第38話 復讐編 『続・顔合わせ』
たしか稽古を一回一緒にしたと思うけど・・・。まあ、あまり話はしてなかったな・・・。
まさか? 彼もアカシックレコーズの一員なのか?
「お! いたな? アカリンにサーシャよ・・・って、え!? 君は・・・たしか劇団の主演の・・・ああ! ヒョウリだね?」
「え・・・ええ。まさか、ジャック! あなたも?」
「んん? ま、そういうことか・・・。そうだね。オレも・・・ビヨンド能力者なんだ!」
ジャックの眼がキラリと光ると、一瞬にしてジャックが立ち上がった僕の背後に回っていた。
「ジャック! ストップ!」
「ん? あれ? どういうこと?」
ジャックがそう言いながら、その手先から出ている鋭い爪をピタリと僕の顔の前で止めた。
「ホントに・・・早とちりはやめてね? ジャック? わたしが敵を紹介するって言うわけ無いだろう?」
「なるほど、それもそうか。なら、改めてよろしくだな。ヒョウリ。」
「いやいや、今、僕、殺されかけましたけどぉ!!」
「ふふ。まあ、気にするな。ヒョウリ。仲良くしてくれよ。劇団の仲間だろ?」
「いやいや・・・その劇団の仲間をぬれぎぬであっさり殺しかけた人が、どの口でそれを言う!?」
「おい! ジャック! 貴様もまずは座りやがれ!」
リーヴァイスさんがいつも通り凄みのある声で制した。
リーヴァイスさん・・・目の前で僕が殺られそうだったところ、止めようと思えば止められたっぽいな・・・。やはり、ライオンマスクの能力を引き継いでるからか。
「お!? リーヴァイスさんじゃないですか! へぇ・・・リーヴァイスさんも・・・ビヨンド能力者だったんだ! すごいなぁ。」
ジャックがそう言いながら、着席しつつアカリンに尋ねる。
「・・・で、彼らが今度の作戦に参加するってことか!? 情報漏えいとか大丈夫なのかよ?」
「うん。まあ、『セブン・シスターズ』がOKの裁定を下したんだ。間違いないよ。」
アカリンがそう答えた。
ん? 今の話に出てきた『セブン・シスターズ』って・・・誰だ?
「えっと・・・『セブン・シスターズ』さんって?」
「ああ。我々の組織の指揮を取っている七人の魔女・・・だな。彼女たちの情報分析と指揮は完璧なんだ。我々の組織が今日あるのは彼女たちのおかげなのは間違いないだろう。
ヒョウリ・・・君達に接触しても問題なしと判断したのも彼女たちなんだよ。」
アカリンがそう言った。
その後、僕たちとアカリンたちの間でまた情報交換が行われた。
「・・・なるほど。では、やはりその十魔剣をなんとかしないといけないってわけか。」
「そう・・・なんだ。ヤツラが和流石やアクノたちに従っている目的は金のためなのかもしれないが、敵であることは間違いない。」
「そうだな。だが・・・ヤツラは強いぞ。特にリーダーのシシオウのヤツはヤバい。こちらの戦力で勝てる相手かどうか・・・。」
「それは大丈夫だよ。わたし達のボスが参戦してくれるからね?」
「え? アカリンたちのボスって・・・。」
「うん。マモン様なのら! 人呼んで『強欲のマモン』、マモン様なら、そのシシオウってヤツもぎったんぎったんのばったんばったんにしてくれるのらー!」
サーシャがそう力強く言ってくれたところで、お約束どおり、そのマモン様が現れた。
「ふむ・・・。話は聞かせてもらった。オレ様もそのシシオウに興味がある。ぜひとも戦ってみたいぞ!」
そう言った男が僕たちの座っているテーブルの眼の前に立っていたのだが、僕はいつの間にその男が現れたのか全く気が付かなかった。
現れた男が名乗った。
「オレ様はマモンだ。『7つの大罪人』と呼ばれる『強欲のマモン』とはオレ様、ゴーダッタ・ケッシ―様のことだ。組織の中でチームのリーダー的存在だ。よろしくな。ヒョウリにリーヴァイス。」
身長は195くらいあるか、めちゃ高いな。その身体はがっしりとしていて、パワーもありそう。顔は男らしいイケメンだな。髪は黒、眼光が鋭いな。声もデカい・・・。
「こ・・・こちらこそ、宜しくおねがいします。」
「よろしくな。マモン。」
マモン様も圧倒的なオレ様キャラだが・・・、リーヴァイスさんも負けてないな。
「で、だな。その十魔剣の構成員についてだが、その名の通り十人いるという情報を掴んでいる。その頭のシシオウと合わせると全部で11人ということだな。」
「でもでも! サワって女と不死鬼ってデカイヤツと・・・あとえーと誰だったのかなのら・・・うぅーん・・・。」
「豺狼って爺さんだな。も一人いた太ったヤツは逃げられたっけな。」
