第4話 街に向かう

標的は街に逃走、しかも拠点にしている街と来た。

完全に黒いなコレ。


レクス様の情報を合わせると、ヤバい事をしているのが見えるな。


「ヒルネイスか……さぞ大きな街だろうな」


恐らく、何の備え無しで向かえばボコボコにされる可能性は低くはない。

だからと言って何もしない訳にはいかないな。後ろ盾は…期待しないでおこう。


一応、レクス様に連絡しておくか。念話テレパスを使い、レクス様に呼びかける。


『こちら陸也、標的ターゲットはどうやらヒルネイスという街に立て籠もってる情報を入手した。至急対応を頼む、オーバー』

『了解、直ちにそこに向かってくれ、対応はその後に言う。アウト』


念話を切る。神父に礼を言った後、村の出入り口へと歩を進める。

その途中、ラミルとその母親が俺に話しかけた。


「もう…行っちゃうの?」

「もう一日だけでもここに居ては?」


心配してくれてるのはありがたいが、任務を放棄するわけにはいかないからな。

後はヒルネイスという街が近くであることを祈るだけだ。


「済まないな。こう見えて忙しい身なんだ。これからヒルネイスという街に行く」


確かにこの村には三日くらい居てやりたいが、その間に歴史が悪い方向に行ったら困る。残念ながらここでお別れだ。


「リクヤ」

「ん?」

「別に止めはしないよ。でも……また来てくれる?」

「……」


実に断り辛い言語を使うんじゃねぇよ……どうするんだ?帰投前にこの村に寄っていくか?だがそうだとして遅れをレクス様が許すか?


「……一応、考えておく」


一旦それは保留だ。一秒でも早くグレゴスを排除せねば!今は任務が最優先だ。


「じゃあな」


そう言って俺は街に向かうためのルートに走り出す。

取りあえず、標的を片付けた後に考えよう。うん。俺こういうのすごい苦手だから。








しばらくして平原と森を抜けると、大きな城壁と城門らしき建物が見えた。

門の左右には番兵が四人配備されてる。別に強行突破するわけではないが、先ずは話を聞くか。


「すいません。ちょっとお聞きしたいのですが」

「何だ?」


一人の番兵が反応する。一応方向音痴のフリしておくか。


「実は道に迷ってしまいまして、ヒルネイスという街を目指していたんですが…」

「ん?それなら此処だぞ。方向音痴か?」

「ええ、お恥ずかしいながら」

「良く来れたな。ようこそヒルネイスへ」


そう言って番兵が門を開ける。かなり親切だな。


「ありがとうございます」


さて、奴はどこにいるかな?











一方、ヒルネイスの聖堂。


「盗賊どもからの報告は?」

「それが…報告が一方的に来ないのです。たぶん、やられたのかと」

「フン。所詮は賊か。この私「グレゴス・ファンシ」の計画に支障をきたす事しかできん人材は要らん」


グレゴスはため息を吐きながら自室へと戻る。

部屋の中は暗く、聖職者とは思えないくらい不気味な小道具と魔法陣で覆われた趣味の悪い部屋だった。


「おお!我が主「ザルメル」様。我々の計画を阻害する愚か者に報いを!」


神を崇める聖職者の裏側、悪魔教団の団長グレゴスが世界の歴史を壊すべく動いたのであった。





「フム、先ずは資金集めだな。ラミルを助けた時に盗賊どもから資金をかっぱらってきたが、この量では宿に泊まれなさそうだ」


早い話、ちょっとした賭博に挑戦してみようかな。

この世界だけだ。俺は断じてギャンブル大好き人間ではないぞ!


なわけで俺は酒場を探す。気づけば空が暗い。

さっさと稼いで一度休もう。


「あ、あった」


酒場のマークともいえる泡立ってる酒の絵、紛れもなくここだ。

扉を開け、酒場に入る。


中はむさ苦しいおっさんや顔つきの悪い男がトランプをしている。やっているゲームはポーカーか。


適当に席に座り、水を注文する。


「さて、誰から料理してやろうか」



その後、気持ち悪いくらい勝ちまくって大金を稼いで宿に泊まった。

正直、やり過ぎた感はあるがな。

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