第39話 復讐編 『決戦へ』


 「十魔剣のメンバーも3人欠けて7人と頭のシシオウ、合わせて8人、こちらもこのメンバーで8人。8人対8人だな。一人一殺で行けばいいだけだな。」


 「そうだな。そのシシオウはオレ様に任せておけ。十魔剣の頭・シシオウの首はオレ様が獲る!!」


 マモン様がそう力強く宣言した。



 「では、その速さに定評がる『アクセラレーター』キャサリン女史は、オレが相手しようかな? オレもスピードには自信があるからね。」


 ジャックがそう言って笑顔を見せ、歯がキラリと光った。


 「じゃあ、そのプラズマを放つ能力を持つUQとやらはオレが相手するのが良さそうだな。どれほどの力を持ってやがるのか・・・耐久力があるオレが良いだろう。」


 リーヴァイスさんが名乗りを挙げた。




 「音の攻撃をしてくるホンジョウは、あたしにまかせるのら! 水流でお相手しちゃうのら!」


 サーシャがそう言って手を挙げた。


 「ヒョウリ・・・ナンバー2のウースイを相手してもらえるかな? 私はロケットミサイル使いのフォージを幻影で翻弄するわ。」


 アカリンがフォージを相手にし、僕がその間にウォーママと対決する・・・悪くないだろう。


 「わかったよ! アカリン。やってやる!」




 「ふーん、なら、デス・キング。ワタクシたちは残り物のカリャとイワンを殺りますよ?」


 「お嬢様。御意。」


 「イワン坊やは、その場に固定できる能力を持っているよ・・・。あれはやっかいだから気をつけて。」


 アカリンがそうアールに告げた。




 「ふふふ。ご忠告ありがと。まあ、ワタクシの『カルチャー・ヴィレッジ・色欲ムラムラ文化村』の能力の前に敵などいませんけどね。」


 「その通りでございます。さすがはお嬢様。」


 デス・キングって名前も見た目も怖いんだけど・・・ただの太鼓持ちなんじゃないか・・・?




 それぞれが担当する相手が決まった。


 シシオウ・マコール・カルキングはマモン様が相手する。


 キャサリン・セタ・ソージーズは、ジャック・ジャンモード。


 サード・フォージをアカリン・サンが相手をし、


 ウォーママ・ウースイは僕、ミギト(ヒョウリ)が相手をする。





 U・Q・アンジェリーナに対しては、リーヴァイス・ジーンズさんが相手をする。


 ホンジョウ・カマナミはサーシャ・チャ・五條が止める。


 カリャ・ヘンニャとイワン坊やの二人を、こちらもアール・ベッドさんとその配下のデス・キングさんの二人が相手をする。




 決行は明日の晩、夜襲を仕掛けるということで決まった。善は急げってやつだな。


 「だが、相手も待ち構えているという可能性もある。十分みな気をつけてくれ。」


 マモン様がそういう。


 「わかったよ。マモン様。」


 「みなまで言わなくていい。」


 「承知。」


 みなが口々に返事をした。




 「アールよ。今回はよく協力してくれる気になったな。感謝する。」


 マモン様がアールさんにそう言った。


 「ふふふ。まあ、貸しにしておいてあげるわ。マモン。今度、なにかワタクシにプレゼントしなさいよ?」


 「ふん。貴様に手に入らないものなどないだろう? まあいい。わかった。約束しよう。」


 「よっしゃ・・・!」


 「お嬢様・・・声が漏れております。」


 「あら・・・。おほほ。まあ、気にしない気にしない。」




 ・・・あれ・・・? なにかアールさんってマモン様に? マモン様は気にしてない様子だけど・・・。


 「ねぇねぇ・・・アカリン。アールさんってもしかして? マモン様に?」


 「でしょうねぇ・・・前からなんとなくわかってはいたけどね・・・。ヒョウリもそういうの気づくの鋭いわね。」


 「いや、まあ。なんとなく。」




 十魔剣の潜伏先、シンジュクエリアの『シンジュクギョエン』の地下『シンジュク・アンダーグラウンド』に秘密の地下施設があるということは、『色欲の守護神』達の調査で判明していた。