「そうそう、だから3人は警察に捕まってるはずなのら!」
「そうだな・・・十魔剣の情報については・・・彼から聞いてくれ。」
そう言って、マモン様が店の隅に座っていた骸骨の仮面をつけた男に向かって話しかけた。
最初に店に入ってきたときに、目に入って気になっていた男だったが、マモン様の連れだったのか。
奥で黙って座って飲んでいた骸骨の仮面の男が、むっくりと立ち上がって近づいてきた。
「アール様がお越しになる。」
そう男が言うと、男の影の中から、白いドレスのいかにも貴族然とした品格のある黒髪長髪美人でプロポーションの良い女性が現れた。
女の人? うわぁ、きれいな人だな。黒髪の長髪美人だ。清楚な雰囲気が漂う・・・。真っ白なドレスでめちゃくちゃ目立ってるなぁ。・・・胸も・・・。
「おーほっほっほ! お待たせしたかしら? ワタクシはアール・ベッド。『七つの大罪人』が一人、『色欲のアスモデウス』とはワタクシのことでありますのよ!?」
「は・・・はい。アールさん・・・でいいのかな? 僕はヒョウリ・イズウミ、役者です。こちらはリーヴァイス・ジーンズさん。僕の先輩です。」
「ほお。覚えておきましょう。デスキング! ワタクシの座る椅子を!」
「は! こちらにご準備致しました! お嬢様!」
そう言って、デスキングは自ら、椅子の格好をしてアールさんがその上に腰を掛けた・・・。ど・・・ど変態だ。これは。
かなりの人数が集まったな・・・。僕・ヒョウリ、リーヴァイスさん、アカリンにサーシャ、ジャック、マモン様、アールさんにデス・キングさんか・・・。
全部で8人か、これはなかなかの戦力になったかも!?
「『色欲の守護神』達は『十魔剣』を殲滅する任務に就いているのよ。そこに、マモンから情報をもらったってわけなの。だから、ここは同じ目的なら協力したほうが良いと思ったわけなのですわ。」
「ああ、そうだ。オレがアールの目的を聞いたからな。十魔剣を相手にしていると。まあ、本来、極秘任務のはずだがな。こいつがオレ様にペラペラ喋りやがるから、まあ、ピンと来たわけだ。」
「ワタクシの色欲チーム・『色欲の守護神達』が調べた、十魔剣のメンバーの情報がこれよ!」
そう言ってアールさんから説明された十魔剣の頭はシシオウ・マコール・カルキング。『青の獅子王』とも呼ばれる殺し屋界でも随一の凄腕だ。
実際に戦った経験からも、あいつはヤバい・・・。
十魔剣のメンバーのナンバー1の座は、キャサリン・セタ・ソージーズ。彼女はその加速の能力から『アクセラレーター』と呼ばれる。その動きを捕らえるとこはできないとまで言われている。
シシオウに惚れていて、シシオウの言う事なら何でも聞くというシシオウの信奉者だ。
ナンバー2の座は、ウォーママ・ウースイ(我媽媽・烏水)。彼の能力は未知数。仲間にさえその能力は明かしていない。彼を暗殺できるものはいないとさえ言われている。
彼はシシオウに心酔しているわけではないが、彼と利害関係が一致するからという理由で仲間になった男だ。利害が合わなければシシオウさえ殺すと明言している。
ナンバー3の座は、サード・フォージ。ロケットミサイルを操る男。その大きさはその時の精神力による。彼は、シシオウに初期から心酔している古株だ。
ナンバー4は、U・Q・アンジェリーナ。彼女は両の腕からプラズマを放つその能力は、単純かつ恐ろしい能力である。彼女は信仰心が厚い人間だったが、ある出来事があり信仰心を捨てたという。
ナンバー5は、ホンジョウ・カマナミ。彼女は、音の振動で相手の精神、肉体を攻撃することができる。彼女もシシオウに心酔しているメンバーの一人だ。
ナンバー6はカリャ・ヘンニャ。彼は影と光の間に自らの肉体を忍ばせることができる。また影の部分を集め、白の部分を破壊できる。
彼はシシオウには恐怖でしたがっている。彼では絶対に抗えない存在と思い知ったからだという。
ナンバー7は豺狼、ナンバー8は不死鬼、ナンバー9はイワン坊や、そしてナンバー10がサワだった。
逃げたイワン坊やはあいかわらずの無口な男。だが、その能力はやはり侮りがたい。
十魔剣のアジトは複数あるが、今はシンジュクエリアに潜んでいるという・・・。こちらから奇襲をかけるチャンスというわけだ。
僕たちはこちらから先手を打つ作戦を選ぶことに異存はなかった・・・。
~続く~
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