第7話魔法、それは魔法だった

「・・・え?」

瞬間、ボスは目を見開いた。

自らの目を疑う程にその光景は信じがたく。

リリムが地べたにへ垂れ込んでるのに対し、

リリムの体内からは氷の翼が魔獣達を凍らせていたのだ。

その光景に思わず、仲の良い友達もびくびくと怖がっていてたまらずリリムが「怖がらないで・・・・」と声を念じてその声音が粉雪のように広がってスヤスヤと皆。寝息を立ててしまう。

リリムも同じく眠りについた。

「子供達は私が守る。いざとなったら子供達だけでも安全な場所までワープさせる。ライアは速くキルを援護しに行って」

ライアは頷いて早々にこの場から立ち去った。


ライアが先ほどの場所に戻るまで。

凄まじい爆音と土煙が鳴り響いていた。

そして、ライアが現場にたどり着いた時には━━━━━「なっ!?キル、その腕・・・・」

「・・・ああ、今。ズレ落ちたとこ・・・・結構、痛い・・・・けど」

「ああ。大した化けもんだよ、コイツは。確かにキルによって三~四割いや。半分は確実に殺られているはずなのに・・・・・」

コイツはそんじゃそこらの魔獣じゃない。

現に今、キルの片腕を切り落とし。

キルによって半分以上も殺られているはずなのに・・・・・コイツは巨大な猫の面とは相反するほどの回復能力を誇っていた。

先程、リリムちゃん達を襲った猫達も土くれのように消え失せたし・・・・

だけど!

「キル、まだ殺れるよな?もうへばったなんて。言わせないからね」

「うん、イケる・・・・・・!!」

瞬間、ライアが丸い筒から何かの液体を魔獣へと天高く満遍なく浴びせ、キルはもう片方の片腕でシュバババと鞭を不均等に浴びせた。魔獣も何をされているか分かっておらず。ニヤリとキル達を押し潰そうとするもキル達は後ろへ飛び乗り、再度鞭が暴れまわる。

「・・・今!」

キルは狙いを定めていた魔獣の箇所にジュッと火が付いて・・・・・

「ガアアアアァァァ・・・・!!」

そう、先程ライアが投げた筒には油が入っており。キルの鞭の原理がマッチの働きをして

魔獣は燃え始める。当然、只の土くれなら燃え方も早いだろう。

だが、相手は腐っても魔獣。まだその猛威を見せていた。

「ドドメ、だよ!」

最後にライアが手榴弾を投げ込めば途轍もない爆音爆風が広がって。魔獣は姿を消した。


「よう、おつかれさん」

振り向くとボスがいた。

ボスは何も言わない代わりに魔法でキルの片腕を繋ぎ合わせて二人の怪我の治癒とその場で新しい武器を魔方陣から取り出し。

二人に渡した。

それから二人が言いたげな貌をしているのを分かってのことか、ボスは短く答えた。

「魔獣を操るマジシャンが存在する。相手は観客に手品を魅せるように魔法を駆使する。そして、そのマジシャンと我々。リリムちゃんも深く関与している。何故ってマジシャンは私以外にリリムちゃんも含まれているのだから・・・・・」




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