第18話 索敵
考えるねぇ……証拠もないし、無理はない。
「火種、お前はここに待機だ。彼女を守ってくれ。俺と結衣は外に出るぞ」
「?……御意」
俺は結衣を連れて外に出た。
辺りは相変わらず静寂に包まれている。空を見上げるが、夜にはなっていない。時空時計を確認すると、まだ昼の様だ。
「どうすんだ?もし、あのお嬢さんがここに居たいなんて言い出したら確実に失敗だぜ?」
「問題ない。俺がいる限り、そんな余裕はないはずだ」
確かに信じはしないだろう。だがそれでいい。万が一の時は力づくで引っ張り出すまでだ。できればそれは避けたいがな。
「よし、ついでだ。超能力による周囲の敵の反応探知のテストをするぞ」
「マジかよ。っていうかそれついでなのか?」
「当たり前だ。敵がどこに潜んでるか分からんからな。不意打ちを受けて大惨事は流石に嫌だろう?」
「そりゃそうだけどよ」と結衣が少し渋る。能力の温存はわからなくもない。
だが、目標は魔王の娘さんだ。恐らく凄腕の暗殺者たちが送り込まれるだろう。
出し惜しみをせずに警戒網を張った方がためになるからな。
「先に始めてるぞ」
俺は目を閉じ、意識を集中させる。超能力により第六感が研ぎ澄まされ、目を閉じているのにまるで開いているかのように背景がよく見える。
「「【
先ずは上から見るように辺りを探る。青が俺を含め3つ。緑が1つ、赤は17か、って多いな。青い点は俺が認識している味方。緑は護衛対象及び救出対象、赤は敵。敵と判断できるのは俺のセンサーがよく知っている。相手の敵意を読み取り、判断してるからだ。
「獲物は17。多いには多いがあんまり苦ではないな」
「こんなにいるのかよ……何をやらかしたんだあの嬢さん」
確かにな。たぶん親の逆鱗に触れることをやったか、謀に引っかかったか。どちらにしろ命を狙われるのは間違いなさそうだ。
「【
能力を発動し、近くの獲物に攻撃を始める。
最初に狙われた敵は、狙われた事にも気づかずに命を落とす。
「何だ!?」
「敵襲か!?」
反応が早いな。だが少しずつながら屠らせてもらうぞ。
素早い動きで相手の懐に入り込み、次々と倒していく。
結衣も負けじと敵を探しては殴り飛ばして倒している。
なんやかんやで敵の反応が3つしかなくなった。
1つが森の外に出ようと後退し始める。もう二つは俺達を探し始めた。死を恐れないのはわかるが、全軍撤退も見事な戦術だぞ?
多分、時間を稼ぐつもりだろう。
よく見る戦術だ。
「よし、一人捕らえるか」
「じゃあ残りは殺っていいんだな?」
そうなるが、もっといい言い方はなかったのか?
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