第50話
目を覚ますと、霧がかった、白い空間に立っていた。
ここには、見覚えがある。
以前、私がここで泣きじゃくっていたら、ルリが現れて、私を
……あの夢の続きだろうか?
私は、夢だと分かっていても、ルリに会えるんじゃないかと思うだけで、心が躍った。
「……リミアちゃん」
突然、背後で聞こえた聞き覚えの無い声に、驚き、振り向く。
「………ルリちゃん人形?」
そこには、何故かルリちゃん人形が置いてあった。
私は、不思議に思いながらも、夢なら、何でもありか。と、思い直し、人形を抱き上げる。
「リミアちゃん。実は大事なお話があるんだ……」
ルリちゃん人形から、声だけが響いてくる。
私は少し気味悪く思うが、夢なのだから、仕方がない。と、割り切った。
「あのね……。お人形さんでね……。ああ言う遊びをするのは……。……良く無いとは言わないよ?で、でもね……。産卵管を差し込んで、めちゃくちゃにするのは、流石に、駄目だと思うんだ……」
その言葉に私は固まった。
でも、そうか、私の夢なんだから、そう言う事も、あるよね……。
多分、あの時の罪悪感から見ている夢なのかもしれない。
「……ごめんなさい」
私は謝る。理性が抑えられなかったとは言え、あれは流石にやりすぎた。
「分かってくれれば良いんだよ!……でも、もし、やるでも、別のお人形にしてくれるかな?」
……?
別の人形なら良いのか?
私は、その発言に、妙な引っかかりを覚える。
「……"ルリ"ちゃん」
私はルリの部分を強調して、発言する
「な、何かな?」
明らかに動揺するルリちゃん人形の声。
「起きたら、もっと、滅茶苦茶にしてあげる」
瞬間。ルリちゃん人形が、私の腕の中から消えた。
今なら、目を覚ませる気がする。
私は目を閉じると、次に目を開けた時、現実世界で目を覚ます想像をする。
「………」
思った通りだ。簡単に目を覚ませた。
腕の中には、かわらずルリちゃん人形がある。
「……夢の中での約束、覚えてる?ルリ」
私は、ルリちゃん人形の耳に口を近づけると、
……当然、反応はない。
「………やっぱり、ただの夢?」
それにしては、妙な夢だった。
「ふわぁ~……」
まだ眠い。外も、まだ暗いし、寝始めてから、それ程経っていないようだった。
明日も、素材集めと経験値稼ぎを頑張らなければいけない。
疲労を残さないためにも、私は、再びベッドに潜り、目を閉じる。
次はせめて、もうちょっと、夢のある夢を見せて欲しいものだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます