第15話

「百婆ちゃん、こいつら何者?

 本当に狩人なの?」


「ふぇふぇふぇふぇ。

 狩人のわけがあるか。

 盗賊じゃよ、盗賊。

 村を襲っていたのであろうよ。

 どうする、槍太?」


「叩きのめす。

 まだ人を殺す覚悟はできてないので、戦闘不能にする」


「はぁ?

 俺達をどうするだって?

 冒険者のなりをしているからって、俺達が女子供を恐れると思っているのか?

 五十人でさんざん嬲り者にしてから、売春宿に売ってやるよ!」


「手こずるようなら手を貸してやるが、さっきの要領でやればいい。

 闘蜂よりは簡単じゃ。

 ふぇふぇふぇふぇ」


 百婆ちゃんの話を最後まで聞く気にはならなかった。

 一軒の家から出てきた男が、顔が腫れ上がった全裸の女性を、髪をつかんで引きずり出してきたのが見えたからだ。

 手加減無用!

 死んだら死んだときの事!


 通常の三倍の速さで、などとアニメのようなことは言わない。

 それに今の俺は、異世界に来た直後の三倍程度では済まない。

 闘蜂を夢中で狩っている間に、五倍の速さと力を得ていた。


「おお、そうじゃ。

 指名手配されている犯罪者には賞金が出るぞ。

 生きて捕まえたら、犯罪者奴隷として売ることも可能じゃ。

 もっとも売れるのは、賞金のでていない小物じゃがの。

 ふぇふぇふぇふぇ」


 関係ねぇ!

 百婆ちゃんの御陰で稼ぐ方法を手に入れた。

 金欲しさね手加減して、斃す速さが遅くなったら、今も嬲られている女性の苦痛が一分一秒長くなってしまう。

 少しでも早く!


 速さを優先して武器を持ち替える。

 魔法袋から出した長めの棍棒を両手に持つ。

 斬り殺してしまうと、ここにいない盗賊の居場所を聞き出せない。

 というか、死んでしまっても仕方はないが、積極的に殺す覚悟はできてない。

 最速の足さばきで盗賊団の間を駆け抜け、その間に両手で長棍棒を小さく振るう。

 それだけで盗賊達の骨を粉砕する。


 通りに出ていた盗賊全員を叩きのめした。

 口ほどにもない連中だが、村人には脅威だったのだろう。

 だが数が足らない。

 五十人といっていたのに、三十四人しかいない。

 家の中に残りの連中がいるのかもしれない。


 村人を人質を取られると面倒だから、態勢を整えられる前に家に飛び込んで斃す!

 戦いなれた盗賊なら、入り口で待ち構えているだろう。

 本来なら入り口以外から入るか、家ごと焼き払うべきなのだろうけど、中に村人が生き残っていたら一緒に焼き殺してしまう。

 無謀といわれようと、猪突猛進といわれようと、虎穴に入らざれば虎子を得ず!


「睡魔」


 はぁぁぁぁ?

 

「駄目だよ、ソウタ。

 どんな強敵が潜んでいるか分からないからね。

 こういう時は一度こっちを見て指示仰ぐのよ」


 あのなぁ、魔法で支援してくれるのなら、最初からそう言ってくれよ。

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