第5話金塊病を治しに

育児所を始めてから一週間。

ギルド募集案内所(殺し屋のアジト)には大勢の子供達で賑わっていた。

狭い個室一部屋に隅っこに敷かれた遊び場があるだけにも関わらず、子供達は元気よく遊び回り。ますます増える一方で。

不幸か幸か逆に殺しの仕事よりも表向きのギルド募集案内の方が繁盛する始末である。

ライアは受付の仕事をしつつ、赤子のおむつを変えてあげて。

キルはそのサポートを率先していた。

ちなみにボスはピコピコゲームして爆睡していた。

軽く銃口をぶち込みたかった。

けれども、仕事が捗るにこしたことは無いが。その育児所にリリムの姿は無かった。

実を言うとリリムの金塊病はまだ治ってはいない。ライアに裏市場で薬を調達するようにお願いしたのだが。

何故か、神妙な趣で断れたという。

裏市場には沢山の仮を作らせているし。

弱みや戦力的にもこちらが上回っている。

キルやライアが勘ぐり始めたの見計らってか、ボスが種を明かしてくれた。

理由は簡単。キル達よりも権力のある人間━━━━━政府の関係者が市場を掌握し、薬を独り占めしていたのだ。

だが、それが何だ。

例え相手が国だろうと神だろうと殺す。

答えは最初から出ていた。


「ボス、ライア。行ってくる。リリムを頼む」

「まかせな」

「しくよろ~」


「まさか、これほどまで薬品が手に入るとはね」

「はい、大臣。お蔭様で裏市場を掌握する事も出来ましたし。何より、この薬品を餌に廃村地や金塊病で悩む先進国を我が物に出来るんですから」

「はっ!我が物なんて滅相もない。私はただ、ちょ~っとばかし。金塊病の菌を余所国にプレゼントしたださ♪」

「言えてます」

二人が今にも高笑いを浮かべようとしたそのとき━━━━━

「何事だ!?」

扉の奥から幾多の悲鳴と何かが切り裂かれる

嫌な物音が静かに近付いて。

とてつもない爆風と共に扉が粉砕した。

「何者だ!!」

「キル、殺すのキル・・・・・・」

「ひっ!?お、おい。私のボディガードなら命がけで私を守れ!?や、殺ってしまい!」

「はん。若僧が一人でのこのこと。この国に逆らったこと、後悔して━━━━━━」

ボディガードの大男が言葉を言い切る前に。

キルはムチをまるで剣でも振るうかのように、音も無く放ち。

大男の手足は蛹になったかのように消え失せ、キルの顔が真っ赤に染まった。

「がぁぁーー!ああ・・・・・!?!?」

「二度と喋れないように、喉ちんこも、殺った」

そのままキルはクソタレ大臣に近づく。

「ひひっ!?命だけはー!何でも、何でもしますからー!!」

「じゃあ、書け。誓約書だ。薬を全て明け渡し、もうこのようなことはしないと、誓え。そして、金塊病にかかったその子等の支援もだ、いいな?」


「しかしまあ、派手にやったわね。あの後、金塊病で苦しんだ子供達の支援が急に始まったかと思えば、あのクソタレ大臣。辞任したんだって?かなりやつれてたみたいだけど」


「まあ、お蔭様で治安がさらに安定したわけだし?私はますます予知能力以外、役に立たない感じだし」

「でも、よかった。子供達が、元気になって・・・・・・」

「あんたもすかっり変わったねぇ。まさにロリコンの鑑!よっ」

「・・・・・・」

「まあ、冗談はさておき。カワイイ娘が待ってるよ」


「パパ~!あのねあのね!パパから貰ったおくすり飲んだら、すかっり元気になって!友だちがいっ~ぱい!!出来たんだよ!!えへへ」

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