 地下施設は迷路のようになっているという・・・やはり各個人撃破していくのが望ましいようだ。


 だが、罠が張り巡らされていることは想像に難くない・・・。




 その後、解散となったのだけど。


 マモン様とアールさんはまだ飲んでいくらしい。デス・キングさんはお目付け役のようだ。付添で残るって。


 うーむ。やっぱ、あの二人・・・怪しいよな。


 リーヴァイスさんはさっさと帰路についた。


 「てめぇら・・・、明日の午前中の舞台稽古・・・遅れたら承知しないぞ!」


 とか言ってたな・・・。やっぱ、リーヴァイスさん・・・役者命だな。




 ジャックもそうそうに帰宅するらしい。


 「ふふふ。ちょっとレディを待たせちゃってるのでね。」


 なぁんだ・・・。女性とこれからデートの約束があるらしい・・・。まぁ、こんな時間からって・・・はぁ。リア充、爆発すればいい。




 僕とサーシャとアカリンの三人はそれぞれ歩いて帰っていく。


 途中でサーシャが別れる。


 「じゃーね、ミギト!」


 サーシャがふいに僕の本名で呼んだ。少しドキリとした。


 「うん。サーシャも気をつけて。」


 「はいなのら! アカリンをちゃんと送って行けなのら!」


 「わかってるよ。」


 「なに言ってるのよ。送ってなんか・・・いらないわよ。」



 

 その後、僕がアカリンにマンションの前まで送るよって言ったら、


 「いらないってば。ミギトこそ送ってあげようか? ふふw」



 そう言って彼女はくるりと振り返って去っていった。



 僕は送ってほしいって、家に寄って帰るように言ったらアカリンはどういう返事をしただろうか・・・って考えてた。









 

 僕はアカリンが見えなくなるまで見送った後、帰路についた。



 なんだかチャンスを逃しちゃった気がして・・・アカリンを送ることができなかったことを残念に思っている僕がいた・・・。








 その晩、僕は久しぶりにキャシー先生やヒョウリ、シスターや孤児院のみんなの夢を見た。


 やはり気持ちが高ぶっているからだったのだろうか。


 それとも、みんなが早くカタキ討ちをしてほしいと願っているからだろうか。




 だが、夢に出てきたみんなは笑顔で楽しそうだった・・・。幸せだったあのころのままだった。


 みんなのことを思うと・・・僕はまたふつふつとベリアルや和流石のヤツラに殺意が湧いてくるのだった・・・。


 僕は翌朝、起きた時、涙を流していた―。




 翌日―。





 午前中の稽古がいつものように厳しく行われた。


 今日は公演は休みの日であった。


 まあ、休みだからこそ、今日が十魔剣の潜伏先への襲撃の決行日となったのだが。




 僕はリーヴァイスさんに、


 「てめぇ・・・。今は芝居に集中しろ!気合い入れやがれ。」


 と、ちょっとダメ出しをされつつ、相変わらず、ミカやリーヴァイスさんは演技の完成度が高い。


 僕もこの能力『トビウオニギタイ』が無ければ、ずいぶんお粗末な演技になってしまっただろう。




 そして―。


 夜を迎えた。


 集合場所は、シンジュクギョエン駅前である。




 僕は電磁気鉄道でシンジュクギョエン駅へ向かった。


 パスカードで出口を出たところで、アカリンやサーシャ、ジャックの顔が見えた。


 良かった。間に合った。




 これから、敵のアジトに乗り込むんだと思うと、ちょっとドキドキしてきた僕だった。


 今夜も月がキレイな夜だな・・・そう思った。



~続く~



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