第34話 復讐編 『和流石建設本社・潜入4 窮地』


 シシオウ・・・・十魔剣の頭を名乗るだけあり、相当な能力者だ。


 はっきり言って、僕がナオト兄さんのライオンマスクにまた成り切って攻撃したとして、倒せるイメージはまったく沸かない・・・。


 ただ、この場から逃げ出さなければ命がないことだけは、わかりすぎるほどにわかっていた。




 そこに、駆けつけてきたのは、まさかのリーヴァイス班長だった・・・。


 ダメだ・・・。リーヴァイス班長はたしかに、チャクラを見たり感じたりできる、いわゆる『見える人』というのだが、いくらなんでもシシオウは危険すぎる・・・。


 それに、どうして、リーヴァイス班長が、この場にいるんだ?


 まさか・・・僕が後をつけられていたのか!?




 「ヒョウリ!決して無茶をするなって言っておいたよな?貴様!後で説教だ!」


 「いあ・・・そ、それはすみません。だけど!なぜ来たんですか!?早く逃げてください!」


 「ふざけんなよ!お前を置いて逃げるわけねえだろ?死にたいのか!」




 これは、もう僕がやるしかない・・・シシオウを。だが、今さっきのレーザー光線のような攻撃はまずい。かわしようがない・・・。


 反射できるか・・・。僕は自分自身の両腕を鏡のように変化させる・・・。ミラーマンみたいなイメージだ。昔、見たヒーロー物の主人公だ。


 「ほお・・・それで、このシシオウの攻撃を防げると思うのか?面白い・・・。」


 シシオウが、また僕に注意を向けた。




 「今のうちに逃げてください!班長!!」


 僕はそう叫んで、シシオウに飛びかかった・・・。


 「てめえ・・・死に急ぎ野郎が!!勝手にしやがれ!!」


 リーヴァイス班長が逃げずに、ものすごいスピードでシシオウの背後に詰め、蹴りを繰り出した。


 正面から僕が、殴りかかる。






 挟み撃ちのような状況だ・・・。いかに、シシオウが強くても一撃は食らうだろう・・・。これはかわせない!


 「ぐぅ・・・」


 うめいたのは・・・僕だった。




 まさか・・・僕は殴りかかった拳が消滅したのを、信じられない気持ちで見ていた。


 リーヴァイス班長は、靴の先が無くなったようだ。


 シシオウはその場から青い光の残像のみ残し、消え去ったのだ。


 そして、僕の背後からまた、あの青いレーザーが輝く・・。


 僕は鏡の腕で反射させるよう試みたが・・・腕に穴が空いただけだった。体はなんとかかわしたので、腕だけで済んだのが不幸中の幸いか・・・。




 リーヴァイス班長に向かってさらに、レーザーを繰り出すシシオウ・・・。


 「ぐはっ・・・」


 リーヴァイス班長のお腹に穴が開いた・・・。





 「班長ーーーーー!!」


 僕は叫んだ。


 まずい・・・このままでは僕もリーヴァイス班長も死んでしまう・・・。




 リーヴァイスさん・・・。僕のせいで死んでしまう・・・。


 ダメだ・・・それだけは・・・。僕はライオンマスクの姿に成り切った!


 (ナオト兄さん・・・力を貸してください)




 僕は肉体をも変化させる能力がある・・・。このチカラによって、さっき失った拳、腕の穴、肩の穴もふさがった。


 肉体を再生させることもできるのか・・・。


 僕は、心の奥底からエネルギーが湧いてくるのを感じた。




 「シシオウ!!てめえは許さねえ!」


 「ほお、このオレに向かってくるというのか・・・。今、これほどのチカラの差を見せられてなお、向かってくるというのか?このシシオウに!」


 リーヴァイス班長は倒れ、その周りに血の池が広がっていく・・・。


 早く、助けなければ・・・。




 ライオンマスクは超人的な反射速度を持つ。


 シシオウが指先をこちらに向けた瞬間に、その軌道上から姿を移動し、真後ろに回り込み蹴りを放つ。


 だが、シシオウがその体をまたしても青い光で輝かせた。


 ダメだ!!これに触れると、まずい。なぜかはわからないが、消滅してしまう・・・。


 反射的に蹴りを外し、地面を蹴りつけた・・・。


 その土砂で、視界を隠した。




 その一瞬で、リーヴァイス班長をつかみ、抱え、その場から逃げ出そうとした・・・。


 が、後ろから、青いレーザーが僕の肩口を貫いた。


 「うぐぐ・・・!」


 ダメだ・・・土砂をもすべて消滅させ、光の速度で貫かれる。


 まさに、レーザー兵器だな。しかも反射できないレーザー兵器なんて、極悪すぎる・・・。




 僕はリーヴァイス班長をその場に置き、また、シシオウに向かって攻撃を仕掛ける。


 シシオウは青の光でガードする。反射的にかわす。


 足払いを仕掛ける。


 シシオウはジャンプしてかわす。




 「やはり、そうか。その青い光が無ければこちらの攻撃も通るんだな?しかも青い光は連続では出せないようだな。」


 「ほお・・・我が能力『歴史が問いつめるまぶしいほど青い空の真下』の能力の一部でも理解したというのか・・・。ふん・・。だからどうだというのだ?

貴様が圧倒的に不利なのは変わらんのだぞ?」


 たしかに、ヤツのいうとおりだ。僕は決定的一撃をシシオウに当てることができていない。




 その後は、短い時間だっただろう。


 が、僕にとっては何時間も戦っているような感覚だった。それほど、速度の早い攻撃の応酬だったからだ。


 だが、実際は3分程度だっただろう。




 僕はもう満身創痍になっていた・・・。


 体のあちこちに穴を開けられている。だが、そのたびに全盛期そのもののライオンマスクを再イメージ化し、生命チャクラを燃やす。


 肉体が修復される・・・。だが、確実に、生命チャクラは削られていく・・・。


 このままではジリ貧だ・・・。




 「ふん、お前はこのシシオウとここまで戦えたことを誇りにしていいぞ。我が前でこんなに長く立っていられたのはお前が初めてだ。」


 「ふふ・・・だったら、僕がお前を最初に倒した男になってやるよ!」


 「ふん、減らず口を叩けるほどにまだまだ元気なようだな・・・楽しませてくれる・・・。」




 僕は絶望的な戦いに身を投じた。


 もう、打つ手はない。なんとかヤツに一撃食らわせ、リーヴァイス班長を早く、病院に連れて行かないと・・・。


 何度も何度も、攻撃を仕掛けるが、シシオウは青い光のガードとその超人的なスピードで僕の猛攻をあっさりかわす。




 その間にも、リーヴァイス班長の体から血が失われ続けている・・・。


 焦りと緊張と疲労が僕をついに、捕えだした。いくら、足場からエネルギーを補完しようと、消耗が激しい。


 回復が追いつかない・・・。シシオウ・・・本当にこいつはあのベリアルを凌ぐ強さだ・・・。




 そして、僕に向かってヤツがついに狙いを定めたその青い光を収束させる・・・。


 ヤバい・・・。僕は逃げ遅れた・・・。僕は一瞬にして青い光に右半身を持っていかれた・・・。


 なんとか再生させるが、生命チャクラは・・・もうこれですっからかんに近い・・・。次の攻撃は避けきれない・・・。


 僕がそう思ってシシオウを見た・・・。


 ん?見間違いか・・・。ヤツの背後からものすごい太い腕がシシオウをハグしている。バックハグだ。


 シシオウが苦痛に顔を歪めている・・・。



 その背後にいたのは、ライオンマスク・・・その人だった!!



~続く~



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