第6話冒険ごっこの時間だよ
いつものようにギルド募集案内所には沢山の子どもの声で溢れる反面、キル達はこっそりと暗殺の仕事を終えた後にライアがポテチを
むさぶりながら子ども達に目線を合わせたまま、キル達に投げ掛けた。
「ねえ?この子達の遊び場はここだけで本当に大丈夫?色々と読み聞かせやら料理やらとで誤魔化してきたけど・・・・・・ハア。
マンネリ。どこか外に連れてったらダメなの、ボス?」
それにボスがアハハと誤魔化しながら「ウチら、顔バレしたら不味くね?」と眼で訴えてくるし・・・・・というか。顔バレ怖いなら
最初からこんなギルド相談所なんか作るなよとライアが内心愚痴りつつ、キルがこんな提案をしてきた。
「冒険、ごっことか?」
小さな山奥で殺し屋一行は子ども達に冒険ごっこなるピクニックを開いていた。
勿論これはあくまでもごっこ。
武器も軟弱に出来た木製の剣に盾。
銃弾もゴム製で当たっても痛くない安全なものばかり。それにこの山奥自体、彼らが蹂躙した場所で今では何の危険性も持たない小さな山奥だ。
それにごっことはいえ、預かっているお子さんを危険な目に遭わしたくないのも親心で。
その信頼の証に彼らが表向き営んでいるギルドは冒険者の仕事案内のようなもので。
冒険ギルド本社と繋がりがあると高い信頼性あってこそ。
(正確には裏で牛耳っているだけだが・・・・・)
とにかく、殺し屋一行はリリムとお子さん達を連れてピクニック気分だった。
「ピクニック、楽しいな~」
リリムが見るからに楽しげに木製の剣を振り回してお友達と一緒に歩いていて・・・・・
キルを含めた二人もどことなく安心した。
「ちょっと、ボス。そろそろ例のアレ。子供たちの相手、頼んだよ?」
「はいはいー、わーってるって!隙を見たら子供たちにもたっぷり楽しんで貰うよ」
子供たちの隙を突いて、ボスが姿を消すとライアが意味ありげに大袈裟な声を出して空の真上を指さした。
「わあ、なにあれー?」
「もこもこしてる、かわいい」
「リリム、お友達になりたいかも~」
「うっハハハ!!私は貴様等ガキとは交わらない悪い悪いワルーい、魔物だ!さあ、その手に携えた武器と共にかかってくるが良い!っと!」
と着ぐるみ怪獣ボスが小芝居を打った後。
崖の真上から飛び込んで盛大に転がっていき、地面に着いた時点で見るに耐えなかった。
「何してんだ、ボス・・・・」
「あ、うん・・・・キルもそう思うよ・・・・」
着ぐるみ怪獣ボスが盛大にずっころがるほんの少し前、草陰から一人の人物いや猫と呼ぶべきかもしれない。
衣類は一切纏わず、人間のように二足歩行でこちらをじっと見据えている。
瞬間、長身の猫が何やら詠唱するような鳴き声を発して小さな魔方陣が口元に集中し。
猫の背後から幾つもの分身が大地から生え出してくる。そして、その猫は見る見る姿を変えていき━━━━━━
「いてて。ん、やるではないか。さあ、私に挑む者はかかって━━━━━」
『・・・・・』
「ん、あれ?どうしたのみんな揃って。キルやライアもぽかんと・・・・え」
「・・・・ぅぅ~がわああ!!!」
『ボス!!??』
「いやー、危ない危ない。身の危険を感じたから思わず、着ぐるみ剥がして君らの後ろに隠れちゃったよー」
「あはは、そうですか。ホント凄いですねボスは。だけど、あの魔獣。聞いたことも見たことないけど、まさか!?」
「そう、そのまさか。あの魔獣からは非常に高い魔力が感じられる。この世界で魔法がロクに扱えるのが私だと知ってね。それに、もし私以外にも魔法が使えたとしても扱うだけで困難な代物なんだけど・・・・」
「ボスは子供たちを守って、避難して。ライアは、その通路を確保・・・・コイツは俺が殺る・・・・!!」
「キルが正面のバカでかいの相手している内にあたい等もいくよ。ボス、みんな!!」
山道を必死に下りながらも得体の知れない魔獣がわんさか湧いてくるのをライアがすかさず撃ちぬき、子供たちの進路を確保しつつボスの未来予知で最善のルートを辿るも山道を進む程、魔獣の数も力も桁違いに跳ね上がる。
「このっ!弾が・・・・・みんな、逃げてーー!!」
「心配ないよ、ライア。もう敵は殲滅したから。この世界で唯一の魔法の使いにして最強の存在に挑んだ時点で・・・・ねぇ!」
刹那、ボスの目がさらなる赫を帯て視殺された魔獣たちは土くれと化し。
中から猫に似た不気味な生物が貌を覗かせた。
ボスが近づき、猫に触れると猫は土くれのようにほろほろと崩れた。
ボスが一瞬の隙を子供たちからリリムから目を離した時。
「あああっ、がああ!!?」
「リリムちゃん!!」
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