第14話
「やめろ!
子供相手に何やってやがる!」
「なんだ?
よそ者か?
よそ者が村の事に口出しするんじゃねえ!
冒険者か何だか知らないが、婆や女子供に負ける俺達じゃねえぞ!
俺達は魔獣相手の狩りで鍛えてるんだ!
まわされたくなければ黙ってろ!」
キレた!
久しぶりに問答無用でキレた!
自分が普通の家庭とは違う育ちだと知らなかった頃。
どの家でも武術訓練をしているのだと思い込んでいた小学一年生の頃。
躾のなっていない苛めっ子が弱い者苛めをしているのを見て、注意して殴りかかってこられて、カウンターで叩いて苛めっ子の顎を外した時以来、久しぶりに激高してしまった。
五人の武装した男達が、襤褸をまとった十歳くらいの女の子を殴る蹴るしていた。
下卑た笑みを浮かべて、暴力を楽しんでいた。
その眼には劣情が宿っているのが見て取れた。
まだ若年とはいえ、武術訓練で相手の心を読み先手を取る鍛錬は繰り返してきた。
たまに恐喝犯狩りをして実戦訓練もしていたから、間違いないはずだ。
鍛錬の賜物だろうか?
いや、百婆ちゃんとヘルミさんが怖かったのだろうね。
村人を叩きのめしていいのか、チラリと二人に視線を向けていた。
二人の目は雄弁に「ヤレ」と指示していた。
こいつらは叩きのめしていい相手らしい。
だが殺していいかどうかが分からない。
というか、殺す覚悟まではない。
まだ人を殺す覚悟はできていない。
だけど骨の一本や二本を折るくらいなら平気でできる。
滑るような足さばきで五人に近づき、一番近い小汚い男の右太腿に左回し蹴りを叩きこんで骨を砕く。
手ごたえというか足ごたえというか、想定以上の強い衝撃を与えてしまった。
狩りで力が強まっている。
小説やアニメ、ゲームでいうところのレベルアップ効果だろう。
治りやすい単純骨折にしておこうと思ったのだが、粉砕骨折させてしまった。
回し蹴りをいれた左足でそのまま一歩踏み込み、力加減をして二人目の男には右回し蹴りを叩きこんだ。
まだ強すぎたようで、また粉砕骨折させてしまった。
今度も蹴った足をそのまま踏み込んで一歩近づき、三人目の男の太腿に左回し蹴りを叩きこんだが、今度こそ丁度いい力加減ができて、単純骨折させることができた。
そのまま四人目五人目と、同じように回し蹴りで太腿の骨を骨折させた。
「「「「「ギャァァァァアァアァアア」」」」」
ほぼ同時に五人が絶叫している。
自分の体感以上の速さで叩きのめせたようだ。
闘蜂との訓練狩りは想像以上のレベルアップをもたらしてくれている。
魔獣相手では強くなったのは分かっても、普通の人間と戦わないと、以前との比較ができなかった。
日本にいた頃と比較しようと思えば、対人戦が必要だったのだな。
「野郎、ナニモンだ!」
なんか村の家々いから人相の悪い武装した連中が続々出てきたぞ?
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