第10話
「百婆ちゃん、ちょっとスパルタ過ぎない?」
「ふぇふぇふぇ。
十分戦えておる。
今までが楽過ぎたのじゃ。
少しくらい歯応えのある敵と戦った方がいいのじゃ」
オークを数百頭斃した翌日、オーガと戦わされた。
群れを作らないから効率が悪いが、オークよりも圧倒的に強いので、一対一で戦えるのは楽だ。
百婆ちゃんの事だから、ああ見えて色々と考えて順番を決めてくれていると思う。
恐らく俺の中にある人型を殺す禁忌を払拭したかったのだろう。
オーク肉を無理やり食べさせなかったのは、トラウマを作らないようにしたのかもしれない。
オークと違って鎧は着ていないが、皮膚が異常に硬く丈夫だ。
ゲームや小説によって設定は違うが、今まで斃した相手は百八十センチくらいで、オークよりも怪力だが、オークよりも馬鹿に見える。
再生能力を確かめるために、急所以外を斬って再生速度を確認してみたけれど、恐怖を感じるほど早くはなかった。
「ふぇふぇふぇ。
オーガが相手でも問題はないようじゃな。
もうオーガに限らんでいいぞ。
ここらにいる魔獣や鬼は皆殺しにするのじゃ。
今日中に次の狩場に行くぞ」
「それはスパルタ過ぎないか?
一日一種族じゃないの?」
「ふぇふぇふぇ。
内心ヘルミの呪いを解いてやりたいと思っておるのじゃろ?
だったら一日でも早く強くなる事じゃ。
そうしたらヘルミが抱いてくれるぞ。
ふぇふぇふぇ」
「やかましいわ!
糞婆!」
「ふふふふふ。
いいわよ、ソウタ。
ソウタが私の呪いを解きてくれたなら、タップリ可愛がってあげる。
三日三晩寝かせずに可愛がってあげるわ」
「……」
エルフそのものの超絶美人にそんな事を言われると、歩くのがつらくなるくらい興奮してしまうじゃないか!
顔だって茹蛸のように真っ赤になって、頭から湯気がでてるような感じだ。
心臓がドキドキと痛みをともなってうつ。
ヘルミさんにその音を聞かれているかもしれないと思うと、恥ずかしくて何も考えられなくなる。
「ふぇふぇふぇ。
いっちょ前に興奮しておるのう。
無暗に発情していないでさっさと斃せ。
ヘルミを助けるには古代竜を斃さねばならんのじゃ。
古代竜までの道のりは遠いぞぉぅ。
さぁ、ここの魔獣を全滅させたら、次は早さを鍛えるのじゃ」
百婆ちゃんの言う事は正しいのだろうけれど、いちいち俺を揶揄うのはやめて欲しいのだが、これはヘルミさんと俺の仲を深めるために助力かもしれないとも思う。
ああみえて百婆ちゃんは歴戦の冒険者のようだから、パーティーの信頼が何より大切だと考えているのかもしれない。
ゲームでは関係ないけれど、小説やマンガだとパーティーメンバーの親疎で生き残れるか全滅するかの岐路になることが多い。
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