成功だが、なぜ、俺は今更になって部下を持たねばならないのか?


レクス様は一体何を考えているのだろうか?


「……」


確かに俺に足りないのは仲間だ。唯一頼れる仲間がいないと駄目なのだろう。

そう考えながら道中を進む、ここいらには飲み屋などないというのにも関わらずに。


「はぁ……あいつらも犠牲者にならなければいいが……」


あの任務が終わった後、俺はレクス様に10カ月の休暇を貰っている。

退屈という訳ではないが、予定を作っていない。


そこで俺は考えた。


「たまには国外へぶらりと旅でもしてようかな」


そう言って自宅へと足を運ぶ、旅の目的はまぁ休暇の完全消費の前日までのぶらり旅としよう。幸い賃金は腐るほどある。


最近、レクス公国では俺がいない間の防衛強化の計画が発動されているから、新兵や研修生の訓練に力を入れているらしい。まぁ当然っちゃ当然だが。


「目的が決まった以上、早速準備だな。二日後、開始しよう」



――――


二日後


「そっかぁ、陸也君がぶらり旅に……へ?」


レクス様は俺が提出した書類に目を通して、不意を突かれたような表情をする。


「陸也くぅ~ん!?こんなの聞いてないよ~!?」


主は急いで呼び戻そうとするが、残念ながら時すでに遅く、その命令が届くことはなかった。



「さて、家出って訳ではないが、箱暮らしは大概にしておかなくてはな」


バックパッカーが背負ってそうなリュックを背負い、護身用の不死殺しの拳銃1丁に短剣を1本、と言ってもマチェットだがな。


ハンマーはどこかで手に入るだろう。水と食料も持ったし、後はどこかで列車を見つけれれば大丈夫だ。


「しばしのお別れだ。何、すぐ帰って来るよ」


国境の門を抜け、俺は国外へと足を踏み入れたのだった。


幼女魔王の護衛兼救出任務  完

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